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YS Journal アメリカからの雑感

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トヨタ車急加速問題 米運輸省が「電子制御に欠陥なし」と発表 (追記あり)

2011-02-10 07:16:47 | アメリカ自動車業界
昨年の7月にこちらで速報しているので、自分の中では終わっているニュースなのであるが、NHTSA(米国運輸省の道路交通安全局)が、「電子制御に欠陥なし」との調査結果を発表した。(NHTSA(米国運輸省の道路交通安全局)のニュースリリース

2年前のフロアーマットによるレスサスの暴走事故、ちょうど1年前のアクセルペダルのリコール、全く関係ないエベントがごちゃ混ぜになり、同時期に新型プリウスのソフトウエアの不手際等もあり、大騒ぎになった訳だが、これで公式に終了という事であろう。

背景として、トヨタの品質が落ちてきているのではないかという大きな疑問もあり、日本を代表する企業だけに、日本的な「ものづくり」の本質も含めて、話題性の大きな一連の出来事であった。

リーマンショック後、アメリカの自動車販売数は、GM、クライスラーの倒産との要因もあり、不連続になっており、このトヨタの一連の販売への営業が正しく計れないのだが、リコール部品交換や風評被害等で、少なからず影響があった。(シェアが2009年16.5%から14.2%に落ちている)但し、最近の復調の遅さは新型モデルの端境の方が、大きいと考えている。

トヨタ自身が、CCCP21 に始まる10年に及ぶコスト削減が、トヨタの品質優位性に及ぼした影響について、どのように総括したのかは、見えてこない。予想としては、細かいところを頑張って、品質の復活をしているような感じである。そうだとすれば、悲しいかなトヨタも普通の大きな自動車会社という位置を固めた事になる。

関連エントリー

日経 経済教室『ものづくり』再論 トヨタ問題の含意 (3-26-10)
Back to Basics for Toyota (2-24-10)
WSJ 2-6-10 (2-7-10)
トヨタ アクセルベダルリコール 今日対策発表 (2-1-10)
トヨタ リコール 続報 (1-29-10)
トヨタ リコール 生産の一時停止 (1-27-10) (このエントリーのコメントのやり取りは、自分の勉強になったし、やや手前味噌ながら、非常に面白いと思う)


ところで、この問題が大きくなり始めてた頃に、アメリカの陰謀であるという話があちこち(ブログだけでなく、評論家と称する人たちも)に出ていたが、今回の発表について、キッチリ、フォローする人はいるのであろうか?(まず、「アメリカ」からして、一体、何、誰の事を指しているのかが、さっぱり分からない)

フォード社のエクスプロラー横転騒ぎを知るものとしては、このトヨタの騒ぎも同じ様な展開をしていたので、最初からトヨタだから叩かれたと言った印象は全然なかった。但し、トヨタの広報の不手際で、必要以上に騒ぎが大きくなった可能性はある。

アメリカ人でも、アメリカによる言われ無きトヨタ叩き、日本叩きだと言う人もいて、それをわざわざ日本語訳して紹介したりする人までいた。

救いの無い人は、洋の東西を問わない様だ。


追記(2-12-11):TPP と関連付ける阿呆まで登場している。薄々、BLOGOS(ブロゴス)は玉石混合だと思っていたが、こんな記事が載っているのには、ビックリ。

デトロイトモーターショー

2011-01-19 10:26:00 | アメリカ自動車業界
デトロイトモーターショーこと、North American International Auto Show に、今週月曜日、Martin Luther King, Jr. の誕生日で学校がお休みの上の娘と行ってきました。(昨年のエントリーは、こちら。自分で読み返しながら、全体的な印象としては去年をより一層パワーダウンした感じ、内容的にはデジャブーな感じ)

テレビジャパンでやってる NHK ニュースでは、ホンダとトヨタしか出展してないと報道しておりましたが、大きな間違いで、マツダとスバルもちゃんと出展しておりました。(大勢に影響無いですけど)Chevrolet Volt が Car of The Year をとったりして、なにかと電気自動車が話題となっているのに、今年もニッサンは出展していない。

