湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

さらにでかく、さらに手強く 2010年房総サバンナ

2010年04月06日 | LeMond
 去年はレース出場のために不参加でしたが、2年振りにこのイベントに参加してきました。速さや強さは別にして、平地より山のほうが好きな僕にとって、この房総サバンナは本当に過酷なイベントだったりします。2007年にはじめて参加したときは、延々と続く、そして一向に時間の過ぎていかない九十九里に頭がどうにかなりそうだった。そんなわけで、2年振りとなる今年も前日は本気でDNSの言いわけを考えるというな情けない有り様。もっとも、そんなことを考えながらもきちんとチェーンに注油をし、着ていくウェアや持っていく荷物の準備なんかはしっかりするんですけどね。いざその日になれば、いつものようにしっかり走り出すわけですから。

 というわけで、翌朝は4時15分に起床。4時50分に家を出る予定だったのでそんなに急ぐ必要はないはずだったのだけれども、昨夜準備し忘れたものがなかなか見つからずに結局5時10分くらいに鎌倉から走りはじめた。

 久里浜港に集まるメンバーのなかではおそらく僕が一番最後だろうなと思っていたら、葉山の南郷トンネルを出て少し走ったところで後ろからnoriさんがやってくる。そこから先頭交代しながら走っていると、衣笠を過ぎたところで今度は2neさんと合流。そして無事6時に久里浜港に到着。良かった。間に合って。もし始発フェリーに乗り遅れていたら、さすがにDNSのつもりでいたので。



 久里浜港にはYU-JINさんとMTBでの骨折から復活したOPEさんがお見送りに来てくれました。早朝からありがとうございました。寒さに負けて、甲板からのお見送りのお見送りがしっかりできずにすみませんでした。迫り来る房総サバンナのためについ姑息に体力温存に努めてしまいました。



 さて、フェリーはいよいよ房総・浜金谷港に到着。そして、駅で輪行組の到着を待ち、7時40分にペダルを漕ぎはじめます。この頃になると腹をくくることができたのか、僕はするりとひとりで走りはじめました。今年はできたらきっちりと単独で房総に挑んでみたかったのです。信号待ちのときに後ろを振り向いたら気づかないうちに結構長いトレインができていましたが、そんなに脚にも心臓にも負担をかけているつもりはなかったので、気にせずマイペースに走り続けます。房総はほぼフラットなので、ポジションが固定されて体に負担がかかると思い、ちょっとしたアップではあえてギアを2~3枚重くして普段はあまり使わないダンシングを織り交ぜたりと、自分なりに考えて走りながら



 オプションである太房岬に8時24分に到着。本コースを離れてからのここまでの上りはかなりきつく、発見者であるいしこうさんをちょっぴりだけ恨みましたが、上ってみれば素晴らしい場所でした。 



 房総サバンナは単調な景色が続くので、こういう風景はとても心が安らぐのです。



 なんとなくロードであっさり走り過ぎてしまうにはもったいない場所のように思いましたが、そんなにのんびりする余裕はありません。次は洲崎を目指さなくてはなりません。

 ここからはAkiくんとランデブー。「マイペースで走るので遅かったら遠慮せずに置いていってね~」と伝えますが、車の少ない場所ではときどき並走しておしゃべりしながら結局洲崎まで2人で良いペースで走ることができました。



 洲崎の灯台へは9時10分に到着。

 洲崎から野島崎まではかなり記憶が曖昧。途中道を間違えてAkiくんと(多分)nanさんを少しだけ変な道に誘い込んでしまいましたが、たいしたダメージはなく本線へ復帰。風もまだそんなにはきつくなかったのでしょう。かなりたんたんと走っていた気がします。



 そして野島崎の灯台へは9時52分に到着。ここでモリさんたちのトレインと合流しました。



 さぁここから次の飯岡灯台までが長い。その距離約150km。風は向かい風にかわり、景色はいっそう単調になります。体力的にもそうですが、それ以上に精神的にこたえる房総サバンナがここから本格的にはじまるわけです。

 野島崎への灯台からはしばらくモリさんと走ります。風の影響でかなり巡航速度落ちましたがまぁ仕方ないですね。無理せず、いっぱいいっぱいにならない程度に黙々と走るのみです。でもそんな巡航速度に我慢できなくなったのか、途中モリさんが前に出て後ろについてもかなりきつめのスピードで走りはじめました。でもそのスピードではさすがにモリさんもきつかったのか、そのあとはまた僕が前にでて25km程度でちょろちょろと・・・。もっとも、それくらいのスピードでも充分きつかったんですけどね。

 しばらく走っているうちに前を走るトレインに追いつき、そこでまた前へ出ます。そして気づいたら4~5人のトレインで走ってました。でも、そうやって走っているうちに徐々にハンバーノックの気配が訪れはじめます。そしてそれまでいっぱいいっぱいにはならないように注意していたつもりなのですが、しっかり脚にきはじめました。ポジションをかえるためにときどき織り交ぜていたダンシングが良くなかったと思われる、ロングではあまり感じたことのない腿の筋肉の張りでした。

 そんなわけで2007年にもそこで休憩した鴨川のデイリーヤマザキで、「補給しま~す」と11時半頃に僕だけそのトレインから離脱。もっとも、せっかくピットインしたというのに結局補給したのはアイス1個。多分思っている以上に疲弊していたのでしょう。

 そこからはふらふらと単独走。出走前は単独走で巡航速度は遅めでも、休憩時間を短くしてたんたんと走れば完走できるはず、と言うかそんな感じで走って、制限時間ぎりぎりでもいいので疲れずうまく走り切ることが目標だったのですが、ここまでですっかり疲れてしまいました。コンビニやそれに近い商店があらわれるたびに仲間の姿をさがし、誰かいれば休憩してしまおうと思うのですが、そういうときに限って仲間の姿が見つかりません。結局デイリーヤマザキから30分足らずで小湊のローソンにまた入り、そこで今度はカップヌードルのBIGを補給。そんな状態だったので、ここで2neさんと会ったときは本当にホッとしたし嬉しかった。自分だけがサバンナにいるわけではない!と。 

