湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

上州武尊ピークハントとゲレンデスキー

2015年03月06日 | 山・山スキーなど
 三浦ハーフ終了後、毎日天気予報をチェックしながら、どうするか迷っていた。天気が悪くてまたゲレンデでの練習だけになってしまうのはできれば避けたかった。安定した快晴という感じではないけれど、これならなんとかなるかもしれないと、ようやく2日前にスキーバスの予約をした。行き先は川場スキー場。革靴細板のテレマークを購入して、多分最初に練習したゲレンデだ。友達に誘われて久し振りにゲレンデで滑ることになり、それはちょうど良いとテレマーク初体験となったのだけれども、そのときはスキー場のゲレンデトップから短い時間で武尊山のピークを目指せるなんてまったく知らなかった。もしかしたら今回のコースじたいが、その頃はそんなに歩かれていなかったのかもしれない。僕はつい最近このコースを知ったばかりなのだけれども、結構意外な気がしたので。僕が持っている昔買った雪山のコースガイドを見ても、武尊山の案内はあるけれど、エスケープコースとしても川場スキー場を絡めたコースは紹介されていない。あまり視界がない恵まれない天候だったにもかかわらず、川場スキー場は結構楽しいゲレンデだったような記憶があった。アクセスのあまり良くない武尊山に、スキーバスを利用して登れるのであれば、これは久し振りの雪山歩きとしては悪くないのではと思った。そうして今回の山行を決めたわけである。

 ところで、今回はゲレンデトップから山頂までスキーの利用はなく歩きのみ。できたらスキーを楽しめる山のほうが良いのはもちろんなのだけれど、ちょうど修理に出していた登山靴と革のテレマークブーツが戻ってきて、その保証期間が1か月ということになっていたので、どこかで試す必要があったのだ。なので、往復だいたい4時間程度の記録が多い今回のコースはものすごくちょうど良く感じたのだ。

 ただ迷ったのが、ゲレンデでどのスキーを利用するかということだった。登山のみの人は下りもリフトを利用するのだけれども、せっかくスキー場を利用するのに、ましてやバスツアーには1日リフト券がついてくるのに、下りもリフトなんていうのはあまりにもったいない。どの程度時間に余裕があるかはわからないけれど、最後ゲレンデトップからの下山だけになってしまうにしてもやはりスキーで下りたい。そうしていろいろ考えて選んだのは、20年前に買ったアルペンタイプの山スキーだった。

 少し前に兼用靴の簡単なチェックはしていた。プラブーツはそう長く使えないはずなのだけれども、先日山道具のチェックをしたついでに足を入れてみるとこれが何の問題もなさそうに感じられる。しかしもちろん足を入れて、室内で足踏みした程度では実際のところはわからない。なので今度は一番近くのハイキングコースで試し履きをしてみた。昼間に兼用靴とはいえ、見た目は普通のスキーブーツにしか見えないごついブーツで歩くのはさすがに躊躇われたので、新しく購入したヘッドランプの試しも兼ねて、夜プラブーツでブリヂストン号をこいでもっとも近いハイキングコースの入り口に向かったのだけれども・・・、機能的な問題はあったものの(最後に使用したときもあったのをすっかり忘れていた)よく聞くような崩壊分解の兆候はまったく感じられなかった。ただ、やはりこれで不安が消えたわけではない。なので、次はゲレンデで試してみたいと思っていたのだ。となると、今回はすごく良い機会に思えた。ある程度の時間デポするので、そうそうないとは思うけれどやはり盗難の心配も少しはある。修理してもらったばかりの、そして今では貴重になりつつある細板革靴のテレマークがなくなったらショックだけれども、使用に不安な20年前の山スキーセットであれば万一盗難にあってもダメージはそんなになさそうだ。それに盗難にあったとしても、あるいは途中で破損してもリフトで降りてこられるのだから、古いスキーのチェックを兼ねた滑降にはもってこいと思ったのだった。



 ずっと気になっていた天候だけれども、ゲレンデに到着した頃には素晴らしい青空になっていた。わかりにくいけれど、杉の木の中央あたりにスキーをデポした。一応自転車のワイヤー錠でビンディングとブーツケースをくくっておいた。雪のついた左の尾根をまず越えて、武尊山を目指す。



 その尾根。写真ではわかりにくいけれど、そこそこ急な斜面だった。



 雪も、少なくとも表面は思ったより硬かったので、もう少し先でつけようと思っていたアイゼンを早々とつけることにした。



 斜面にへばりつくような樹林を抜けたあと、次は剣ヶ峰を目指す。こちらから見るとそうでもないけれど、ピーク付近は切り立った痩せ尾根で、武尊山方面の急な下りが本コースの核心になっているらしく、結構緊張していた。