韓国勢は、Hyundai と Kia、中国は BYD のみの出展であった。

Hyundai は、個人的に興味の有るが、売れるかどうか疑問を持っている先月売り出されたばかりの高級車、EQUUS が置いてあった。運転席や後部座席に座ってみたが、結構良い。自分には関係無いクラスの車なので、これ以上の印象はない。韓国2社は、アメリカでのマーケットシェアも伸びており、デザインもあか抜けてきているので、後数年は、順調であろう。Kia 2011年モデルの OPTIMA のデザインも格段と良くなっており、サイズ的に、アコードやカムリ、シビックやカローラの中間といた感じなのだが、この辺の日本車のシェアを喰う可能性が高い。

一方、BYD は酷い。まず塗装がざらざら。内装もチープで、いかにアメリカ市場が価格に敏感であっても、購入の選択肢になるのには時間が掛かりそうだ。Geely は諦めたのか、出展していなかった。でも、年々中国人入場者が増えている様に思う。

どんな義理があるのか知らないが、部品会社である Denso, Michelin が、完全脱力状態で出展していた。

デトロイトに住んでいる限り、このショーは欠かさず見学しているし、これからも間違いなく行くと思いますが、ハッキリ言って終わっている。現在の経済状況と自動車産業の変遷で、デトロイトというロケーションに何のオーラもなくなってしまった。会場もデトロイト市が財政難で、立て替え計画も頓挫状態で老朽化するばかりだ。惨めなものだ。

ディスプレーも、申し訳程度にメーカーのコンセプトカーが置いてあるが、基本的に販売されている車を並べてあるだけだ。昔は、例えば、Jeep のブースでは、高い天井に届きそうな滝のディスプレイを登る Wrangler とかあったが、今年はカーペットの上にちょこんと展示してあるだけだ。各ブースにコンパニオン(死語?)はそれなりに配置されているのだが、キャデラックのブースで、黒のイブニングドレスを着た綺麗所が揃っていたりしたのは、遠い過去の事になってしまった。

各メーカーとも電気自動車に力を入れているのだが、やっぱりパッとしない。原油価格が$90を超え、ガソリン価格がガロン$3を超えているのに、全然盛り上がらない。やっぱり徒花だと確信した。話は横道にそれるが、今週ガソリンを入れる度に、この価格のままでは、消費者マインドが冷えきって(というか、消費に回すお金が無くなって)不況になるという思いが駆け巡った。

娘が楽しそうにいろんな車に潜り込んでいたのと、車に詳しいという事で父の威厳を示せたのが、救いだっただけだ。本当に寂しい。

入場料は、大人$12、子供$6、会場であるコボホール屋上の駐車代が$10。祝日で学校が休みなのに、ジャケットを着ずに会場まで行ける所に駐車出来るなんて、これも本当に寂しい。今週末まで開催されているが、私の様に惰性で毎年行くという人以外には、お勧め出来ない。

アメリカ、10月自動車販売数

2010-11-08 17:40:41 | アメリカ自動車業界
10月は、95万台、今年ここまでで952万台、年間1200万台は絶望的だ。

数字もパッとしないし、これと言った話題はないのだが日系絡みの販売を考えてみよう。

まず、トヨタが本当に元気がない。リコールの後遺症も残っていし、新モデルがない事も響いている。(新モデルの Highlander と Sienna の販売は増えている)中古車の残価値も少しづつ上がってきているらしいので、来年は少しは良い年になるかも。

連結で儲かっている Subaru と Suzuki は、アメリカ市場では対照的だ。

以前に Subaru の戦略を考えた事があるが、ホチボチ勘違いしそうな気配が出てきた。アメリカ現地生産も少ないので円高の影響も大きいはずで、値上げの理由が揃ってきた。

さて、 Suzuki は本格的に北米市場を放棄する気のようだ。これは非常に懸命だと思う。もし、何かの間違いで北米市場に小型車市場が出来たら、いつでも参入出来るので、無理する事はないだろう。鈴木修社長も80歳との事なので、アメリカ市場の再挑戦は、文字通り次世代であろう。

Accord vs Sonata 10月単月で販売数は、24,344 vs 17,505。まだまだホンダが圧倒的に強い。生産数は同じくらいなので、Sonata の在庫が積み上がっている可能性もある。(流通在庫を満たしている可能性も否定出来ないが)思ったより Accord が検討している。私の予想は外れるのか?

