花粉のせいで、いや花粉のせいだけではないけれど、ぱっとしない日が続いている。修理してもらった革の登山靴とテレマークブーツ。登山靴のほうの試し履きは、先日の武尊山ですることができた。次はテレマークブーツのほうだなぁ思っていた。
休みである17日火曜日。長野新潟あたりは晴れの予報だ。花粉による気怠さは相変わらずだし、ここ数日便秘のせいかお腹の調子も悪い。でも、いまいちの天気の日は敬遠したい雪のある山だけに、晴れ予報の休みは逃せない気がした。
コーラックを2錠飲んで寝たにもかかわらず、あいかわらず腹の調子は良くない。でも、たいしたことはない。準備もしてあるし出かけよう。もし駄目そうであれば、途中で引き返せばいい。
今回の目的地は上越国境の蓬峠(1529m)近くの1586mのコル。プラ靴でも満足に滑れないテレマーク。今回は革靴なのだから、本来ならばゲレンデに行くべきなのだろうけれど、いい加減ゲレンデには飽きがきていた。さらに先日久し振りにアルペンで滑った爽快さが体に残っていて、テレマークとは別物なのにちっとはうまく滑れるんじゃないかと錯覚してしまったりもしていた。そんなわけで、今回はゲレンデのない場所へ行くことにしたのだ。
蓬峠ではなく少し南のコルを目的地にしたのは、そのコルへ広くて気持ち良さそうな尾根が続いていたから。正確にはわからなかったのだけれど、いくつか記録のあったイイ沢左岸尾根というのは、その尾根のことのような気がした。はっきりわからないからこそ、地図読みの練習も兼ねてどんな場所か確かめてみたかった。
山のなかに入るといきなり雪がすごい。・・・ではなく、駅から歩いて1分くらいの場所。土樽ってすごい駅だと思った。
さらにまだ歩いて数分なのに、すでに白く輝く雪山が。芝倉岳?上越の山は馴染みがなく、山の名前や位置もあまり知らず、帰宅後地図を見ながらあたりをつけているのだけれども、はっきりとはわからず。
こちらは万太郎山だろうか。駅近くからこんなに白い山々を望めるとは。
駅から20分くらいで除雪終了点へ。そこからスキーを履いて、蓬沢沿いの林道を行く。
天気が良いのは嬉しいのだけれども、高すぎる気温は結構不安だった。やはり雪崩が怖かったのだ。道をふさぐようなものではなかったが、下部からデブリがいくつか。逆に上部にはほとんどなかった。
尖ったピーク。コマノカミノ頭?この日ただひとりすれ違った登山者は、トレースから推測するとこの山から降りて来たのかもしれない。
登ってきた沢を振り返るとこんな景色。周りにはほんとうに山ばかりだ。
ここまであまりペースがあがらない。高い気温でくさった雪のせいもあるのかもしれないけれど、体もあまり動いていないようだ。駅をでたのが10時半少し前。目的の1586mコルに達していなくても14時には折り返すつもりだった。この調子だと稜線にたつのは難しいかもしれない。
前方の景色。どこが尾根の取り付きなのだろう?このときは中央右手の尾根かなと思ったのだけど、違ったんだよなぁ。目の前の稜線は多分シシゴヤノ頭からの支稜線。右寄りの鞍部が蓬峠?
ちょっとした台地で再び後ろを振り返る。位置的に、平標山から続く尾根と日白山~タカマタギ~棒立山のような気がするのだけどわかりません!
目的の尾根は、先ほど勘違いした尾根の右隣だった。傾斜のゆるい場所を探して西俣沢に入ってくと目の前に武能岳があらわれた。
かっこいい・・・
このあたりから左の尾根に取り付いた。ただ傾斜のゆるいところを探したつもりだったのだけど、結果的に結構きつい傾斜を登らざる得なくなってしまった。雪はゆるく、シールの効きも悪い。ストックをついたら、ぐさりとめり込んで転倒すること数回。スキーを前に出すとき、足元の雪が小さく崩れ、やはり転倒すること数回。短い距離ではあったけれど、だいぶ消耗してしまった。
そしてようやく傾斜が緩んでひと息。蓬峠へのコースガイドに書かれているのは向うの尾根。こちらから見ると、少し傾斜がゆるく見えるけれど、実際はどうなのだろう?
