Aくんが手作りのお猪口を持って来てくれました。
乾漆(かんしつ)と言って麻布や和紙に漆を塗って作るそうです。このシンプルさがまことに私好み。前日試したお酒もよかったのですが、こういう品には鶴の友がより似合いますわ。
ということで「特撰」の栓を開けました。冷温からぬる燗まで、いやはやなんとも相性のいいこと。猪口と酒が共鳴して微笑んでおりますわ。
とても軽くて注いだ酒の重さしか感じないといっても過言ではないほどに。そこには飲む人の意識がお酒に集中するよう自らの存在感を消した酒器の潔き美学があるのです。自己主張してナンボの世の中に逆行して… いいわぁ これ。
ちなみに友人のN氏が愛用の「燗どうこ」で飲むお酒も「鶴の友」。昔からある日本のいいものを大切にしている人たちは こころのどこかで通じ合っているんですねぇ。
日本酒を海外にアピールする力を持つ人たちには、ワイングラスではなく是非とも和の酒器をお酒とパッケージで伝搬してもらいたいものです。ワイングラスに似合うのはワインです。
それでは本日も日本酒で乾杯!
第十四則 「帰ってきた一休さん」