日系以外では、VW(フォルクスワーゲン)の調子が良い。デザインも嫌みがないしサイズもアメリカ向けに少し大きくなって、順調に伸びてきている。テネシー州に工場も建設中だし、今後に注目。

GM とクライスラーは、トラックが少し売れているので小康状態ではあるが、どうなる事やら。GM の IPO が予定されているが、倒産の時のアレンジメント、又、これからの特別減税措置(WSJ の記事)と政府の特別扱いがあるので、株価の妥当性についてこれから騒がしくなる事が予想出来る。

シェアシフトなど個別メーカーの動きは面白い事もあるのだが、全体にダイナミックさがないので、数字を眺めても今一心がときめかない10月の販売数であった。

追記(11-10-10):どうもスズキは、製造面でメキシコ進出を考えている噂を聞いた。VWとの提携もあるので然もありなんという感じである。それにしてもこの提携、一年経って考えてみると絶妙である。鈴木修社長、GMとの提携解消、VWとの提携と、素晴らしい冥土の土産だ。

better place

2010-10-20 17:05:07 | アメリカ自動車業界
電気自動車の普及に懐疑的な内容のエントリーを度々書いているが、現在の内燃機関の車に比べて航続距離が短い、充電時間が長い等、実用性が著しく劣るる事が、最大のネックだと考えている。

バッテリーを統一して、簡単に交換出来る様にすればある程度、解消するのではないかと考えている。ガソリンスタンドの変わりにバッテリースワップスタンドで、空のバッテリーを充電されたバッテリーと交換すれば良いのだ。

自動車業界全体としてはこのアイデアに懐疑的なようだが、同じ事を考えている人がいるもので、既に2007年に創立された better place という会社が、イスラエルとデンマークでそれぞれの政府のバックアップでネットワークを構築しつつある。オーストラリアと日本(政府の肝いりで、東京でのタクシーで試験的に実施)でのプロジェクトが始まる。

このアイデアに否定的な自動車業界の中にあって、ルノー・ニッサンのカルロス・ゴーンが例外的に、このアイデアを積極的に支持しており、スワップ出来る特別仕様になっている Renault Fluence (これって中身は Nissan Leaf ?)がこのスワップシステムの採用車種となっている。(Nissan Leaf は、スワップが出来ない設計)

但し、アメリカついては better place 創業者自身も未だ懐疑的で、小さな街乗り的な車では無く、SUVの様なサイズの電気自動車が開発されない限りの普及しないと考えている様だ。

市街地では、電気自動車の普及と二人三脚で、電気自動車の普及に不可欠なインフラとして急速に拡大する可能性も高いと思う。カーシェアリングでも、長時間のチャージの必要がなく回転効率が良くなるので、電気自動車の導入が進むだろう。

59秒でスワップ出来るらしい。電気自動車の充電の方法としては、これ以外にないと思う。(デモカーは、Nissan Leaf にしか見えない。右ハンドルだし)



しかし、フルチャージされたバッテリーで100マイル位しか走れないなら、私はやっぱり絶対にガソリン車だ。

プリウス 試乗(?)レポート

2010-09-11 12:57:13 | アメリカ自動車業界
たまたま出張で借りたレンタカーがプリウスだっただけで、厳密には試乗ではないのであるが、適当な表現が思い浮かばなかった。

今回の出張は、2泊3日で、ノースキャロライナ州とテネシー州で、殆どフリーウェイの運転であった。ノースキャロライナは平坦な所が多いが、テネシーの東部はアパラチア山脈の南端で、アップダウンのきつい所もある。出張中はずっと晴れで、最高気温は車の表示で華氏90度(32℃)を超えていたので、エアコンは入れっぱなしであった。(涼しくなった夜も)

借りた時での走行距離は22,000マイル(30,000キロ)。レンター会社はエイビス、一日$47で、保険や税金等全部込みで、3日間で$196.93であった。

3日間の走行距離は、831マイル。(1330キロ)仕事というより運転しに出張した感じである。いつもの通り制限速度プラス10マイルでの走行で、時速65-80マイル(96-128キロ)での運転であった。

消費したガソリンは、19.313ガロン、燃費は43マイル/ガロン(19.12キロ/リッター)。高速運転が殆どだったこともあり、カタログ値(48マイル/ガロン)よりも低い。しかし、350マイル走って8.5ガロンで満タンになった時は、随分得をした気になった。