 カップヌードルの補給で少し元気になり、ここからまたひとり旅。でもすでに失われた脚はなかなか復活しません。ここらからの自分的には嫌いではないスパイス的なアップダウンが結構きつかったりします。それでも今あるきつい時間を耐え、くぐり抜ければどこかでまたすっと少し楽になる瞬間がやってくると思って頑張ってみるのですが、容赦ない向かい風のせいかなかなかそんな瞬間はやってきません。メーターの速度は23~25km程度。完走は難しいかもしれないと思いはじめたりします。

 そんなときに大原あたりで後ろからやってきたのがnoriさん。ここまでなるべく風を受けて頑張ってきたつもりですが、noriさんが前に出た瞬間にすかさず後ろに着かせてもらいます。ここからはnoriさんと先頭交代しながら進みます。と言っても、先頭を牽く比率は3:7か2:8くらい。もちろん僕が3か2です。そしてさらに僕が先頭に出るとスピードが落ちます。申しわけないと思いながらも、それでも僕はいっぱいいっぱい。だから後ろから見るnoriさんの姿がどんなに頼もしく、そして格好良く、強く見えたことか。本当に助かりました。今思い返しても、noriさんはサバンナでの僕にとっての一番の救世主だったと思います。

 noriさんには九十九里のデイリーヤマザキまで引っ張ってもらいました。そこからはまた少しだけひとりで頑張ってみますが、すぐにmasaさんやモリさんたちに吸収されます。吸収される瞬間に悪あがき的に「迷うな~」と口に出しますが、「乗っちゃったほうが楽だよ」とモリさんに言われて素直にトレインに合流です。待っていた言葉をきちんとかけてくれたモリさん、ありがとうございます。このトレインに乗らなかったら、制限時間内での完走は間違いなく無理だったと思います。

 この大人数のトレインに合流して感じたこと。それは向かい風にたいして適度なペースでの先頭交代がいかに有効で楽かということ。だいたい27~30kmペースで2~3分で先頭交代しながら走ったのだけれども、とにかくそれまでとは圧倒的に楽です。素人集団なので一定のペースというわけにはいきませんが、それでもひとりより全然、問答無用に楽になったと思いました。おそらく他の皆も同じ思いだったことでしょう。

 でも良いことばかりが続くわけではありません。途中けんけんのリアホイールがスポーク切れ。僕も去年の神奈川GFで同じようにリアホイールのスポークが切れました。でもそのときはそんなに振れがひどくなかったので、ブレーキを開放して最後まで無事走りきれました。でも見てみるとけんけんのは振れがかなりひどいです。ブレーキを開放してもシューどころか、チェーンステーにまでごつごつとあたるような状態です。これではさすがにこれ以上は無理です。というわけで、けんけんはここでDNF。その後masaさんが自らトレインを降り、何人かが千切れ、気づいたらモリさん・noriさん・nanさん・そしてうめさんと僕の5人で走っていました。



 結局飯岡灯台には16時35分にこの5人で到着。



 この時間にここまで来ればひと安心と、



 展望台に上って走って来た道を眺めたりしながらしばしゆっくり。でもこれはまずかったかも。そんなには余裕なかった。でもそのことに気づくのは、犬吠崎への本当の分岐近くに来てからのこと。そこまでも先頭でゆるめに走ってしまった自分の愚かさが悔やまれる。

 だんだんと制限時間が近づくなか、先頭交代しながら、最後はnanさんの激しい牽き。正直ついていくのを諦めようと思ったほどの力強い牽きでしたが、あとわずかと思い必死に着いていきます。そして3つ続くアップダウンの3つめのピークを越えたところでようやく「これで間に合う」と安堵。



 そして制限時間7分前の17時23分に、すでに到着していたAkiくんとコーイチさん、それからyukiさんに見守れながらなんとか無事犬吠崎に到着!

 完全自力での完走は適わなかったけれども、それでも本当に心から嬉しい。というか、頑張って尚且つ自力での完走は無理だっただけに、仲間に助けられながらなんとか完走できたことに心から感動したのだと思います。一緒に走ってくれた皆さん、本当にありがとうございました!!



 上の写真はyukiさんが撮っていてくれた到着の瞬間。いかにヘロヘロだったかと、到着したときにじわじわと込み上げてきた感動が実によく伝わってきます。

 我々の2分後に最後のアップダウンで遅れてしまったうめさんが到着。そして制限時間1分前の17時29分に九十九里の途中で自らトレインを離脱したmasaさんと2neさんが到着。そして17時31分に3姉妹パパさんが、17時37分にコミューターさんが到着。



 無事完走して2年振りに眺めた利根川はやっぱりでかかった。いや、でかさのことを言うなら利根川ではなくやはり房総半島だな。ホント房総半島でか過ぎです。そして手強すぎです。2007年はなんとか完走はしたもののはじめてのこのハードなオフ会に圧倒的に打ちのめされた。2008年はひとりで頑張ってみようと思いながら、やっぱりひとりでは頑張り切れなかった。いったいいつになったらきっちり自力で完走できるのだろうか?



 さて、サバンナのあとは皆で銚子駅前の若松で恒例の夕飯。刺身定食がうまい!



 そしてビールがうまい!!

 企画者のmasaさん、それから参加者の皆さん、お疲れさまでした。またこのイベントに参加できて本当に良かったです。ありがとうございました!

 走行距離246.88km 平均速度25.6km