 行きと帰りでずいぶんと印象が違うのだけれども、やはり久し振りの雪山ということで、行きはそんなには狭くないにもかかわらず細い尾根にちょっと緊張した。今日はそうでもないけれど、風の強いときは相当恐ろしいだろうなと思った。

 剣ヶ峰からはこれから向かうルートが見渡せた。中央が武尊山。結構アップダウンがある尾根を歩くことになるのがわかる。



 心配していた下りは、幸いほとんど恐怖感なく下れた。結局ピッケルは使わず、ストックで下ってしまったけれど、もっと氷に近い雪だったらそういうわけにはいかなかったと思う。写真は下りの途中から左手に見える、多分上越の山々。どれがどの山なのかまったくわからないのが悲しい。



 剣ヶ峰を下り、稜線を歩く。



 そして下り終えて剣ヶ峰を振り返る。写真で見ると、やはり実際より怖そうな場所に思える。



 右側のちょうど中央付近の山が気になったのだけれども、やはりわからない・・・。今度調べてみよう。



 時期的に難しいかもしれないと思っていたけれど、出会えました。モンスター群。
 後は谷川岳か?



 再び、振り返る。美しい・・・



 いくつもあった中で、まさにエビだ!と思ったのがこれ。後方が目的のピーク。



 少しドキドキするけれど、スキーにも良さそうな斜面。ただ尾根から見下ろした感じでは、この写真よりも急に見えた。



 ピークまであと少し。先行していた人たちにもだいぶ近づいてきた。



 あとちょい。真っ青な空が気持ち良い!



 そして、予定していたよりかなり早く、ゲレンデトップより約1時間半後の12時15分くらいにピークに到着。残念ながら少しガスがかかってしまったけれど、この程度ならまったく問題なし。無事に山頂を踏めたことを喜んだ。



 周りにいた人たちは「寒い、寒い」と言っていたけれど、僕はそんなに寒く感じなかった。だから彼らが下山しはじめたあと、もしかしたらちっとは寒さに強くなったのかも~なんて少し気を良くしながらおにぎりを食べたのだけれども、そのおにぎりを食べ終えたら不思議に急激に寒くなった。素手だった右手が急速にかじかむ。これはまずいと僕も山頂を去った。



 そして山頂から少し下ったこの場所で、再び補給。少し下っただけで、風の強さが全然違うのだ。同じく腰を下ろした小田原から来たという登山者と話をしながら、さらにおにぎり1個と薄皮ピーナッツを2個お腹に入れた。



 復路、振り返ると再び山頂付近に青空が。



 復路の剣ヶ峰。行きに感じた怖さはなくなっていた。もちろん条件によってはかなり危険だとは思うけれど。



 足元の斜面を下ればスキー場はすぐ。恵まれた天気のなか、久し振りの雪山を楽しめたことが嬉しくてたまらない。ほんとうに何もかもがきれいだったのだ。来て良かった!



 斜面にへばりつく、ちょっと貧相なこの樹林帯を下ると、



 もうゲレンデトップだ。だいたい4時間、条件が悪ければもっとかかると思っていたけれど、3時間で往復できてしまった。天気と先行者のトレースのおかげだな。どちらにも感謝。楽しめました!



 スキー場に戻って来たときには、またすっかり青空になっていた。条件に恵まれた素晴らしかった山行の余韻に浸りながら、今度はスキーで下る準備をした。このスキーを使うのは、2007年のGW以来だ。さて、どうだろう?ゲレンデでの滑降とはいえ、こっちはこっちでなんだかすごく楽しみだ。ザックに押し込めるか少し不安だった登山靴も、なんとかザックにおさまった。



 さて、滑ってみよう!

 滑りはじめてすぐにテレマーク以上に太腿に強い負荷がくる。決して急な斜面でもないのに。そしてテレマークでもアルペンの滑りもしていたのに。山登ったあとだから?いや、それだけではないだろう。元々うまいわけではないけれど、久々のアルペンタイプのスキーに体がきちんと対応できていないのだ。ただ3本目くらいから体も慣れてきて、だいぶスムーズに、そして楽しく滑れるようになってきた。天気最高ということもあったけれど、結局1度も休憩せずにぎりぎりまでゲレンデを滑り続けた。ちなみに、山スキーに使えるかどうかはやはり別問題だけれど、ブーツも板もビンディングもゲレンデではまったく問題ないようだった。



 夕方近くなっても、空はまだ青空。時計を確認しながらほんとうにぎりぎりまで楽しんだ。雪山ピークハントもゲレンデスキーも楽しめた贅沢な1日になった。

 ただ存分に楽しみ過ぎたせいで、スキー場で食事をする時間はなし。



 なので、はじめての池袋店で小豚。場所がわからなくて少し徘徊したけれど、うん、スキー場での食事よりこっちで正解だった。最後まで贅沢、ではなく貪欲だったりしたのである。