高速運転が多かったので、常にエンジンが掛かっている状態であったが、やや非力な事は否めないが、エンジンが焼き付くのが心配といった感じはなかった。調べて分かったのだが、現在のエンジンは1.8Lのエンジンなので、時速80マイルなら無理無く走れのは当たり前であろう。いつも乗っているトーラスに比べてノイズも遜色無く、携帯電話も普通に出来た。

でも、エンジン回転が上がっているので、せわしない振動(良く制御されているが)があり、長時間運転した事もあり、疲労度がいつもより大きかった。シートの形状やポジションも今一で、いつもは出ない腰の筋肉痛がでた。

一番驚いたのは、停止状態でエアコンを掛けたままにするとみるみるバッテリーが減る事であった。3分1くらいになるとエンジンが掛かるのだが、フルの状態から5-10分程度でそんな状態になった。更に驚いたのは、この状態から走行すると、ほんの数マイルでフルチャージとなる事である。これらは、バッテリーのキャパが非常に小さい事と、エンジンの発電機としての性能が抜群に良い事を示している。

バッテリー技術の進歩が著しいといってもこの程度かと落胆した。バイブリッドを運転しながら、電気自動車の未来はまだまだ暗い事に思いが飛んでいった。

一口で結論付けると「悪くはないが私の様に高速を使って遠出する事が多い人には向いていない」といった所であろう。最初の給油した時の経済性に驚いたと書いたが、冷静に考えると、3.5Lのエンジンを積んでいるトーラスの、たった1.5倍しか燃費が良くないのである。また、燃料タンクが小さいので、満タンで450マイルしか走れない。18ガロンタンクのトーラスは高速だけだと500マイル以上は楽勝だ。よって350マイルで給油しなければならないというのは、「寸足らず」という感覚になる。

経済性やエコというのは分かるが、感覚的には、車の機能としては後退しているとしか思えないので、私にとっては不合格。チョイ乗りばかりだが、車が毎日必要という人にはうってつけの車であろう。カーシェアリングとの相性は抜群であろう。

追記(書き忘れ)
プリウスのハンドルが真ん丸で無く、真直ぐにした時のしたに当たる所がやや直線的になっていた。普通に運転している時には気にならないのだが、駐車場などでグルグル回すときには、違和感があった。人間工学的に考えられたデザインなのかもしれないが、意味が無いような気がする。

8月自動車販売数、ハイブリッド、Sonata、Nissan Leaf、レクサスとタタ(追記)

2010-09-02 05:52:23 | アメリカ自動車業界
車に関する話題をランダムに。

1)8月の新車販売台数

どうも8月の自動車販売数は、100万台をを切りそうだ。昨年の8月よりも悪い数字という事が、酷さを象徴している。(但し、昨年は、Cash For Clunkers (ポンコツ買換え補助金)があった)先日の住宅販売数と言い、アメリカの消費を表す数字は厳しいものばかりだ。

2)ハイブリッドの販売動向

車全体の売り上げが落ち込んでいる事もあるが、ハイブリッド車の落ち込みはもっと激しい。環境問題に敏感であるはずのサンフランシスコ地区でも落ちている。唯一、トヨタのプリウスだけが辛うじて4%売上げを伸ばしている。この2つの事実は、アメリカ人の車に対する感覚を象徴している。

先ず、ガソリンの値段が$3/ガロン(約70円/リッター)以下だと、わざわざハイブリッドを購入する気が無いという事である。そして、ハイブリッドである事が主張出来ない車は、乗りたく無いという事だ。外見でハイブリッドと認識出来るのはプリウスだけである。(ホンダのインサイトもあるが、販売数が少なすぎて認識出来る人はほとんどいないと思う)その他のハイブリッドは、全てガソリンエンジン車と同じ外観であるので、運転している方としてはハイブリッド車に乗っていると言う優越感を主張する事が出来ない。

自分の事を、アカデミー賞の会場に出かけるレオナルド・ディカプリオと同じだと回りに認識させる為には、プリウスでないとダメなのである。そのプリウスでさえも、伸び悩んでいるのである。

アメリカでは環境問題や気候変化(地球温暖化を含めて)をがなり立てた輩は、この夏の猛暑でも鳴りを潜めている。今年の夏はニューオリンズに大被害をもたらしたカタリーナ級のハリケーンが続発するとか言っていたが、そんな事もない。日本は、ハイブリッドの新車販売べースのシェアが半分を占めているそうだが、その真面目さが痛々しいくらいである。(ガソリンが高い切実性の現れか?)

