YS Journal アメリカからの雑感

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ブッシュ減税の運命

2010-12-03 00:54:13 | アメリカ政治
2003年にブッシュ大統領が行った減税が今年で失効する。中間選挙前から民主党は意図的に連邦議会での審議を避けてきたが、中間選挙の大敗北を受けて、オバマ大統領の中途半端な共和党懐柔策の一環として、今日の下院(レイム・ダックで民主党が過半数)でこれまた中途半端な法案が可決した。

法案内容としては、個人の年収20万ドル以下(夫婦での申告では25万ドル以下)については、時限無しの延長をするというものである。(相変わらず、金持ちには増税という階級闘争的な姿勢)

民主党上院議員の中からも最低2年の全面延長と声も上がっているくらいなので、上院で可決する可能性は限りなくゼロであり、来年1月1日より大幅な増税となる見通しとなった。(時限減税の失効なので単純に増税ともいえないが、結果的に増税)

民主党としては、中流階級を保護するための法案に共和党が反対したというシナリオを描いている様だが、余りにも見え透いた浅はかな作戦としか言いようがない。下院議会議長のペロシ女史は、相変わらず、減税より失業保険の方が雇用促進になるとトンでもなく狂った事を言い続けているし、オバマ大統領も積極的な関与を避けている。今後オバマ大統領がこの件で共和党を批判するという下手なシナリオ通りの、全くもって不愉快な展開になるのであろう。

共和党は、来年から下院で過半数になるので、一番にブッシュ減税を1月1日にさかのぼって適用する法案を可決する事を宣言している。

民間企業では、来年の給料計算(所得税の天引き分)について減税失効を前提にシステム変更が始まっており、来年に減税が成立したらやり直しという二重手間を強いられそうだ。その上、失効期間の超過徴収分については、2010年の税金払い戻しと一緒に処理するという、何ともややこしい事になりそうだ。

キャピタル・ゲイン(資本利得、資産益)への税率もアップするので、年内の債券、株式の売りが増えて、相場が下がる予想もでている。