松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

お花畑の話

2020-03-14 07:46:15 | 日記・エッセイ・コラム

 良くアスリートがインタビューで、景色がどうのと言うのを聞くようになった。言葉には、簡単に発してはいけない言葉がある。ヒマラヤの高峰に登った人は、そう言っていい。それは実際、見た景色だからだ。

 だが比喩として自分の心境を語るには、おそろしく重い言葉だ。

 ヘモグロビン値が5.5になった時、筋肉を動かすと心臓が止まりそうになった。ヒマラヤに登った事はないが、チョモランマの頂上に立ったくらい、酸素が欲しかった。

 輸血は、のべつ続いた。次第に力がみなぎってくるのを感じた。それは夢に現れた。美女を二人。両手に抱えて。片腕にひとりづつ、おしりを乗せて、しかも階段を登っていた。

 二日目。芝生で遊んでいる夢を見た。花が咲いていた。色とりどりの花が一面咲いていた。ほほう、綺麗なところだな。ポピーに似ているな。と考えていた。

 急に心臓が悲鳴を上げた。深いところから、戻って来た。そういう感覚だった。そして看護師に言った。心臓が変なんです。それは心電図にちゃんと現れたらしい。

 オレはその頃、デパスを愛用していた。入院と同時にそれは止められた。今はデパスが欲しい。そう訴えた。あれがあったら、心臓に言い聞かすことが出来る。先生は了解してくれた。

 一つしかない心臓が、ヒクヒク言ってる状態を想像して下さいな。ダメだ。こいつらに任せておいたら、死んじまう。まだ死んじゃいられない。必死ですよ。

 考えたらオレ、他人の血で、生きているんだった。これは、献血した人に、お礼を言っておかなくちゃ。どうもサンキュー。ベリー、マッチョ。

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1 コメント

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よく帰ってこれたね、よかったね。 (せんだいほんま)
2020-03-14 21:55:59
大野潤子の漫画に、大きな桜の木が満開に花を付けた絵を見て、この木の所に行ったことがある、と言ってる小さな子供が出てくる作品があります。脳腫瘍でずっとベッドの上で、病院から出たことなんかないのに。

やっぱり、お花畑行くのは、危篤じゃなく元気がいいですぅ、お願いっ。
僕のおばあちゃんは、庭に赤いひなげしを植えていて、僕はひらひらした薄い花びらを見るのが好きでした。おばあちゃんは種を煎って、手作りした饅頭とかの上にぱらぱら乗っけてました。仄かな香ばしさを前歯の先でぷつぷつっと楽しむのです。(おばあちゃんは入れ歯で、僕は味噌っ歯だったけど。)
あと、モネのひなげしの絵も大好き。
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