3)2011 Hyundai Sonata

フルモデルチェンジをしたのだが、これが結構いけている。ボディーのラインは、ホンダのアコードと同様に BMW を真似していると思うのだが、 Hyundai の方が圧倒的にカッコ良い。写真より実物のほうがよりハッキリするので、自分で見比べてみて下さい。(Hyundai Sonata 2011Honda Accord 2011)ソナタはボリューム感があってグラマラスな感じ、アコードは直線的で神経質な感じのデザイン。

今年一月からの売上げでは、アコード18万台(7月末)に対しソナタ10万台であるが、2011年モデルの登場した8月以降の販売数がどうなるか注目である。

ソナタは BMW のボディーを真似しただけで無く、内装は完全にアコードを意識している作りになっている。そして価格は安めである。真似した方がカッコ良いとはどうした事だろう。韓国の勢いを感じさせるデザインである。

もう1つ賢いのは、2011モデルはV6エンジンの設定が無い事のである。生産効率が格段にアップするだろう。その上、ジョージア州で昨年暮れから稼働を始めた Kia 工場に SUV の Santa Fe を移管するので、アラバマ工場は Sonota だけの生産となるので尚更である。(年間30万台のキャパとなるらしい)V6を載せないのがどの時点での判断か分からないが、最大ライバルのアコードのV6の売上げが昨年から落ち込んでいる事を考えると、英断としか言いようがない。

唯一の心配は、今年暮れにハイブリッドバージョンを販売する事くらいか。(上記の2)に絡んで、要らぬ余計な手間が掛かるという意味で)

4)Nissan Leaf

値段も高いし、航続距離も短いし、余り成功するとは思えないのだが、ツール・ド・フランスで7年連続総合優勝(1999年から2005年)した Lance Armstrong が出演したテレビコマーシャルは好印象が残ったので紹介しておく。小さい頃に排気ガスの匂いが好きだったと言う本田宗一郎的な資質を持った人なら、鼻の奥に独特の匂いが蘇ると思う。(特にオイル上がりの白い煙)



5)レクサスとタタ
タタのナノについては、以前に出だしから減産を余儀なくなれており、厳しいスタートになった事を考えてみたが、その後、販売数は伸びてきているものの、今年の7月の販売数が9千台という事なので、苦戦が続いている。タタモータースとしては、フォードから買収したジャガー/ローバーの技術陣の協力を得ながら改良を進めていくとしている。

日本では、トヨタが満を持して国内販売を始めたレクサスが5周年を迎えたが、当初目標の半分の販売量しか達成してない。苦戦の理由は、ターゲットとする富裕層の独BMWやベンツなど高級輸入ブランドへのこだわりが予想以上に強かった事を一番にあげている。マーケティングの観点から考えると、品質が良くてもブランドイメージで負けている限り勝負にならないという事であろう。ベンツや BMW を所有する人のどの程度の人が、昔はトヨタを所有していたかは定かでないが、トヨタからレクサスという取り込みにも失敗しているのではないだろうか。

そう考えると、初めて車を買う人達をターゲットとし、段階的に全ての購入層を取り込もうという戦略は、大いに間違っているとしか言えない。日本では車も、特にトヨタはドブ板営業で人間関係で売っていた昔もあるが、今は日本でも通じないし、尚更世界では通じないのであろう。

トヨタは、インドでナノ的な車で勝負しなかった事は正解。日本でレクサスのブランド力は読み間違いといった所か。

「コツコツやる人、ご苦労さん」という事態を避けて、トヨタが中国、インドなどで儲ける為には、総合的で且つ分裂的なマーケティング戦略が必要であろう。(とっくに考えていらっしゃると思うけど)

Jim Press Heads to Nissan

2010-07-15 22:41:47 | アメリカ自動車業界
元北米トヨタのトップであり、クライスラーの副CEOであった Jim Press が、プライベートの問題も片付いたらしく、4ヶ月前からニッサンのコンサルトをしてるらしい。(Jim Press Heads to Nissan の記事)

