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ハーローの実験

2006-10-24 05:58:11 | Weblog
10月22日(日)に、「赤ちゃん(成長の不思議な道のり)」が、NHKスペシャルであった。
3カ月の乳児が、ハングル語の口を尖らせて「ウ」と言う発音と、口をイを言う時よりももっと横に引いてイを言う形で「ウ」と言う発音を、ちゃんと区別している。(この発音は、ロシア語やトルコ語やタイ語などにもあるが、日本語では、同じウに聞こえてしまう)その能力が、半年経つと、次第になくなって行く。
6カ月の乳児に、サルの顔を見せ、ちょっと違えて新しいサルの顔を見せたところ、ちゃんと区別している(大人は、同じに見える)。この能力も、9カ月経つと、次第になくなってしまう。
生まれて間もない赤ちゃんに、眠っている状態で(赤ちゃんは、大人よりも圧倒的に眠る時間が多く、その中でも、REM睡眠が多いと言われているが)、日本語を聞かせると、ちゃんと脳が活動している。日本語のテープを逆に回すと、反応が乏しくなっている。これは、恐らく、生まれる前から、日本語を聞いていたことによると思われる。
神経のシナプスの数が、生後8カ月~1歳までが、人間のピークになっている。それ以後は、減少しているのだが、その過程で、出来たシナプスが単純に減少するのではなく、絶えず、小さければ小さいほど、沢山壊され、それ相応に作られ、総計として、減少していると思われる。
赤ちゃんの動きを見ると、生後14日目よりも、2カ月目の方が、動きが少ない。しかし、6カ月目になると、14日目よりも、多くなっている。つまり、動きが2カ月目に後退している様に見えるが、それにより次の新たな動きを獲得していると思われる。つまり、後退も、赤ちゃんにとっては、発達の一過程の一部となっているのであろう。
言語学習の研究では、アメリカの赤ちゃんに、全く知らない中国語をビデオを4週間も見させているのに、効果は、予想に反して全くゼロ、それが、実際に同じビデオに出ていた中国人と接触させて対面遊び的にすると、はっきりと効果が出たのである。このことは、人間と言うのは、社会的な人と人との関係で、学習して行くということの証なのであろう。
育てた人の話だと、自分よりもちょっと上の子のハイハイや歩くのを見て、急に自分の子も、今まで出来てなかったその動作が、急に出来る様になったと言われた。
チンパンジ一の母親は、赤ん坊が無力な時代には、胸に抱いたりして一時もそばから離れずに養育している。子どもは、抱かれながら親の肌の温かみを感じて安心する。又、母親が移動する時には、揺り籠のような心地良さをその体から感じている。しかし、子どもが大きくなってくると、局面は、一転する。わざと子どもを地面に置き去りにするし、子チンパンジ一が転んでも、母親は知らん顔である。親とは、いつも自分の思い通りになるものではないのだと言うことを理解させんが為にか、ある時期になると突き放すのである。

アメリカの心理学者ハ一ロ一が、興味ある実験をした。生まれたばかりのサルの赤ちゃんを一頭だけにして隔離飼育してみた。成長してから全く社会性を喪失したサルになり、仲間関係を結ぶことも出来ず、いろんな神経症状を起こした。
一方、赤ちゃんと母とだけで育てると、社会性もそれなりに健全に発達するのであるが、ただ一つ、決定的な障害が残った。
それは、青年期になってから、性行動の異常が起こり、異性と正常な性関係を結べないのである。
このサルの隔離飼育実験は、子どもの健全な成長には、母親の役割が大きいことを明らかにしているが、それにも増して、仲間との遊びが非常に大切なことを示唆している。


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