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YS Journal アメリカからの雑感

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トヨタ アクセルベダルリコール 今日対策発表

2010-02-01 19:35:03 | アメリカ自動車業界
アメリカ月曜朝に、報道関係へのリリースと続いて記者会見がある。いろいろとコメントいただいているので、ちょっと整理しておく。

まず、非常に混乱している原因は、日本でもアメリカでも、昨年と今回のリコールがごちゃ混ぜになって報道いる事だ。

同じアクセルペダル絡みなのですが、昨年と今回のリコールは本質的に全く違う。

それなのに、今回のリコールが大騒ぎななった事で、昨年の事が蒸し返された上に一緒くたになって、大混乱になっている。

昨年のフロアマットのリコールの件は、純正マットであれば問題ないとの決着、つまりアクセルペダルには問題は無いという事になっていた。しかし、突然エンジン回転があがったり、あがったまま戻らなくなったりするクレームへの回答にはなっていなかった。現象からは、アクセルもしくはエンジン制御電装系の欠陥への疑惑が払拭されてなかった。

で、今回の件ですが、これは単純にアクセルペダルのメカニカルの問題だ。つまりペダルの作動上に問題があり、踏み込んだままになったり、戻りが悪かったりする事です。よって、対策も新デザインのペダルアッシー交換という事になっている。

この二つのリコールを額面通りに受け取ると、トヨタとしては、二つのリコールが本質的に違う事を説明し、顧客の安心感を取り戻す事が、今後の最重要事項であろう。が、報道が既に混乱しているので、後手に回っている。何をしても混乱に拍車がかかる事を止めれそうにない予感がしている。

企業広報の悪夢であろう。食わせ者ではあったが、Jim Pressの様な、業界、ディーラー、そして顧客に対して、アメリカトヨタの顔と呼べる人がいないのも痛い所だ。いくらメッセージが良くても、メッセンジャーがいないのだ。

このような状況では、今回リコールの原因と対策を考える事が、大騒動の中で意味合いが小さくなってきているのが心配だ。では、私なりの考えを。

先ず,原因は、”caused by condensation that builds up in the gas pedal assembly”、ペダルアッシー内での何らかの凝縮物の蓄積(?)とされている。対策は、”the fix involves slipping a shim into an area where springs push the gas pedal back to its resting position after a driver has eased off the gas”、バネがペダルを押している所にシムを入れ、ペダルから足を離した時にもとの位置に戻る様にする。(シム:詰め金、薄い金属の板みたいな物)

”condensation”が特定されてないが、金属部分のカチオン塗装(アメリカでは、E-coatと呼ばれている)が擦れるて剥がれて蓄積する、もしくは外部からの埃が蓄積するとも考えられるが塗装との関連性があると思う。(”condensation”は結露の意味があるので、一般の人はこの言葉の一人歩きで、混乱が深まりそうな予感がある。私も最初聞いた時は、結露!?と思った。ひょっとすると塗装が剥がれて錆がでて作動が悪くなる(?)。妄想が広がりそうだ。)(追加訂正:やっぱり結露でした。直感の方が当たっていたみたいだ。日本のニュースで対策発表のスライドを一瞬見たのですが、擦れたところが鏡面(つるつる)になって、そこに気象条件で結露が発生し、くっついたり、戻りが遅くなったりするとの事。非常にトヨタ的な説明だがやや苦しい感じがする。)

で、対策のシムであるが、バネを変えずにストロークを短くして力を稼ぐ意図のようである。もしくは、一杯踏み込んだポジションの所に問題があり、それをかさ上げして影響を無くす意図かもしれない。(訂正:ストロークを制限する様にして、踏み込んだ時に接する面を少なくしようとする様である。トヨタのウェブページより つまり、かさ上げで擦れる部分を減らす。)

原因と対策を見ていると、設計、品質管理ともちょっとお粗末すぎるのではという感じが否めない。(真相は、内部告発に期待するしかないか?)トヨタの弁解するわけではないが、なにせ、CTS(アクセルペダルアッシーの製造会社)によると、トヨタからのクレーム報告は8件であり、百万台に2台(2PPM)しか出ていないのである。

こんな簡単な対策なのだが、絶対にペダルの戻りに問題が出ない様なガチガチな手段なのだと思う。トヨタはまだ,問題のメカニズムに悩んでいると思う。つまり、本来のペダル設計、製造は、悪くない(私もそう思う)がゆえに、百万回に2回しか起きない再現など出来るわけが無いのである。

