知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

自粛要請という名の強制

2020年03月25日 | 国家論
東京都知事が感染者が新たに一日で40名出たことを受け、会見を開きました。

その中で、格闘技イベントに圧力をかけ、
 無観客試合にさせた
ことを発表しました。

埼玉県知事の自粛要請は無視され、
 強行された
ことから、
 都庁に呼び出し、かなりの圧力をかけた
ことがうかがえます。
発表では、協議を重ねたといっていましたが、
 そもそも、イベントの開催は自由
なので、協議に応じる義務はありません。

チケットが平均1万円として、さいたまスーパーアリーナのケースでは
 6500人来場で6500万円
会場費、スタッフ、選手のフィーなどの支払いがあります。
本来は1万人以上見込んでいたわけなので、これでも、赤字だと思われます。
無観客だとテレビ放映程度しか収入がないので、
 赤字はさらに膨らんでしまいます。

そもそも、自粛要請は、法的根拠がありません。
そのため、
 法律に違反しないのであれば、国民はどのような行動をしても自由です。

倫理的、道義的な問題と、法的問題とは分ける必要があります。

仮に、感染リスクが高いので、中止させたいのであれば、
 中止を強制する法律や条例を作る
必要があります。

その場合の理由は、
 公益のため
です。

 みんなのために、犠牲になって下さい
という理由。

そのため、
 損失補償を行う必要があります。

火災の場合に、延焼を防ぐために、隣の家を壊すことができます。
壊された家の人は、
 国家からお金を払ってもらえます。

憲法では、財産権が保障されており、営業の自由も保障されています。
そのため、
 公共の福祉に反しない限り、権利として保障されている
わけです。
格闘技イベントを開催する自由は、
 営業の自由
として、憲法で保障された人権であるということになります。

ただ、
 感染のリスクがある
というのであれば、
 公共の福祉による人権制限は許される
ことになる。
その場合、
 憲法29条3項により、正当な補償
が必要となります。

 憲法29条3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

ところが、
 正当な補償をしたくない
ので、
 法律や条例で、中止を強制しない。

その上で、
 自粛要請
という名の事実上の「強制」を行い、
 要請に従わなかった場合に、集団リンチを行い、制裁する。
これは、他への見せしめのためです。

これは、法の支配ではなく、人の支配であり、
 感情に支配される
ことになります。
韓国の、徴用工判決は、まさに人の支配のよい例です。

自粛要請で、倒産に追い込まれた人からすれば、
 国家が人権侵害を行っている
と言いたくなるはずです。

ちなみに、自粛要請に従わなかったケースで、埼玉県知事が「残念」と発言していましたが、
 発言内容が、さらに批判的なもので、行動を強制するような内容まで踏み込んだ場合、
 事実上の強制として、知事の裁量権逸脱の問題が生じる
ことになります。
裁量権の逸脱は、国家賠償法の対象となり得ます。

日本の政治家や官僚は、
 憲法や法律を軽く見る傾向があります。

大企業でさえ、法律違反をしても、ばれなければいいという発想で、
 隠してしまい、後で大きな問題となる
ケースがあります。

アメリカは、法律に違反した場合の制裁が強烈なので、
 法律については敏感になっています。
この辺は、ドラマ「SUITS」で偽証で逮捕される場面を見ると、よく分かります。
日本の民事裁判の証人尋問は、偽証が横行していますが、
逮捕され、懲役刑を食らったケースはないと思います。
証人尋問前の嘘をつかないという「宣誓」もセレモニーにすぎません。

法律や条例は、
 行動を制限する反面、
 自由を保障する
ものです。

法律に反しない以上、
 自由に行動してもいいよ
という内容です。

自粛要請は、
 法律ではないので、従うかどうかは、国民の自由なわけです。

強制したければ、
 法律で定めなければならない
というのが、
 国の根本法である憲法の考え方
だからです。
そして、国会議員も、知事も、行政機関もすべて、
 憲法によって、存在が認められている
ので、
 憲法を批判することは、自らの存立基盤(正当性の根拠)を崩す
ことになります。
そのため、
 絶対に認められない
わけです。
これを憲法尊重擁護義務といいます。

国や行政ができることは、
 権益強化、検査、陽性者に対する行動制限、隔離など、
 法律の範囲内のことを徹底する
ことです。

自粛という名の事実上の強制は、
 営業の自由を法律の根拠なく不当に制限するものであり、
 憲法違反になります。

憲法違反にならないようにするには、法律の根拠と正当な補償が必要となり、
 それができないから、法律や条令ではなく、
 自粛要請
と言っているだけのことです。

行政機関が、
 自粛要請に従わなかった団体に対し、メディアで攻撃して、世論を誘導したり、
 事前に呼び出して、強制したり、
 他の許認可に支障が出るかのように、圧力をかける行為は、
 事実上の強制として、憲法違反となる
おそれがあります。

非常時だからといって、憲法に違反することはできません。
非常事態の場合には、国家緊急権の発動もあり得ますが、
 現在の状況では、緊急性の観点から、国家緊急権の発動は認められない
と思われます。

自粛要請に従わない団体や者に対し、
 犯罪者のように責め立てる
のは、法治国家としては、どうかと思います。

倒産や破産、生活できなくなる従業員のことを考えると、
 日常生活を維持しながら、注意する
という
 行動を取っていく
必要があります。

当初、自粛要請は2週間のみでした。
それが、
 これから何ヶ月も続く
ことになれば、事業者の体力も持たなくなってしまいます。

 気が緩んできた
と批判していますが、
 2週間と言っていたはずだ
という点は見過ごされています。

大切なのは、自分が陽性か否かを気軽にチェックできるようにし、
 陽性の疑いがある場合は、
 自分で隔離できるようなシステムを構築する
ことです。
どうしても、感染できない人は、
 人混みに行かない
など
 自衛策をとる。

これから、
 この状態が何ヶ月も続くことになる
ことを見据え、
 手洗い、うがいなどの予防、感染した場合の対応などを徹底する。

自粛要請がこれから何ヶ月も続けば、
 経済が崩壊する
ことになります。
経済活動と、感染予防とを
 バランスよく実現するプランニングを行い、
 本当に必要なものは、法律や条例で規制し、
 きちんと補償についても検討する
という姿勢が
 法治国家に求められる
ことだと思います。
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