YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

Here or to go

2010-02-11 11:53:25 | アメリカ経済
"Here or to go" アメリカでファストフードレストランだと注文時に必ず聞かれる質問です。こちらで召し上がりますか?それともお持ち帰りですか?という質問です。

先週、デトロイトよりクリーブランドに車で出張しました。オハイオ州はターンパイクと呼ばれる有料道路を走ります。(OH Turnpike ホームページ)有料という事もあり、燃料補給、食事、トイレ休憩が出来る様に、日本で言うサービスエリアの様なサービスプラザと呼ばれる施設があります。

行きがけに、そのサービスブラザのスターバックスでコーヒー(最近、グリーンティーラテばっかです。得体の知れないネーミングの割に美味しいので、騙されたと思って一度お試しを)を注文したところ、この質問が飛んできました。コーヒー一杯で "Here or to go" は無いだろうと思いましたが、急いでいた事もあり、 "To go" と答えてクリーブランドへ向かいました。

帰りにガソリン補給が必要になったため、再びサービスプラザに寄り、グリーンティーラテを注文した所、やはり "Here or to go" と聞かれたので、 "To go" と答えておいて、ツッコミを入れてみました。

ビックリした事に、この質問にはキチンと理由がありました。"Here" と答えた場合、オハイオ州内で消費されるので、セールスタックスが掛かり、 "To go" の場合は州を超える商行為と見なされて非課税になるとの事でした。で、セールスタックスは何%なのと聞いたのですが、売り子のねーちゃんは知りませんでした。(上記のホームページで真偽の程とセールスタックスの%を問い合わせておりますが、未だ返事無し)行きも帰りもオハイオ州内で飲み干したので、お得な気分になりました。

サービスプラザは州政府の運営なので、妙な所が厳密なのは納得出来るのですが、アメリカに於ける連邦政府と州政府の関係、今後のセールスタックスのあり方等について、グリーンティーラテの刺激を受けてつつ運転しつつ考えながらデトロイトまで帰ってきました。

州政府は、州外に販売するものに課税する権利がありません。良い例は、私が良く利用するアマゾンでの購入は全て非課税です。(ワシントン州の人は課税されていると思います。ついでに、私の場合、アマゾンのクレジットカードを使っているので、$25以上は普通での送料も無料です。)これは、本来どこかの州が得られるセールスタックスがこぼれている事になります。この問題は、議会でも時々話題になり連邦セールスタックスで漏れなく徴収しようとする動きがあります。州、厳密にはセールスタックスは郡(州内にある地方自治体)の税収なので、連邦による一元管理には、州ばかりでなく、ネット販売業界からも根強い反対があります。

商業に於ける州境が急速に意味が無くなってきているのに、州の権限が強すぎて、税法そのものが追いついておりません。実は、この弊害が健康保険改革のネックになっていたりもします。(州毎の規制がバラバラで、州を超えての健康保険の販売、購入が出来ないのが端的な例)

税金については、連邦所得税をやめて、連邦セールスタックスで連邦政府をまかなって、州の運営は所得税でと言う逆転発想の提案が出てきてたりします。

州毎の権限と裁量が大きく、人々が気に入った州に自由に行けるというのがアメリカの活力であったわけですが、税金等がシステム的には完全に時代遅れになっております。今後連邦議会には、財政規律を厳しくする過程で州の独立性を阻害する事無く、連邦内の通商がスムーズになる様な大胆な議論が出てくる事を望むばかりです。