まったく話題に上らなかった一番がある。五日目の北勝富士と貴景勝の一番だ。立ち合い、頭で当たって、そのあと合計8回、ごつんごつんと頭突きの応酬の末、引き落としで貴景勝が勝った。すがすがしい対決だった。
奇しくも北の富士が解説で言っていた。北勝富士が昨日立ち合いで変わったから、きょうはがつんと行って欲しいね、と。
そしたらその通りになった。8回は大げさかも知れないが、7回は頭と頭でぶつかっていった。1回は空振りだった。
二人は高校の先輩後輩の関係だそうだ。相撲マナーもいい。北勝富士は額から流血していたが、貴景勝は無傷だった。
力士は負けた時の礼が浅い人間が多いが、北勝富士は、そこまで下げるかというほど深い。これを毎場所続けて来た北勝富士はそれだけでエライ。