YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

月刊誌「文芸春秋」3月号

2011-02-21 02:19:39 | 新聞、雑誌から
芥川賞を受賞した朝吹真理子の小説『きことわ』と西村賢太の『苦役列車』が転載された事で、5万部の増刷となり、80万部に達したらしい。芥川賞には元々余り興味が無く、1998年の受賞作、花村萬月の『ゲルマニウムの夜』をわざわざ購入して、益々、芥川賞に縁遠くなった。(今回も読んでいない)

まだ読み切っていないのだが、興味を引く記事は2つで、海部俊樹の「政治家 小沢一郎に生前葬を」と新連載「時代を創った女」。

先ずは、海部俊樹の「政治家 小沢一郎に生前葬を」。海部や前任の宇野あたりから日本の総理大臣の劣化が著しくなった事を改めて思う。海部も、金まみれの自分の経験をちょっとだけ正直に語ったりして、小沢に退陣を勧めているが、もし、呼び掛けるとしたら、「政治家を引退し、田中角栄時代から知っている事を全部喋って、金権政治の生き証人、語り部となれ」が、正しいアドバイスだろう。

小沢の年を考えると、今更首相になって何かやるより、知っている事を洗いざらい全部喋った方が、よっぽど日本の将来のためになるのは間違いない。黙って死なれては困るのである。

最近「文芸春秋」は、時代遅れと言われているらしい。いまどき、昭和天皇、戦後、田中角栄、小沢じゃないだろうという批判は的確である。新連載「時代を創った女」で、やっと昭和後半、平成に突入という事だろうか。それでも尚、政治ではなく芸能、懐古的趣味的という所が、日本を映し出す鏡である代表的な月刊誌として面目躍如であろう。

そんな事は基本的にどうでも良い。個人的に昭和史が好きなので、文芸春秋の立ち位置は心地良いし、ユーミンという題材は、興味津々である。ユーミンの時代性と普遍性については、ここで自分なりの考察しているのだが、ライターである柳澤 健も、同世代だけによく分かっているとお見受けした。(この人の本一冊も読んだ事ないが、ちょっと気になる)

作曲家としてのユーミンのターニングポイントは、やはり「赤いスイトピー」を松田聖子に呉田軽穂として提供した事であろう。寅年早生まれの松田聖子は、丑年の私と同級であり、「裸足の季節」でのデビュー前に、深夜放送「ザ・パンチ・パンチ・パンチ」でパンチガールの1人としてやっていた事から気になっていたので、アイドルからの脱皮となったこの曲にはビックリして、ファンになった。

『名曲「赤いスイトピー」は、松田聖子の客層をガラリと変えてしまった。ハイトーン・ヴォイスの快感を求める若い男性ファンは去った。代わりにやってきたのは、かつて松田聖子を「(可愛い)ぶりっ子」と嫌っていた女性ファンだ。』とあるのだが、私も代わりにやってきた男性ファンの1人であった。但し、武道館の「ロックンルージュ」コンサートを観に行ったものとしては、ハイトーン・ヴォイスの快感を求める若い男性ファン(というかチバラギ暴走族風のお兄さん達)は3階席に一杯いた。(後に知るのだが、作詞が松本隆で、彼がユーミンを指名している所が、凄い。やはり、日本のポップスは、「はっぴいえんど」抜きでは語れない様だ)

で、ユーミンに戻ると、立川基地でたっぷりとアメリカンポップの洗礼を受け、クラシック、教会音楽のベースがあるのが凄い。呉服屋のお嬢でもあり、「ひこうき雲」から既に貧乏くささが全くなかった。(四畳半フォークの名付け親は、ユーミンというのにも作詞家としての才能を感じる)元々、作曲家指向で、歌が下手だと分かっていたのも素晴らしい。自分のコンサートを学芸会の様にしたいと考えて、際限なくなっていた様だ。

私の一番好きな曲は「Destiny」なのだが、コンサートで最も人気の高い曲だとの事。松本隆が、「ヤバい」と感じる「平安時代から百年後にも存在する普遍的」な間の悪さを掬い上げている事を絶賛している。

今後、「時代を創った女」で誰が取り上げられるのだろうか?私にとって、ユーミン以外では、松田聖子くらいしか思い浮かばないのであるが、楽しみなシリーズである。(隔月掲載との事)