トヨタの反応を見ても被害者意識的なところがあり、なんでこんな事で大騒ぎになっているのという感じが滲み出ている。これが、広報活動の歯切れの悪さにつながっているとも思う。

新デザインのペダルを優先的にディーラーに提供するとの噂がありますので、生産の一時停止が、今週一週間から伸びる可能性が高くなってきた。(追加及び訂正:ディーラー向けにはペダルアッシーではなく、シムだけ出荷。シムは一日に12万個作れるとの事。生産は新デザインのペダルアッシーが出荷されるとの事。2月1日付けで、トヨタから正式に来週からの生産再開が発表された。)

トヨタ リコール 続報

2010-01-29 12:53:28 | アメリカ自動車業界
トヨタ リコールは、日を追う毎に凄い事になってきている。アメリカだけでなく、ヨーロッパでのリコールも決定し、昨年のフロアーマットのリコールも対象車種を拡げた。

問題のアクセルペダルを製造した部品会社が気になっていたのだが、CTSというインディアナ州にある、主にセンサー製造をしているNYSEに上場している会社だった。既に、今回のリコールについてもコメントを出しており、トヨタからの話として、非常に稀に発生する現象(トヨタのCTSへの連絡では、8件のみ)で、事故の報告は無いとしている。又、トヨタと共同で、より厳しいスペックの新設計ペダルの開発もしてきており、新設計のペダルの出荷も始まっているとの事だ。

生産の一時停止は来週一週間と報道されているが、今日、訪問したトヨタとの取引が全体の40%という日系部品メーカーは、延長される可能性を非常に心配していた。

人気8車種の販売一時停止で、GMとフォードは、下取りがトヨタの場合、$1000の特別値引きをする発表し、商魂逞しい所を見せている。トヨタはトヨタで、リコール対象外のプリウス、シエナ等の宣伝、値引きの拡大を決定している。

アメリカでのリコールという事なのかもしれないが、今日のWSJは2ページフルで、いろんな角度からの記事が載っていたが、それに較べて日本のインターネット上の報道を見ている限りでは、扱いが小さい感じである。

トヨタ リコール 生産の一時停止

2010-01-27 17:03:45 | アメリカ自動車業界
トヨタは、アクセルペダルの不具合でカムリ、カローラを含む8車種(2007-2010製)のリコールを発表し、販売と生産の一時停止を決定した。対象台数は230万台との事だ。

ビックリしたのは、生産一時停止だ。こんな例はアメリカメーカーでも過去にもあまり無いらしい。生産再開のめどについての発表は未だ無い。

今年の生産は、去年比の3倍ペースで(年間換算150万台)立ち上がっただけに、いきなり出鼻を挫かれた形だ。トヨタブランドへの悪影響については、計り知れない。昨年のレクサスに続いて、それもアクセルペダル絡みなので、尚更である。

原因は、設計要因、製造要因のどちらかしかないのだが、報道からははっきり分からない。カムリ、カローラはグローバルプラットフォームで共通設計なので、日本や中国では問題が無いとの事から察すると、製造要因の可能性が高い。つまり、何らかの原因で設計通りの製造が行われなかった事になる。但し、出荷検査や入庫検査がされているので、スペックアウトが流失したなどと言った単純な事ではないと思う。

そこで考えられるのは、日米の製造文化の違いに基づくものである。これは、設計要因であるともいえるのだが、もっと根深いものがある。

日本の部品は、許されている公差範囲よりもタイトで、安定している傾向にある。設計上の余裕の無さが、この日本独特の製造技術(と言うか慣習)でカバーされたりする事がある。例えば、製造スペック実力値が設計スペックより格段に上で安定していて、試作等で問題にならなかったものが、アメリカで製造するときに、スペックの上限、下限の部品の最悪な組み合せが発生して想定外のモードが出現する事が考えられる。(アメリカは公差内ならOKという感覚が強い)

究極的には設計ミスなのである。設計者には厳しい言い方であるが、スペックの読み方、製造、検査現場の慣習という日米文化の違い(日本と他文化と言っても良いだろう)を考えていないのである。

私が経験した品質問題が、正にこの構図であった。(未だ、完全に後処理が終わってないと思うので具体的には言えない)

