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北米project 4 ~Is the order a warbird? その12【2016/03/04~10】

2017-04-30 20:50:10 | 海外旅行記

2016年3月4日(金)16時23分
カリフォルニア州ロサンゼルス USSアイオワ記念館 艦橋構造物

いよいよ艦橋にやってきました。まずは写真の赤枠で囲まれた部分、指揮艦橋を見ていきます。USSアイオワの艦橋は3種類あって、今から見る最下層の「艦隊指揮用艦橋」、その上にある窓が貼られた「航海用艦橋」、屋上の「戦闘指揮所」となっています。



中に入ると・・・意外と狭いぞ、ていうかなんだこのクソ分厚いの。



この鉄の塊のような円筒形の壁は装甲司令塔。厚さ(垂直装甲)はなんと17.3inchつまり439mm(A級装甲)もありまして、下手な戦艦の装甲よりも厚いのだ。これが艦橋3段をブチ抜いて置かれています。
アメリカでは昔から採用されてきた構造で、私が確認した限りではニューメキシコ級という誰やねんワレみたいな戦艦あたりからこの形態のようです。ただし、ニューメキシコ級からノースカロライナ級までは装甲司令塔がむき出しなだけで、そこにちっさな窓がついているだけという艦橋とは?と一考させられる構造でした。
その後のサウスダコタ級からなんだか艦橋前部の窓みたいなもので覆われ始め(それでも後ろ半分は裸のまま)、アイオワ級でようやく装甲司令塔がすっぽりと覆われるようになったのです。ただし、1944年までは覆いが無く、装甲司令塔剥き出しという外観だったそうです・・・(タミヤのキットを見る限りそんな感じ
ちなみに日本はどうなのかというと、別に調べてもしょうがないので放ったらかしにしているのですが、大和型には装甲司令塔があったようですね。アイオワ級見たく覆われているのではなく、艦橋構造物の下の方から出っ張っている円筒形のような部分がそれらしいです。大和型から急に採用されたわけでもないでしょうから、それ以前の戦艦にもあったんだと思います。



自分も書いてて構造が分からなくなってきたので、写真を見返してみました。
青枠で囲んだのが装甲司令塔。円筒形の形状が分かると思います。この角度では見えないですが、甲板から艦橋構造物の天井までブチ抜いています。階の昇り降りは・・・出来んのかなぁ?

で、赤枠で囲んだのが今いるところ。覆いと窓があるのは艦橋後方だけで、前方は装甲司令塔がむき出しになっているというのが分かると思います。そうなると上の写真は左舷後方から撮ったものなのだ、というのを自分も今分かりました。
ちなみに覗き窓が前方左右の3箇所(左側は影になって見えないが)あるのが分かるでしょうか?上の階の張り出している部分のすぐ下に真横にのぞき窓があります。
こんなの、覗けるもんなら覗いてみやがれ!程度の視界でして、果たして実用に耐えたのか・・・?



装甲司令塔の中の写真・・・だと思う(忘れた



どの位置にあったのか最早覚えちゃないですが、CICのようです。正確に言うとアイオワ級のこれは交戦時戦闘指揮所 Combat Engagement Center というんだそうな。
さすがにこれは近代化改修後の装備でしょうな。それにしたって古めかしいが80年代でもこんなもんだったのか。



艦隊指揮用艦橋からひとつ階を上がって航海用艦橋へ。主甲板から数えると5階か。



当然ここにも装甲司令塔が。邪魔だなこれ。鋼鉄の扉だってあれ開け閉めに何人要るんだって。
これが真ん中にドカンと置かれているので艦橋内は外から見るのとは違いかなり手狭で、人がすれ違えるのがやっとです。居住性は現代の駆逐艦の方が圧倒的に良い、というふうになります。



この階の装甲司令塔の中には操舵手が乗ることになっています。艦の操舵がやられてはおしまいなので、439mmの装甲で厳重に隔離されているわけです。
なので、某宇宙戦艦なんとかとかハイスクールなんとか機動戦士なんとかを始めとしたフィクション物に出てくる戦闘艦では操舵手も他の艦橋要員と同じ艦橋の部屋にいますが、あれは演出の都合で改変されたものなのだ・・・というのが見えてくるわけです。
ここらへんはやはり実物を見ないとわからない部分なのかなと思います。

操舵輪は突起のない形状です。アメリカではこういうものらしい。そのそもあのステアリングという突起はまだチェーンやワイヤーで舵を動かしていた時代、舵を切るのにえらい力が必要だったので力を入れやすいようにするためのものでした。
それが駆動方法が油圧式や電気式になると、力をいれずともよくなったのであのステアリングは姿を消したということです。