少しずつ高度をあげる。時間というより、体力的にこのあたりで稜線は諦めつつあった。下りも多分かなり体力消耗するだろうし。
だいぶ高度をあげてきた気がするけれど、まだ1300mにも達していないだよな。それでこの景色。上越、すごいな。
ブナの疎林を抜けたこの場所で折り返すことに決めた。傾斜もゆるく、腰をおろすにもちょうど良さそうだ。稜線はまたの機会ということにしよう。
目の前の山を眺めながら、ソーセージパンやシナモンドノーナッツを食べる。うまい~
補給しながら周りの景色をしっかり眺める。すべて多分だけれど、シシゴヤノ頭~足拍子岳あたりの稜線。
足拍子の左手奥は平標とか仙ノ倉?実は眺めているときは、平べったい感じに苗場山かなと思ったりもしていたのだけれども方角的に違うような気がする。
右の鞍部が蓬峠。滑ったら気持ち良さそうな美しい斜面。このあたりのこの雰囲気にずっと憧れていた。雪のない時期は草原状になっていてまた良さそうなのだ。
ズーム。蓬ヒュッテが小さく見える。
しばらく周りの素晴らしい景色を眺めていた。1300mなのにこの高度感。真っ白な山々。そしてそれがすごく近いのだ。今日出会った登山者は、すれ違ったひとり。おそらく今ここらにいるのは僕ひとりだ。そんなことを考えていたら、突然周りの山との距離がさらに縮まり、さらに大きく感じた。圧倒的な自然を感じた一瞬だった。
さぁ、そろそろ下ろう。登りでも転倒しているので、すでに濡れてしまった革のブーツだけれども、下りではどれだけ転ぶかわからないので、ここでようやくゲーターを装着。
そしてスキーを履いて、最後にまた周りの山々を見渡す。ちょうど雪崩れている谷を見つけてしまったけれど、この尾根は多分大丈夫だろう。
でもって、尾根の滑りは散々。いやぁ、くさり気味な雪云々は別にして全然滑れない。ほとんどが斜滑降とキックターンなのに、それでも転倒多数。くさった雪で良かった。そして木に激突したりしなくて良かった。
尾根の下部は結構な傾斜なので、トラバース気味に少し早めに西俣沢に降りた。ここらは広いのでそんなに心配なさそうだけれど、少し上の狭いところでは雪崩がやはり怖そうだ。実際数日前に雪崩に巻き込まれたスキーヤーがいるらしい。
沢の下りは、これまでの尾根と比べれば全然楽だ。テレマークターンも少しは決まった。もちろん転びもしたけれど。
ほとんどのスキーヤーは蓬沢に戻ってくるとスキーが滑らなくなって残念に思うのだろうけれども、僕はようやく安全に下れるとほっとした。テレマーク、そして細板革靴はやっぱり難しい~
ターンのほとんど必要ないこうしたなだらかな下りが続く。ときおりのぼり返しもあるけれど、たいしたことはない。
小さなデブリ。
少し大きなデブリ。なんでデブリのなかにトレースがあるのだろうと往きも思ったのだけれども、
雪が割れて沢が出てたんだな。あぶない、あぶない。
自然の曲線がきれいだ~
そしてようやく除雪終了地点へ戻ってきた。お疲れ、自分!
時間的にはもう少し余裕あったけれど、今日はこれでいっぱいいっぱい。まともに滑れなかったこともあって、もうしばらく山スキーはいいかなと、スキーを抱えて駅まで歩いているときに思っていたけれど、不思議なことにやっぱりまた行きたくなっているんだよな。疲れたし、滑りも全然だったけれど、やはり楽しかったのだ。これだけの素晴らしい天気、静けさと景色。結局楽しい記憶が優ったようだ。出かけて良かった!