今頃、悪者探しが盛んに行われていると思うが、部品会社は、リコール等の莫大な費用発生の可能性があるので、スッペク通りに納入していると主張せざるを得ないのである。トヨタとサプライヤーの関係において、トヨタに対して設計が甘かった可能性など絶対にいえる雰囲気はないし、(そんな事言うと、未来永劫取引禁止とか言い出す人がいたりする)最後は費用の話になるので、真の原因追求は中途半端に終わるのである。

リコールそして生産一時停止という未曾有の出来事なので、トヨタとしても免罪(リコール費用、将来ビジネス)をサプライヤーに与えて、徹底的に究明すべきであろう。でなければ、将来同じような問題が再発する可能性が高いと思う。

調査結果が発表になったら、詳しく検証してみたい。グローバル企業トヨタの真の姿が浮かんでくるような気がする。

車の家電化

2010-01-22 10:44:15 | アメリカ自動車業界
人気の高いMBA留学ブログ:My life in MIT Sloan の、車の家電化についてのフォローアップです。

Lilacさんとの議論は、「電気自動車の普及が日本車メーカーにどうのような影響があるか」です。彼女の論旨は次の通りです。「家電化という言葉に引っ張られては危険。車を組み立てる複雑な製造ラインがあるので、日本メーカーのコスト削減、品質管理、組織、文化等々の総合的優位性は揺るがない。確立されたブランド力もプラスになる。但し、モジュール化でに利益が部品メーカーに移る可能性が高い。又、モジュール部品への新規参入も容易となる。」

私の立場は、車の家電化は、文字通りの解釈で、モジュール化が進み、コモディティ化が進む。よって、日本メーカーの優位性が急速に失われる。

電気自動車の車体は、内燃機関自動車の延長線上には無い

究極の電気自動車は、4輪駆動、4輪操舵である。つまり車体の4隅に添付の写真(ミシュラン)のような駆動、停止、操舵、サスペンションが入ったタイヤ・ホイールがつくと思われる。現実的には、前輪が停止のエネルギーを活用しやすいので、FFになると思われる。リアにもサスペンションが必要で、エネルギーの効率を上げるために、同じような機能を持ったタイヤ・ホイールがつくと思う。

車の4隅に重たいタイヤ・ホイールがつくので、乗用車であってもトラックのような梯子フレームとなる。車体もフレームにすると、複雑なモノコックにしなくても強度が比較的簡単に出る。つまり、モジュールとなったタイヤ・ホイールをフレームにくっ付け、後は外側を覆えば車になるのである。例えば、NASCARなどのストックカーでは、この手法が取り入れられている。

フレームに、タイヤ・ホイール、内装、インパネ、ドア、外装パネル、バッテリーを組み付ける事で製造が可能となる。用途に合わせていくつかのフレームサイズがあれば、乗用車は全てカバー出来る。最大のすり合せ技術である車体(モノコック)、NVH (Noise, Vibration, Harshness)から解放される。

フレームの標準化は、電気自動車が普及するのに不可欠

電気自動車の最大の欠点は、短い航続距離であろう。従来のガソリン車(ハイブリッドを含めて)並の300-400マイル(500キロ以上)の容量があり、且つ、高速フル充電(5分程度)の出来るバッテリーが理想であるが、最後まで技術的なネックになると思う。バッテリーを標準化させ、ガソリンスタンドならぬバッテリースタンドで、空バッテリーを満タンバッテリーと交換する解決策が考えれる。

標準化された重いバッテリーをさせるためにもフレーム構造は最適であり、標準化されている事が必要となる。(大容量、急速充電のバッテリーが開発されたとしても重くならざるを得ないと思う。よってフレーム構造が必要)

電気自動車は普及するか?
アメリカ市場では、日本,アジア、ヨーロッパに完全に遅れて、最後の最後まで(30-40年)普及しないと思う。最大の理由は、電気自動車向きの小型車の需要が限られている事である。(アメリカ市場での超小型車の将来性については、デトロイトオートショーを参照)
日本とヨーロッパでは、普及する可能性がある。電気自動車が普及すると考えると、家電化起こる事を上記の様に想像出来るのだが、本当に普及するかどうかは、個人的には非常に懐疑的。よって、下記の日本メーカー戦略も今ひとつ歯切れ悪し。

