湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

国境稜線へ 1568mコルより1684mまで

2015年03月27日 | 山・山スキーなど
 10日前と同じ場所へ。ありがたいことに今回も晴れの予報。ただ高い気温と2日前まで何日か降っていたであろう雪のことが少し気になっていた。落ちるべきものは、昨日のうちに落ち切っていてくれたらいいのだけれど。



 10日のあいだにだいぶ雪融けが進んでいるのではと思っていたのだけれども、そうでもないようだった。



 駅から20分くらいで除雪終了地点へ。今日も素晴らしい天気だ。



 輝く芝倉岳がすごい。芝倉谷もいつか滑って・・・、いや下ってみたい。



 名前しか知らなかった万太郎山がこんなに立派な山容だったということも、前回はじめて知った。



 あまり面白くない杉林。ただこの日は違った。スキーを前に進めながら、枝についた雪がはらはらと輝きながら何度も舞い落ちた。それがすごくきれいで、足をとめて見入ってしまった。



 杉林を抜けて、今度はブナの林のなかを。体調が今ひとつだった先日より、今日は明らかに調子が良い。



 そして天気のほうも、充分素晴らしかった先日よりさらに今日は空気が澄んでいて良いようだ。先日よりさらに気温は高いのに。

 

 ここまでにスノーボードの3人パーティ、2人パーティとすれ違った。早朝出発なのだろうけれども、それにしても早いなぁ。



 10時20分頃駅を出て、12時少し過ぎに尾根の取り付きに到着。先日よりかなり早いペースでここまで来れた。先行者のトレースにも助けられたし、雪の状態もこの前よりいいようだ。

 尾根の下部は結構な急斜面で、先日は腐った雪の斜登高に結構苦しめられたので、今日は末端からダイレクトに尾根に取り付くつもりだった。



 そして、その通りに尾根に取り付いた。ぎりぎりシールで直登できるかなと思ったのだけれども、下から見たときよりは急ですぐに階段登高に切り替えざる得なかった。



 で、ここで足がとまった。尾根がいっそう細くなり、さらに木が行く手を遮っている。4つ足の獣は木の左側を歩いて行っているけれど、そっちは僕はまず無理だ。どうしよう・・・



 せっかく登った斜面を引き返すのも悔しいので、階段登高のまま行く手を遮る木に近づき、木を掴みながら知恵の輪のようにスキーをちまちまと動かしてなんとか突破したのだけれども、ちょっと焦った。



 広い尾根にあがって、武能岳。やはり尾根の下部は急だ。



 ここからは先行者のトレースに助けられながら、広い尾根を順調に高度を稼ぐ。



 やはり雪の状態もこの前より良さそうだ。試しにトレースを外れてみても、先日よりはだいぶ登りやすい。





 ここらが先日の終了地点。この前より1時間くらい早く到着することができた。



 今日はもちろんさらに上へ。



 だいぶ稜線に近づく。周りの景色がすごい。この写真ではあまり感じないけれど、風で雪がとんで笹が出ているあたりは少し急な斜面だ。



 というわけで、トレースを辿って雪のついた左にまわりこむ。



 こういう雰囲気の場所はすごく久し振りだ。なんだかどきどきだ。



 またまわりこみ、



 ちょこっと登って稜線の1568mのコルに立つことができた!

 時間はまだ13時半頃。周りの風景を眺めながらまずは補給。そして少し悩む。

 今日の目標はこの1568mのコルだったのだけれども、まだ時間に余裕はある。そしたら、これだけの素晴らしい天気なのだからやはりもう少し高いほうまで行ってみようと



 武能岳方面へアイゼンを履いて歩きだした。歩き出してしばらくはさらさらの雪で、全然アイゼンは必要ない感じだった。僕の持っているアイゼンはテレマークブーツとの相性が悪く、ときおりコバの部分からアイゼンが外れてしまう。それを岩を蹴ったり、ストックで叩いたりして元に戻す。これはアイゼンつけたのは失敗だったかなと思ったのだけれども、ある程度の斜度になってからは、そんな状態でもやはりアイゼン必須の硬い雪になった。とりあえず、今日のこの場所では危険はなさそうだけれども、テレマークブーツにもしっかりつけられるものを買わなきゃ駄目だな。