次はしっかり稜線に立てるといいな。
休みである17日火曜日。長野新潟あたりは晴れの予報だ。花粉による気怠さは相変わらずだし、ここ数日便秘のせいかお腹の調子も悪い。でも、いまいちの天気の日は敬遠したい雪のある山だけに、晴れ予報の休みは逃せない気がした。
コーラックを2錠飲んで寝たにもかかわらず、あいかわらず腹の調子は良くない。でも、たいしたことはない。準備もしてあるし出かけよう。もし駄目そうであれば、途中で引き返せばいい。
今回の目的地は上越国境の蓬峠(1529m)近くの1586mのコル。プラ靴でも満足に滑れないテレマーク。今回は革靴なのだから、本来ならばゲレンデに行くべきなのだろうけれど、いい加減ゲレンデには飽きがきていた。さらに先日久し振りにアルペンで滑った爽快さが体に残っていて、テレマークとは別物なのにちっとはうまく滑れるんじゃないかと錯覚してしまったりもしていた。そんなわけで、今回はゲレンデのない場所へ行くことにしたのだ。
蓬峠ではなく少し南のコルを目的地にしたのは、そのコルへ広くて気持ち良さそうな尾根が続いていたから。正確にはわからなかったのだけれど、いくつか記録のあったイイ沢左岸尾根というのは、その尾根のことのような気がした。はっきりわからないからこそ、地図読みの練習も兼ねてどんな場所か確かめてみたかった。
山のなかに入るといきなり雪がすごい。・・・ではなく、駅から歩いて1分くらいの場所。土樽ってすごい駅だと思った。
さらにまだ歩いて数分なのに、すでに白く輝く雪山が。芝倉岳?上越の山は馴染みがなく、山の名前や位置もあまり知らず、帰宅後地図を見ながらあたりをつけているのだけれども、はっきりとはわからず。
こちらは万太郎山だろうか。駅近くからこんなに白い山々を望めるとは。
駅から20分くらいで除雪終了点へ。そこからスキーを履いて、蓬沢沿いの林道を行く。
天気が良いのは嬉しいのだけれども、高すぎる気温は結構不安だった。やはり雪崩が怖かったのだ。道をふさぐようなものではなかったが、下部からデブリがいくつか。逆に上部にはほとんどなかった。
尖ったピーク。コマノカミノ頭?この日ただひとりすれ違った登山者は、トレースから推測するとこの山から降りて来たのかもしれない。
登ってきた沢を振り返るとこんな景色。周りにはほんとうに山ばかりだ。
ここまであまりペースがあがらない。高い気温でくさった雪のせいもあるのかもしれないけれど、体もあまり動いていないようだ。駅をでたのが10時半少し前。目的の1586mコルに達していなくても14時には折り返すつもりだった。この調子だと稜線にたつのは難しいかもしれない。
前方の景色。どこが尾根の取り付きなのだろう?このときは中央右手の尾根かなと思ったのだけど、違ったんだよなぁ。目の前の稜線は多分シシゴヤノ頭からの支稜線。右寄りの鞍部が蓬峠?
ちょっとした台地で再び後ろを振り返る。位置的に、平標山から続く尾根と日白山~タカマタギ~棒立山のような気がするのだけどわかりません!
目的の尾根は、先ほど勘違いした尾根の右隣だった。傾斜のゆるい場所を探して西俣沢に入ってくと目の前に武能岳があらわれた。
かっこいい・・・
このあたりから左の尾根に取り付いた。ただ傾斜のゆるいところを探したつもりだったのだけど、結果的に結構きつい傾斜を登らざる得なくなってしまった。雪はゆるく、シールの効きも悪い。ストックをついたら、ぐさりとめり込んで転倒すること数回。スキーを前に出すとき、足元の雪が小さく崩れ、やはり転倒すること数回。短い距離ではあったけれど、だいぶ消耗してしまった。
そしてようやく傾斜が緩んでひと息。蓬峠へのコースガイドに書かれているのは向うの尾根。こちらから見ると、少し傾斜がゆるく見えるけれど、実際はどうなのだろう?