車の家電化から離れて、全体を眺めてみる。

日本メーカーの戦略は?
グローバルマーケットを、車の家電化は日本(他のアジア市場も急速に追いつく可能性もあり)とヨーロッパを中心に普及、アメリカ(南北、ついでにアフリカも)は内燃機関の自動車がまだまだ継続、インドを代表とする人口密度の高い発展途上国は屋根付き4輪オートバイ(タタ的)の拡大、と大雑把に3つに分けて考える。

1.電気自動車については、組み立てに特化したスリムな組織とし、モジュールは部品毎に子会社化
2.ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの開発、生産はアメリカに集中する
3.屋根付き4輪オートバイ(タタ的)には手を出さない

現状のままいくと、日本メーカーはそれぞれ独自で電気自動車の開発を進めて、もし、私が考える様な標準化されたフレームで電気自動車が普及するとなった時は、一気に置いて行かれる様な気がする。モジュール化を不可避と考えて、グローバル標準をリードするというアプローチを考えておく事が必要だと思われる。

デトロイトオートショー

2010-01-19 05:01:44 | アメリカ自動車業界
今日、デトロイトオートショーに行って来た。去年よりずっと良いという評判は間違ってはいないのですが、往年の賑わいを知っている身としては寂しい限りです。昨年に引き続き、地下は電気自動車試乗会場になっており、大型SUVから超小型までが、静かに走っておりました。

その中で、やはりフォードが一番力を入れており、展示面積が一番広く、ディスプレーも他に比べると凝っていた。

では、思いつくままに感想を。(電気自動車の将来については別ポストで)

電気自動車、ハイブリッド、2人乗り系小型車等,所謂小さい車一杯出ていたが、この辺の超小型車は、動力が電気でもエンジンでも、今後売れるとは思えない。同じ小さい車と言っても、オートバイの屋根付き系、車として小さい系があるのだが、どちらにしてもアメリカ市場は受け入れないと思う。一定のシェアは獲得するだろうが、決してメインにはならない。その上,電気自動車やハイブリッドで高いとなれば、破壊的に致命的。

傍証としては、あのトヨタがSionで苦労している事を挙げておく。2009年の販売数(57,961台)は、トヨタのアメリカ全体の3.2%、2008年の5.2%から減少している。若者にアピールしなかったと言う事もあると思うが、決定的に小さすぎると思う。カローラサイズまでではないかと思う。これより小さい車の市場はトヨタヤリス(とSion)、ホンダフィットで埋められていると思う。規模は最大で20-30万台程度だと思われる。すでに拡大の余地は限られている。

小さいと言えば,クライスラーの希望の星、Fiat500も小さすぎてお話しにならない。このプラットフォームを使ってアメリカ向けの新しい車を設計しているそうだが、大きくするのに限界があると思う。

話題のGM Voltはまあ、まあ。サイズ的にはトヨタプリウス位。結局このサイズがアメリカでそれなりに受け入れられるミニマムサイズだと思う。

ホンダにオデッセイが展示されてなかったが、トヨタは対照的に新モデルのシエナミニバンを何台もおいてあった。クライスラーがグズグズしていて、オデッセイのフルモデルチェンジまでに一気にシェアを奪うつもりであろう。タイミングが良い事もあるが、結構良い作戦である。相変わらずスタイルはいまいち。

どの日本車メーカーの乗用車のヘッドライトとテールランプのデザインが、なぜかスバルっぽくなっていた。ひょっとすると今日本の車デザインは、群馬もしくは東京三鷹が主流なのか?

ニッサンは昨年に続いて出展せず、正解かどうかは分からず。(シカゴやロスは出るのでしょうか?)

地味ではあるが、韓国車(Hyundai, Kia)は品揃えも改善しており、価格が手頃なので今後も順調にシェアを拡大するだろう。

昨年で懲りたのか、今年は、中国製は一社(名前忘れた)のみ。車体デザイン、製造品質などちょっと見た目でもお話しにならず。純粋中国メーカー(そんなメーカーあるのかしら)のアメリカ進出は、坂の上の幻だと思う。日本、欧米メーカーの中国製もしくは車の家電化による本質的な業界革命の後であろう。そういえば、去年に比べて中国人の入場者が極端に少なかった気がする。

