YS Journal アメリカからの雑感

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アメリカのパキスタン支援

2010-07-22 03:16:07 | アメリカ政治
国務長官ヒラリーが、アフガンでの国際会議出席の前に、パキスタンを訪問し、今後5年間に渡り$7.5B(約6千億円)の開発支援する事を発表した。(日本の報道では、430億円となっており、アメリカの報道とは違う)

アメリカ軍がアフガンから撤退するシナリオについては、マクリスタル司令官更迭の折に考えてみたが、今回のパキスタンへの支援も一応、私なりのシナリオ、アフガンは対テロの最小部隊を残しパキスタンの安定に協力していく、に沿う感じである。

最近、アメリカは中国のパキスタンへの原発開発を容認したりして、パキスタンの安定化に腐心している感じである。インドは、中国、アメリカのやり方に失望している様だが、パキスタンの安定はインドにとっても悪い事ではないので、痛し痒しであろう。

アメリカのアフガンからの撤退は、世界の軍事バランスの大きな変換点になるだろう。アメリカは時間を掛けて、世界中の前線を縮小していくとになるだろう。そして、意識的に中国にその分の負担を求めていく事になると思われる。

先ず、無い袖は振れないという事である。先進国の軍事費が軒並み縮小する事が報道されているが、アメリカも例外ではない。アメリカは、世界でビジネスをする為に、そして石油の安定確保の為に、世界中に出ばっていたが、中国も結局、大国となった以上同じジレンマを共有する事になってきた。アメリカよりも中東の石油に依存している限り、知らんふりは出来ないであろう。(アメリカは、石油についてはいざとなったら自国で賄える強みもある。)アメリカ、中国の総合的なG2体制もひょっとするとあるのかもしれない。

中国の方がイスラム問題も現実的だし、少数民族の問題もあるので、アメリカが引き上げて作り出す真空を埋めざるを得ないであろう。(但し、中国が内部分裂しないという条件付きではあるが)

イランの核問題はあるが、イスラエルとの連携、パキスタンを安定さす事でこれ以上の危険性を抑止出来るとアメリカは考えていると思う。

後は北朝鮮であるが、これも中国が国境を接するだけに無視する訳に行かない。後継者問題が落ち着けば、しばらく安定するかもしれないので(もしくは瓦解)周辺国の中国、韓国、ロシア、そして日本に押し付け事が出来る。

但し、アメリカ一国としては正しい選択になると思うが、世界は間違いなく不安定になるであろう。

では、日本はどのような準備が考えられるのか。国防体制の整備という当たり前の結論しかない。一応、国際紛争に乗り出す様な体制は無理であろうが、沿岸警備の強化及び空母を中心とした機動部隊を2つ、3つ作るというのはどうだろう。空母はアメリカから買っても良いし、国内で作ったらもっと良い。(子供手当なんかよりずっと経済にも好影響をもたらすと思うけどなー。原子力、ハイテク、造船、そして雇用)憲法改定とかいろいろあるとあると思うが、憲法改定してもどのような軍備をするのか具体的でなければ、哲学的議論でしかなくなる。(軍事専門家でもないので、ただの思い付きではあるが、原子力空母と原子力潜水艦を持つのは悪いアイデアではないと思う)

世界で活動する日本人を救う事も出来ない様な政府は、国民を守るという基本的な事も出来ないという事なので、本来なら今すぐにでもやらなければならない事でもある。アメリカの軍事縮小が具体的になれば、日米同盟の変質を伴うので、今のうちから、覚悟を決めて本当に丸腰になるのか、国家として最低限の軍備を整備するのか、建設的な議論が必要な時期に来ている。

アメリカのアフガン、パキスタンに対する動きは、注意深く観察する必要がある。アメリカの方向を読み間違えると、今でさえ的外れな、日本の外交的な立ち位置が、更にずれる事になるだろう。