黒鉄重工

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バンクーバー島の保存車両を探せ! その2 【2015/02/07~08】

2015-07-27 22:06:49 | 旅行・イベント記

シュメイナスから来た道を戻ってダンカンまで南下します。そこから西へ向かい、やってきたのはレイク・カウチンLake Cowichan。
そこに保存車両が編成単位で保存されています。これを見て行きます。



Comox Logging & Railway Locomotive #12
先頭は、1927年製の12号機関車です。標準的な50トン級クラスB型シェイ式です。
スコーミッシュのメリル&リング林業Merril & Ring Lumber Co.用に新造されたもので、新製当初のロードナンバーは2号機でした。その後、テオドシア・アームでの運用を経て1945年にコモックス森林鉄道で1959年まで貨物列車の牽引や入換などで活躍しました。
引退後はレディスミス町、レディスミス鉄道歴史協会を経て現在はここカーツァ歴史協会が保存しています。



ダンカン以来、2機目のシェイです。
1機目を見た時には気づかなかったのですが、ボイラーが左にオフセット配置されているんですね。シリンダーやシャフトとの重量バランスを考慮した結果だそうです。うーん、変わった配置。



台車観察をしようとしたら・・・シャフトが無い。



気持ち悪い動きをすると話題のシリンダー。3シリンダーということでいいんだよな。



Crown Forest Industries Log Car
丸太を輸送するための長物車スタイルの運材車です。通常、運材車というと台車に骨組みだけというスケルトンカーが一般的です。前回の更新でシュメイナスで見た運材車がそれですね。
スケルトンカーは長物車よりも軽いので貨物列車を編成するときに、一列車あたりの編成を長物車の編成よりも長くすることが出来ます。しかし、線路に木の皮などのゴミを散らかしたり長物車よりも積載量が少なかったりという欠点があります。
ナナイモ湖やファースト湖、セカンド湖で積載された丸太はレディスミスで自走丸太積み下ろし車Humderginによって積み下ろされていました。
同様の運材車はレディスミスにもありましたね。丸太も積載されていて、当時の輸送形態がよく分かります。



Canadian National Railways Boc Car #42856
1916年製のカナダ国鉄用有蓋車です。1988年に引退しました。



Canadian National Railways Caboose #78876
1918年製の車掌車(カブース)。新製配置はBC州で、バンクーバー~エドモントン間、エドモントン~プリンスルパート間の列車に使われていました。
1950年代前半にバンクーバー島に転属となり、1988年3月27日に引退しました。カナダ国内で定期運用されていた最後の木造カブースでした。

という感じで、先頭が機関車で最後尾が車掌車という理想的編成で保存されていました。各車状態も素晴らしいと言えます。



ちな、保存場所はこんな風になってます。



ヘンテコな車両もいます。丸太の牽引車(左)と丸太をぶら下げて引っ張る車(右)です。



E&N Rail Kaatza Station
1912年開業のE&N鉄道のカーツァ駅。当初は林業用の貨物駅でしたが、1926~1975年の間では旅客営業も行っていました。現在はカーツァ駅博物館として活用されています。ちなみに移築されています。
旅客営業が開始された頃にはE&N鉄道はカナダ太平洋鉄道に売却されていたはずですので、駅舎はそのような意匠になっています。



カウチン湖も見れます。ほんの末端だけですが。



Plymouth Locomotive
駅舎の横にも保存車。1929年製ガソリン機関車。メリル&リング林業8号機として新造されました。オブリエン林業、ケリー林業などを経て1955年にウェスタン・フォレスト・インダストリーに売却されました。その間に機関はガソリンエンジンからカミンズの150馬力ディーゼルエンジンに換装されました。
WFIでは入換機として使われましたが、丸太輸送がトラックに切り替えられたことで1977年に用途廃止、翌年にビクトリアのオグデン・ポイントのドックの入換機としてウェストキャン・ターミナルに売却され1987年にそこで引退しました。
なんて経歴の多いスイッチャー・・・。ごくごく一般的なスタイルのスイッチャーですが、カウチン湖近辺で使われた機関車では唯一の現存機ということで保存されています。ロードナンバーは7号機です。



Speeder Trailer (Crummy)
得体の知れない客車っぽく見える何か。文字通りスピーダーの付随車です。スピーダーとは労働者輸送、救急車両、配達、保線車両用として製造された小型の自走車両です。各林業会社のキャンプに最低1両は配備されていました。シェイ式蒸気機関車が6~9mphの速度で貨物列車を牽引するのに対して、スピーダーは45mphで走行できるので、移動時間の短縮に貢献しました。
この付随車BCFP(British Columbia Forest Products)#145は1948~1949年製で、ニティナト・キャンプおよびケイキューズビーチ・キャンプで使われていました。40人を収容可能で、労働者とその家族や学生を輸送していました。
鉄道輸送廃止後は、車輪のフランジを取り去ることで移動可能なオフィス、食堂、倉庫として使用されていました。

手作り感満載。こういう当時の林業労働者の暮らしが垣間見える資料があるというのはいいですな。


他にもスチームドンキーや丸太掴み機などがありました。博物館の本館(駅舎内)は閉まっていたので、これはまた今度。また来ます。


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保存車両マップ更新しました。