というかそもそも、こんな閉鎖空間でどうやって操舵するんねん!という話ですが、操舵手の前にある計器盤で操舵できてしまうものらしい。マジか。
あとは外からの指示とか操舵手の左右にある天井から出ている潜望鏡(スコープドッグのカメラみたいなやつ)でこちらからも外を確認するとかだそうで。なんだかおっかないよなぁ・・・。



前方を見れる覗き窓も付いていますが、例によって覗けるもんなら覗いてみろ!です。これは司令塔の外から覗いたものです。たぶん司令塔の中へは入れなかったはず(覚えていない



装甲司令塔の前に張り出した部分。けっこうガランとしているな・・・という印象。
ここから面舵~とか3歩進んで2歩下がる~とかいう指示を操舵手に出していたんだと思います。



ボスの座る席。背もたれにアメリカ海軍の紋章にあるハクトウワシの形が刺繍されているのがちょっとしたおしゃれ。



また階を上って表に出ます。艦橋3兄弟の一番上、戦闘指揮所です。真上にはレーダー塔もありにけり。



戦闘指揮所の装甲司令塔。ここでもやっぱり場所を食っています。中は覗けませんでした。
その手前にあるベンチは現役時からあったのか、これ?



司令塔の外にも計器がありますので、ここでもドンパチやるにはやれたみたいですね。



戦闘指揮所から前方を見る。正面下方には破壊的な主砲が2基鎮座していて、今なら自分でも街ひとつくらい火の海にできるのでは?とか思ってしまいます。
視界の半分以上が陸地なのがアレですが、良い眺めです。



戦闘指揮所の後ろに聳え立つのがレーダー塔です。ですがこれをいちいち説明するのは大変なので・・・。



説明をつけました。普段は画像加工は面倒なんでやらないんですが、流石に今回は文章で説明するほうが逆に面倒だと思った次第。
下から、箱みたいなのがMk.37射撃指揮装置、その上に乗ってるお椀がMk.25レーダー、おにぎりを横に倒したみたいな箱・・・の奥に隠れているのがMk.38射撃指揮装置、おにぎりの横からはみ出ている小さい箱のようなものがAN/SLQ-32(V)3電子戦装置、Mk.38の上にある横に伸びる四角い棒が測距儀、最後測距儀の上に乗っかっているのがMk.13レーダーです。



まずはMk.37射撃指揮装置 Mk.37 gun fire control system; GFCS から。
USSアイオワの副砲である5inch連装砲用に開発されたものです。水上目標、航空機、対地攻撃時に使われ、目標の方位、高度、距離を光学装置とレーダーで割り出して追跡、艦内にある機械式コンピューターで計算するもの。5inch砲を搭載している艦には戦艦から駆逐艦まで全てに行き渡っていた装備です。駆逐艦にまでレーダーとコンピューター搭載の射撃管制装置があるんですから、日本の駆逐艦が見たら泣くぞこれ・・・。
この箱状のものは射撃指揮装置 Gun director であり、Mk.37 GFCSの一部にしか過ぎません。これの他に艦内には機械式コンピューターのMk.1射撃指揮計算機、各砲に射撃指示を与える装置が付随していて、これを全部ひっくるて初めてMk.37
GFCSになるのです。
射撃指揮装置には7人が配置されていて、横から張り出しているのは測距儀、前方中央の蓋には望遠鏡が2つあります。上面にはレーダーが乗っかっています。
USSアイオワのMk.37 GFCSは4基あって、前後左右に1基ずつ配置して360度をカバーしています。イージス艦のフェイズドアレイレーダーみたいに各方位を分担しているのです。

上に乗っているパラボラアンテナはMk.25レーダー(AN/SPG-25)です。第二次世界大戦時は網目状のMk.4レーダーを搭載していたので、Mk.25は1950年代に装備されたもののはず。
ということはMk.37は1950年代から進歩していないのでは?疑惑が湧くわけで。Mk.1機械式コンピューターも残ってんじゃねえのか?この後紹介するMk.38といい、こんな化石のようなシステムでよく湾岸戦争ドンパチしたよな。



Mk.38射撃指揮装置とMk.13レーダーと測距儀については写真の角度が良くないので、見やすいものが撮れている後部のものでいずれ紹介するとして、今回のところはAN/SLQ-32(V)3をば。
電子戦装置でして、電子戦支援と電子戦攻撃が出来ます。USSアイオワでは1984年の近代化改修で実装されました。
ここで説明されていたのはこっちに向かってくる対艦ミサイルから守るための役割で、ジャミングを発することで対艦ミサイルの最終誘導レーダーを妨害してしまいます。ミサイルをあさっての方向へやってしまうのだ(たぶん
次回出てくるMk.36 SRBOCチャフ発射装置を管制下においていて、場合によってチャフを展開するんだそうな。
・・・正直電子戦に関しては良く分からんのです、ええ。

今日はたくさん書いて疲れたのでここまで。


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