 あと少しで武能岳手前のピーク。



 そして登り切ったところで、またしても少し悩んだあと、ここで折り返すことに決める。もちろん武能岳のピークにたてたほうが嬉しかったのだけれども、スキーをデポした場所に14時半には戻りたかった。滑りに自信があるわけではないので、下りだってそれなりに時間はかかるはず。他にもいろいろ不安な要素はあり、だからこそ時間的な余裕が欲しかった。後ろ髪をひかれるような気持ちも少しもあったけれど、ここまで来れたことに満足すべきだと自分を納得させた。

 さて、引き返す前に周りの景色を堪能しておこう。



 多分芝倉への尾根越しに、万太郎山~仙ノ倉山~平標山。



 こちらは尾瀬方面。燧~至仏~上州武尊~日光白根あたり。



 白毛門、笠ヶ岳、朝日岳?



 巻機や越後駒方面。稜線を上州側に越えて土合までというのもいつか滑ってみたいコース。



 西尾根。“西尾根に入らぬこと”と地図に書いてあるけれど、これは確かに危険そうだ。雪のある今の時期、僕なんかは入ろうにも入れないけれど。



 とにかく空気が澄んでいて、遠くまで眺望がきいた。で、この奥の山がわからない。もしかして妙高あたりとも思ったが、それにしては立派過ぎる気もする。どこなんだろう?



 苗場や奥志賀方面もくっきり。



 多分、これまでで一番の展望だと思う。ホントすごい。



 スキーをデポしたコルへ戻る途中。やはり少しでも稜線を歩いて正解だった。





 そしてほとんどどんぴしゃりの14時半にデポ地点に戻ってきた。ここでまた補給。そしてアイゼンやシールを外したりと帰る準備をしながら、安全に下れるかかなり緊張していた。

 さて!



 稜線から慎重にドロップイン。最初はアルペンターン。なんとか大丈夫そうだ。雪質も悪くない。



 少し緊張がとけて、ドキドキよりワクワク感が強くなる。そしてテレマークターンにもチャレンジ。あっ、こちらも大丈夫そうだ。



 目の前は雄大な景色。あれが上越のマッターホルンと呼ばれているらしい大源太山かな?



 快適快感な尾根滑り。



 振り返ると濃い青空と真っ白な雪の斜面。素晴らし過ぎる。

 ただ滑りが快調だったのはこのあたりまでで、もう少し標高を下げた樹林帯でいきなり転倒。あちゃ~、ここまで調子良かったのにと立ち上がり、また少し滑ったところで再び今度は激しく転倒。雪が重くなりはじめたのだ。ここからは、先日と同じように斜滑降&キックターンですらさらに2回転倒を加えながら下部の急斜面をトラバース気味に下った。いやはや。

 危険な転倒はなかったものの、転倒時の不自然な姿勢に変なところが攣りそうになるのが困った。昔はあまりなかった現象だ。まぁ仕方ないな。



 あと少しで西俣沢。午前中にすれ違ったボーダーのものと思われるシュプールが気持ち良さそうだ~



 西俣沢に降り立つ。武能岳が今日もかっこいい。しかしほんと先日を上回る快晴だ。



 西俣沢の雪質は、先日のほうが上。時間のせいもあるのかもしれないけれど、今日のほうが雪がくさっている。



 そして蓬沢に戻ってきた。ここからは安全な下りと思ったけれど、雪がくさってあまり進まない。あ~、春のストップ雪だ~



 ま、それでもこんな場所にいるだけで楽しいんだけれども。



 そういえば、先日あったデブリはほとんど消えていた。雪融けも少しずつ。



 陽気のせいもあるのだけれども、春をたくさん感じた。



 そして先日よりちょっとだけ遅れて除雪終了地点へ戻ってきた。この前はかなりぐったり気味だったけれど、今日はまだまだ元気。転倒もしたけれど、おめでたいことに雪質の良かった上部斜面での滑りの感覚が体にしっかり残っていた。いやぁ、ほんとうに楽しかった。

 駅までの道を、あるかな?と思いながら歩いていた。



 あった~

 周りに何もない駅なので、事前に用意しておいたのだ。ホントは除雪終了地点あたりに隠しておこうと思っていたのだけれど、雪はそこら中にあるので、除雪終了地点まで持っている必要はないかと駅から少し歩いたところのカーブミラーの下に埋めておいたのだ。



 そして土樽駅に戻ってきた。電車が来るまで50分くらいある。



 スキーを乾かしたりなど帰り支度をしながら、ぷしゅっと。うま~

 いろいろな条件に恵まれて、素晴らしいスキーツアーになった。