パッとしないオートショーだった。デトロイト在住の人は行って損はないと思うが、推薦する程でもなし。

入場料$12、会場(コボホール)の屋上駐車場に難なく入れて$10(モコモコで邪魔な上着も車に置いていけた)、10時に入って1時には出てました。

Jim Press クライスラー副CEOの個人的金融危機

2009-09-19 20:12:57 | アメリカ自動車業界
元北米トヨタのトップであり,現在クライスラーの副CEOであるJim Pressが、約$1ミリオン(約9千万円)の税金の滞納と、新たに約$60万(約5千6百万円)の借金返済が滞って、債権者から訴えられている事が明るみになった。

借金は元々、Toyota Federal Credit Unionからの担保無しの与信枠から借り入れした物で、Toyota Federal Credit Unionが他の金融機関に吸収され、この与信枠が無くなった。その時点での借入金が約$80万(約7千2百万円)あり、一括返済が出来ないとの申し入れで、4回分割払いの返済契約を取り交わした。最初の支払いは行われたが、それ以降の支払いが滞り訴訟に発展した。滞納の理由として、期待をしていたクライスラーからのボーナス支払いが無くなった事を挙げて,契約の変更を書面で依頼していた。

まず,税金の滞納は、2007年分である。次に、借金の返済も、2008年6月に合意し、この年の11月には、支払いが滞っている。2007年は、トヨタからクライスラーに移籍した年である。ビジネスウィークは、移籍に伴う報酬パッケージは、最低でも$50ミリオン(約45億円)と推測している。それなのに、なぜたった約$1ミリオン(約9千万円)の税金や約$60万(約5千6百万円)の借金が払えないの不思議である。尚、2008年以降の納税状況は報道されていない。

因に、これら一連のJim Pressの代理人は、個人破産を専門としている弁護士で,今後の行方を暗示しているします。

で、なぜこのJim Pressの報道に興味があるかというと、2007年の移籍発表直後に、北米トヨタ購買トップの方と会食した折に、「やっぱり金ですかねー?」と聞いたところ「やっぱり金でしょう。」というやり取りを鮮明に覚えているからです。この方の話では、Jim Pressは、北米は勿論、トヨタの中で一番の高給取りとの事でした。その当時、Jim Pressは北米トップになっており、日本本社からは、実務よりトヨタの北米の顔(文字通りアメリカ人なので)として、ワシントンなど政府との交渉等に期待されていたそうです。本人は、経営実務をやりたいとの希望があった事で、クライスラーのオファーを受けたとの話でした。

又,個人体験として,2005年の北米トヨタのサプライヤー会議で、Jim Pressの行うプレゼンを見たのと、その会場のロビーで、挨拶を交わした経験があります。その当時、アメリカブジネス界でも北米トヨタ躍進の立役者という評判も固まりつつありましたし、2005年でイケイケという事もあり、プレゼンは素晴らしい物でした。但し、直接会った印象は、背も低いし、歳が顔に出てやつれた印象があり,結構無理している感じを受けました。

で、ここから全く私の推測です。トヨタ一番の高給取りと言っても、ビッグ3(懐かしい響きになってしまいました)やその他のアメリカ企業のトップに比べて、低かったのではないかと思います。そんなトップに交じって財界活動をする中で、その人達と伍するために段々やる事が派手になって来て、お金が回らなくなったのではないでしょうか?それで、Toyota Federal Credit Union、つまりトヨタの共済組合から無担保で多額の借金をしたのではないかと思います。これも内規違反に近い物だったのではないかと思います。クライスラーへの移籍は、表面上ちゃんとした理由があるのですが、まとまったお金も必要だったのではないでしょうか。そして、クライスラーの報酬パッケージで返済し切れず、約$60万(約5千6百万円)の借金と税金の滞納が残ったのだと思います。

Toyota Federal Credit Unionの過去の与信枠の設定などは出てこないと思いますが、危ない話があったのではないでしょうか?

それにしても,クライスラー倒産前からのエグゼクティブでは、唯一生き残りであったし、クライスラー内では随一の自動車業界人でもありました。今年一杯で引退との予定だそうで、クライスラーへの影響は余りないのかもしれませんが、やっぱり、クライスラーの行く末は、暗そうです。

Jim Pressも実力は間違いなくあったと思いますが,とんだ食わせ者だったかもしれません。今頃トヨタもホッとしているのではないでしょうか?