YS Journal アメリカからの雑感

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Lawlessness

2011-02-25 10:31:33 | アメリカ政治
昨日、ホワイトハウスと司法長官が、現在連邦控訴審で審議中の、同性愛者間の結婚を認めないという連邦法の違憲性を問う裁判で、「同性愛者間の結婚を認めない」という法が違憲であると言う見解を示し、合憲であると言うこれまでの政府の立場を弁護しないという、全く理解不可能なコメントを発表した。(DOJ の Statement は、こちら

The Defense of Marriage Act (DOMA)(結婚法?)は、1996年のクリントン大統領の時に成立し、連邦政府として、結婚は男と女の間と定義している。現在、いくつかの州で同性愛者間の結婚が認められているが、連邦法の及ぶ範囲で同性パートナーは配偶者と認められないので、相続や未亡配偶者への年金等の優遇が受けれない。

連邦政府として、この法律が違憲であると言う見解なので、この法を弁護しないと言っているのである。行政府がこのような無法な事を言う事が出来るのだろうか?議会で立法され、成立した法律に基づいて裁判が行われているのに、その方を施行する行政府が勝手な判断で、法律を骨抜きにすると宣言したのである。

アメリカ軍のゲイポリシーであった ”Don't ask, don't tell” については、昨年暮れに廃案が決定した。(オバマ大統領の唯一の成果といっても良い)この流れに沿っての政府見解だと思われるが、ゲイ差別をしない事とゲイ同士の結婚を認める事は、次元が違うと思う。

大統領選挙中に、オバマ自身は、結婚は男女間でするもと発言をしていた。(今考えると、これは一般受けのための方便(ハッキリ言って嘘)だったかもしれない)今回の発表は、自分の支持基盤を固める意図があるのではないかとの憶測がある。

議会で成立した法律を実行する機関が連邦政府なので、そこが自分の判断で法律の善し悪しを問う事は出来ない。もし、こんな事が許されるのなら、議会も裁判所も必要無い。素人が考えても思いっきり反感を買う発表をわざわざする必要があったのかが、理解不能である。これまでのオバマのやり口だと、こっそりやっていたはずだ。

もう1つ解せないのは、何でこのタイミングでという事である。リビア、ウインスコンシン州の事、インフレ懸念、もっと重要で優先順位の高い案件が山ほどある。

何らかの策略に沿って、淡々とやっている感じがしないでも無いが、単に、策士、策に溺れるという感じもする。(どんな策があるのか思いも付かず)

三権分立への侮辱に対する激しい怒りと、余りにもお粗末な内容及びタイミングの悪さへの哀れみを同時に喚起させる、何とも不思議なコメントの発表であった。