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台風13号の中で(ある日の診療日誌より)

2006-09-18 16:49:43 | Weblog
○月17日(日)、昼過ぎから、本格的に風が強くなり、海の波は荒れだし、海を走る船はもちろん、それまでのウミネコの姿も完全に消えた。台風13号、930ヘクトパスカル、この10年間で、最高の強さ。

早めに夕食と摂るべきだと思って、普段は、19時前後なのに、17時過ぎに6階の食堂に行って、食事を正にしようとする寸前に、パタッと停電になった。が、まだ、明るかったので良かった。いつもの様に、食後に温かいお茶を飲もうとしたが、ポットの電気が入っていないことに気が付いた。

 天草五橋、全て、通行止め。龍ケ岳町内にある樋島の橋も、通行止め。産婦人科の病棟では、隣の島から、妊婦さんが、まだ、予定まで、1カ月もあるのに、大事をとって入院していた。

 帰って、風呂に入ろうとしたら、電気が付いていないので、温かいお湯が出ない。仕方なく、冷たい水で、体を拭く。ラジオに電池を入れて聞いていたが、突如、切れた。電池切れだった。

 真っ暗の中、患者さんを診るライトペンがフルに働く。又、携帯も、頼りになる。

 平成16年3月に、バリに行った時に、年に1回のニュピの日を経験した。電気を付けてはいけないのだ。部屋の中でも。それを思い出した。しかし、それは、意図的に、付けない状態。今は、付かない状態。

 もう、寝るのが勝ちだと思って、床に就くも、ガタガタ鳴る窓ガラスの音が凄い。割れるかも知れないと判断し、サランラップを貼った。しかし、まだ、心配。で、ガムテープを×印に貼る。それでも、凄い音が続き、19時過ぎには、天草の近くを通った関係か、最高調に達した感じ。

 そんな中、突如、19時10分過ぎに、病院からピッチに電話あり。今から、避難所(台風が来る為に、そこの避難所に、住民が引っ越していた)から、3歳の子が40℃の熱で救急車で来るとのこと。嵐の中を、傘を何とかさして、病院へ(と言っても、道路を隔てて真ん前にあるのだが、この距離が、非常に長く感じられた)。

 病院に行くと、直ぐに、救急車が来た。3歳の女の子で、顔が真っ赤になり、犬吠様の咳をして、苦しそう。直ぐに、ボスミン0.1mlと生食2mlを一緒にして、吸入し、黄連解毒湯10mlを温かい生食10mlで溶かして、注腸し、ソルデム1号200mlで、点滴。

 10分もしないで、顔の赤味も少し取れ、楽になった感じ(本人が、苦しくなくなったと言う)。検査するも、停電で、CRPが出来ないと言う。しかし、血液一般は出来、その結果は、白血球が7000台で、好中球も、さほど上がっていなかった。ウイルス性と考え、サクシゾンを静注。

 それから、家に帰って、もう、こんな嵐の中、来る訳ないと思っていたが、21時前に、熱が40℃近くあって、近所の医者で抗生物質と解熱剤をもあるも、下がらないとのことで、6歳の男の子が(東京からの里帰りの人であったが)来院。

 両眼球充血が昨日からあり、咽頭に滲出物が少しあり、浮脈・洪脈・速脈で、明らかな熱証。咽頭結膜熱と診断して、黄連解毒湯を注腸し、錠剤も飲めるとのことで、1日9錠を1日3回を2日分院内処方して帰す。

 この台風の日に、子どもの来院が、14名もいた。 

 その後、起こされることはなかったが、関東にいる我が二人の子どもが風邪気味とのことで、家内から電話。携帯からメイルで、二人の子どもに指示。

 その日の24時近くになると、やっと静かになり、その後、特に問題なし。

 翌朝、朝食を病院で摂って、昨日入院した子の診察で、8時前に行くと、クループの子ども、良く眠れて、熱も下がり気味で、食欲もあり、ニコニコしている。まだ、熱は、38℃前後あるが、クループ様の咳は、明らかに軽減している。明日、退院か?

 午前中、ずっと電気が付かず、インターネットも出来ず、テレビが見れない状態。で、病棟の空いている個室のテレビを見せてもらうことにした。それを見て、何となく、ホッとした。この病院、必要な個所は、油で自己発電していて、必要な個所には、電気が付いているのだ。

 幸いな事に、今回は、電話が出来、水は使えた。水が使えなかったら、ほんと、四面楚歌って感じだ。20年前、ここでは、台風の時、電気・電話・水道、全て利用できなかったとのこと。

 ダッカでホームステイした時のことを思い出した。そこでは、よく、停電が起きていた。それも、1日に数回。しかし、直ぐに、回復していた。

 風呂に入ることを勧められて、最初入った時、びっくりした。お湯と冷たい水が一杯に入っているバケツが2つと大きな柄杓と石鹸のみ。自分で、柄杓の中に、お湯と水の割合を調整して入れ、それをかぶってシャワー代わりに使うだけ(シャワーなどない)。

 しかし、毎日していると、そのことに違和感がなくなってしまった。そこでは、箸やスプーンを使わず、右手で直に取って食べることにも、慣れてしまった。

 14時過ぎ、幸いに、電気が付いた。24時間足らずの停電でしたが、非常に長く感じられた。先月、広島県の呉市で、断水が、3週間もあったそうですが、大変だったことでしょう。

電気(や水)の大切さを、神様が、教えて下さったのかなあ。

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