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サイケおやじの生活と音楽

日常!

2006-02-09 16:14:09 | Weblog

1日が、早いですねぇ。ついこの間、お正月と思っていたら……。でもこういう日常の積み重ねが人生を作るわけですから、一期一会で生き抜きたいということで、本日は――

Jimmy Villotti & Massimo Farao Quartet Live (Azzurra)

いよいよ冬季オリンピックが開催されるイタリアは、なかなかジャズが盛んなところで、特に若手~中堅に知られざる実力者がひしめいているようです。

このアルバムも、そんな彼等の日常的な演奏の一場面を切り取りましたというライプ盤で、何故か値段もバカ安♪ しかしその割りに中身はジャズの楽しさがいっぱいです。

メンバーはジミー・ヴィロッティ(g)、マッシモ・ファラオ(p)、ウェイン・ドッケリー(b)、ボビー・ダーハム(ds) というカルテットで、ベースとドラムスの2人はアメリカでも活躍していた黒人ですから、強靭なスイング感満点の演奏は保証付き♪ 録音は2002年11月23日で、その内容は――

01 Mr.Altman
 マッシモ・ファラオのオリジナルですが、元ネタはコルトレーンの「Giant Steps」というのがミエミエです。肝心の演奏は快適なテンポの中でジミー・ヴィロッティが爽快にギターを弾きまくれば、マッシモ・ファラオも負けじとファンキーなフレーズを織り交ぜて迫ります。バックの黒人コンビもツボを外さずに盛り上げています。

02 Ancora Tu
 ジミー・ヴィロッティのオリジナルでミディアム・テンポの穏やかな曲ですが、リズム隊から厳しいツッコミがあるので、油断出来ません。そして演奏が進むうちに不思議な黒っぽさが漂ってきます。ベースのウェイン・ドッケリーが好演です。

03 Stucky
 これもジミー・ヴィロッティのオリジナルで、モード全開の曲調が明らかに白人ギタリストの巨匠であるパット・マルティーノを意識した演奏になっています。ただし残念ながらそこまでテンションは上がらず、テクニックも思い余って技足りず状態……。しかし、この一生懸命さは憎めません。またそれを助けるのがリズム隊のスイング感満点のサポートで、特にマッシモ・ファラオはウィントン・ケリー風の良いフレーズを弾いています。

04 Marta
 マッシモ・ファラオ作のボサノバ曲ですが、これが完全に大野雄二の世界♪ 歌謡曲というか、なんかルパン三世しています。ホッと息抜き、と言いたいところですが、若干、ドラムスが叩きすぎでイマイチ和めません。悪く言えば学生バンドのようです。

05 Lacrime Viennesi
 ジミー・ヴィロッティのオリジナルとなっていますが、おそらく元ネタは「You'd Be So Nice To Come Home」でしょう。その演奏は快適で、多少のミスもそのノリの良さでカバーされています。このギタリストは写真で見るかぎりベテランのようで、モードも巧にこなしますが、どちらかと言えば、このような歌物系が合っているように思います。それはピアニストのマッシモ・ファラオも同様で、ここでの心から楽しそうなノリは最高♪ 最後まで狂ったようにスイングしていきます。

06 Ducky Is In Town
 マッシモ・ファラオ作でラテン調の楽しい曲ですが、リズム隊が垢抜けない雰囲気なのが残念です。全員がどうやって演奏していいのか迷っている雰囲気が濃厚ですが、しかし不思議なのが、ギターのジミー・ヴィロッティだけが、なかなか素晴らしいソロを聞かせていることです。全く???な人です。

07 Tommaso
 これもマッシモ・ファラオ作になっていますが、どこかで聞いたような愛らしい曲です。演奏全体はあまり盛上がらず、ミスも散見されるという情けない出来です。まあ、これも日常的なライブ演奏のヒトコマとして……。

08 Penombra
 ジミー・ヴィロッティ作で、セロニアス・モンク味が濃厚な重たい曲です。当然、モードを導入して暗く展開されていきますが、リズム隊がなかなかに刺激的なので、ダレません。むしろ不思議な気だるさが心地良いほどです。それにしてもマッシモ・ファラオは良い音、出します。

09 Wespoint
 タイトルどおり、ウェス・モンゴメリーに捧げたと思われるジミー・ヴィロッティのオリジナルで、所々でウェスのリックが飛び出しますが、もちろん足元にも及びません。しかしそれに落ち込むこと無く、あくまでも自分のノリで演奏を展開していくジミー・ヴィロッティは、かえって潔いと思います。それゆえにコーラスを重ねる毎に白熱していく彼のギターは、いかにもジャズの魅力! 続くマッシモ・ファラオもハードバップ丸出しで楽しくスイングしていますよ♪

10 Freddie The Freeloader
 オーラスはマイルス・デイビス作の有名なオリジナル・ブルースです。これはバンドのラスト・テーマも兼ねているような雰囲気もあって短く演奏されますが、案の定、お礼の言葉とメンバー紹介があります。このムードがジャズの生ライブの楽しみです。

ということで、演奏そのものは上手い学生バンドという雰囲気ですが、実はこういうブツこそが日常的な愛好盤に成り得るのが、ジャズの恐いところです。けっして名盤として後世に残ることはないでしょう。でも、好きなんです♪ 特にピアニストのマッシモ・ファラオは最近のお気に入りです。

コメント
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