知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

コロナの危険負担の問題

2020年03月29日 | 国家論
今日の総理の会見では、
 イベント自粛に対し、補償は行わない
ということでした。

ビジネスの観点からすると、中止するかどうかは、
 事業資金との兼ね合いから判断する
ことになると思います。

 潰れるリスクがあるなら、対策をしっかり行った上で、実施を決定しました
という判断も、やむを得ないということです。

それで、批判されても、
 あくまでも自粛要請でしたので、強制力はないものと考えております。
でよいと思います。

道義的責任を言われたら、
 感染リスクを抑えるための対策は行い、あとは観客の判断に委ねております。
感染リスクは、他の施設利用と同様、ないとはいえないので、
 感染した場合に重篤化するおそれがある方の入場はお控え下さい
という方法です。

この場合、
 運営者から、観客への自粛要請となる
ので、
 自粛要請に応じた者に対しては、補償しない
という、国と同じ主張ができます。

この場合、払い戻しの必要がないということです。

仮に消費者が事業者を訴えても、
 国と同様、自粛要請にすぎない
ので、
 返金が認められない
と思います。

これは、
 だれが危険を負担するか
という問題です。

ただ、国の論法同様、
なんとなく、ひどいなという感じがします。

問題を回避するには、
 ルールを予め決めておく
ことが大切です。

僕がイベント会社の顧問弁護士なら、
「天災、戦争、暴動、反乱、内乱、テロ、火災、爆発、洪水、盗難、害意による損害、ストライキ
立入制限、天候、第三者による差止行為、国防、公衆衛生に関わる緊急事態(感染症の拡大のおそれ)、
国または地方公共団体の行為または規制など、
当法人のコントロールの及ばないあらゆる原因により、
開催が中止となった場合には、
当法人による返金を行わないものとする。」
と明記し、購入の際には必ず同意してもらうようにします。

今回のオリンピックのチケットには、返金しないを明記していなかったので、
返金に応じることにしたようです。
オリンピックなのに、弁護士がチェックをしていなかったのかと疑問に思いました。

当初 返金不可報道    https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20200319-00168469/
延期決定後に返金応じる報道  https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20200326-OYT1T50104/

返金について、明記しておかないと、民法で返金が必要となります。
返金について、消費者保護法との関係で無効となるのではという見解もありますが、
 団体に帰責性がない事案で中止せざるを得ず
 団体に損害が生じるケースでは
 消費者の利益を一方的に害するとまではいえない
ので、
 消費者保護法上もクリアできる
と思います。

何ら損害が生じないケースで 「一切返金しない」という場合は、無効となります。
滑り止めの大学の授業料を支払った後で、第一希望に受かったので、
滑り止めの学校を入学を取りやめ、授業料の返金を求めた裁判で、返金が認められました。
大学は損害を受けないのに、
 学生は高額な授業料を無駄にする
のは、
 消費者である学生の利益を一方的に害するためです。

イベントの場合には、チケットの規定の仕方で、
 危険をチケット購入者に転化できる
ということです。

ただ、このような場合には、
 納得いかないと言われる可能性が高い
ので、販売の際に、きちんと説明する必要があります。
 それでも、よかったら、買って下さい
というスタンスです。

おそらく、これからのイベントには、感染症の自粛要請を考慮した規約になると思います。
会社が潰れかねないからです。

自粛要請を運営団体が無視するようになると、
 国や自治体の方も、補償を考えざるを得なくなる
と思います。

 中止する義務はないけど、中止を求めます。
 中止の条件としては、損失の内、施設代金までは補償します。
という条件を提示し、
 協議し、合意に至れば、中止する
という流れです。

これは、個別の交渉になります。
 イベントを開催することにより、大流行することが確実なので、
 公益の観点から、国民の税金を使って、国民の安全を守ることにしました。

これが、損失補償の考え方です。


ただ、
 この論理が通用するのは、イベントを開催することにより、大流行することが確実である
という確実性が必要になると思います。

今の状態では、
 本当にクラスターが発生するかは微妙です。

2週間後に分かるということなので、
さいたま県の感染者数の推移をリサーチする必要があります。

イベントよりも、むしろ、
 小さなライブハウスの方が危険な気がします。

さらに、
 満員電車の方が、後楽園ホールより危険だと思います。
ただ、
 満員電車を運行しないよう自粛要請することはない
わけです。

理由は、感染リスクより、通勤・通学などの利便性を優先しているからです。

花見や買い物なども、咳がある人のマスク・距離・手洗い・うがいを徹底すれば、
 自粛要請までしなくても、リスクは減らせる
はずです。

東京では、土・日の外出の自粛要請がありましたが、
 経済損失は莫大なもの
です。

問題は、この自粛により、
 どの程度の感染のリスクが減ったかの検証ができない
ということです。

 自粛により100人の感染が減ったかどうかは分からない
ものの、
 売上げが90%減ったことは明確な数字となります。

外食産業の方からすると、
 コロナの危険の負担を押しつけられている
と感じるはずです。
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