少しずつ高度をあげる。時間というより、体力的にこのあたりで稜線は諦めつつあった。下りも多分かなり体力消耗するだろうし。
だいぶ高度をあげてきた気がするけれど、まだ1300mにも達していないだよな。それでこの景色。上越、すごいな。
ブナの疎林を抜けたこの場所で折り返すことに決めた。傾斜もゆるく、腰をおろすにもちょうど良さそうだ。稜線はまたの機会ということにしよう。
目の前の山を眺めながら、ソーセージパンやシナモンドノーナッツを食べる。うまい~
補給しながら周りの景色をしっかり眺める。すべて多分だけれど、シシゴヤノ頭~足拍子岳あたりの稜線。
足拍子の左手奥は平標とか仙ノ倉?実は眺めているときは、平べったい感じに苗場山かなと思ったりもしていたのだけれども方角的に違うような気がする。
右の鞍部が蓬峠。滑ったら気持ち良さそうな美しい斜面。このあたりのこの雰囲気にずっと憧れていた。雪のない時期は草原状になっていてまた良さそうなのだ。
ズーム。蓬ヒュッテが小さく見える。
しばらく周りの素晴らしい景色を眺めていた。1300mなのにこの高度感。真っ白な山々。そしてそれがすごく近いのだ。今日出会った登山者は、すれ違ったひとり。おそらく今ここらにいるのは僕ひとりだ。そんなことを考えていたら、突然周りの山との距離がさらに縮まり、さらに大きく感じた。圧倒的な自然を感じた一瞬だった。
さぁ、そろそろ下ろう。登りでも転倒しているので、すでに濡れてしまった革のブーツだけれども、下りではどれだけ転ぶかわからないので、ここでようやくゲーターを装着。
そしてスキーを履いて、最後にまた周りの山々を見渡す。ちょうど雪崩れている谷を見つけてしまったけれど、この尾根は多分大丈夫だろう。
でもって、尾根の滑りは散々。いやぁ、くさり気味な雪云々は別にして全然滑れない。ほとんどが斜滑降とキックターンなのに、それでも転倒多数。くさった雪で良かった。そして木に激突したりしなくて良かった。
尾根の下部は結構な傾斜なので、トラバース気味に少し早めに西俣沢に降りた。ここらは広いのでそんなに心配なさそうだけれど、少し上の狭いところでは雪崩がやはり怖そうだ。実際数日前に雪崩に巻き込まれたスキーヤーがいるらしい。
沢の下りは、これまでの尾根と比べれば全然楽だ。テレマークターンも少しは決まった。もちろん転びもしたけれど。
ほとんどのスキーヤーは蓬沢に戻ってくるとスキーが滑らなくなって残念に思うのだろうけれども、僕はようやく安全に下れるとほっとした。テレマーク、そして細板革靴はやっぱり難しい~
ターンのほとんど必要ないこうしたなだらかな下りが続く。ときおりのぼり返しもあるけれど、たいしたことはない。
小さなデブリ。
少し大きなデブリ。なんでデブリのなかにトレースがあるのだろうと往きも思ったのだけれども、
雪が割れて沢が出てたんだな。あぶない、あぶない。
自然の曲線がきれいだ~
そしてようやく除雪終了地点へ戻ってきた。お疲れ、自分!
時間的にはもう少し余裕あったけれど、今日はこれでいっぱいいっぱい。まともに滑れなかったこともあって、もうしばらく山スキーはいいかなと、スキーを抱えて駅まで歩いているときに思っていたけれど、不思議なことにやっぱりまた行きたくなっているんだよな。疲れたし、滑りも全然だったけれど、やはり楽しかったのだ。これだけの素晴らしい天気、静けさと景色。結局楽しい記憶が優ったようだ。出かけて良かった!
次はしっかり稜線に立てるといいな。