ニッサンが彼に期待しているのは、ディーラー網の強化との事だ。素人目にみてもニッサンのディーラー網は、トヨタやホンダに見劣りしている。トヨタの販売網を築きレクサスを立ち上げた彼の手腕を使うのは、良い方法だと思う。アメリカ本社がカリフォルニアからテネシーに移った事で人の流出等があり、マーケティング等のまとまりが無くなってきている様だ。そう言われてみると、最近ニッサンで印象に残る宣伝や広告がない。今年の販売回復局面でも、元気がない。(これは、トヨタ、ホンダとも)シェアは微減である。

本人も認める通り根っからのカーセールスマンなのであろう。トヨタを去る時に、ディーラーから惜しむ声がたくさんでていた。

ここからは業界の内輪話になるのだが、どうもカルロス・ゴーンがホチボチ引退を考えているらしい。アメリカのトップ候補が既にいて、ジム・プレスが販促関係をまとめあげる事で、ゴーンの仕事を少しづつ引き継いで行く予定の様だ。

ニッサンは、ハイブリッドでは出遅れたが、電気自動車では取り敢えず先頭を走っている。ミシシッピー工場もミニバン Quest の大失敗から立ち直りつつある。この辺でプロダクトポートフォリオの見直しをして、販売戦略を刷新するには良い機会であろう。

Jim Press も雪辱戦の感があるので、面白い事になりそうである。もし、電気自動車が成功を収めるとするえば、カルロス・ゴーンと Jim Press の名前が歴史に刻まれる事になるであろう。(未だに電気自動車の普及には懐疑的だが)

大山鳴動して鼠一匹、トヨタ車の急加速「運転ミスの可能性」

2010-07-15 09:51:21 | アメリカ自動車業界
まだ、NHTSA(米国運輸省の道路交通安全局)の正式発表ではないのだが、今年の始めに大問題となったトヨタのアクセルベダルのリコールで、降って湧いた様な騒ぎとなった突然アクセルが吹き上り急加速する問題だが、問題のあったとされるトヨタ車数十台を調べ結果、エンジンが突然吹け上がったのではなく、運転者がブレーキと間違えてアクセルを目一杯踏み込んでいたケースばかりだった事が WSJ で報道されていた。(トヨタも社内調査結果と一致していると控えめなコメントをだしている)調査対象の車はどれもエンジンが突然吹け上がり、ブレーキを目一杯踏み込んでも止まらなかったと言うクレームがなされていた。

アウディも20年前に同じ様なクレームが続発しそうだが、今回のトヨタ同様運転手のミスと言う調査結果がでている。

散々、燃料供給の電子制御系の問題ではないかと大騒ぎになったのであるが、今の段階ではシロの様だ。そもそも昨年のフロアマットのリコール及び今年のアクセルペダルのリコールと、突然エンジンが吹き上がる問題は全く別で、リコールの前後になぜか突然5倍にも6倍にもなったこの手のクレームは、すっかりそれまでのレベルに落ち着いてきている。(ゼロではないけど)

燃料供給が電子制御になった25年位から、何度も何度もエンジンが突然吹き上がる事故(?)のうわさ話は、出ては消え、消えては出ているが、今回もアクセル絡みのリコールが連発したので、誘発された形であろう。

大山鳴動して鼠一匹にさえなりそうに無い気配である。

今年のリコールの時には、生産の一時中止という異例の措置を行い、デマに近い大騒ぎにも一線を画し、地道な広報活動を続けた作戦は功を奏した形である。米国議会も豊田社長を呼びつけたのは、ただのパーフォーマンスだったし、日本では技術的な理解もせずにアメリカの陰謀だと大騒ぎした人達もいたが杞憂であった。

トヨタ車の今年前半の販売シェアの落ち込みも昨年同時期に比べて1%以下なので、騒ぎの割に影響は軽微であった。アメリカ消費者の、トヨタ、ひいては日本車の品質が良いという認識が揺らがなかったと考えて良いと思う。

但し、生産のグローバル化で出てきた「ものづくりの今後の課題」にどう対処していくのかと言った本格的な議論は出てきていない。実害が思ったより少なかった事、やや後手に回ったものの乗り切った事で、変な自信になる事が心配になるくらいだ。元々トヨタの品質は他の日本メーカーに比べても良いので、得意の改善で乗り切れると考え始めていると思う。よっぽど下手を打たない限り、アメリカでトヨタが今回の様な騒ぎに巻き込まれる事はないだろう。霊験あらたかとは言えないまでもある種の免罪符を得たと思う反面、神秘的な高品質のオーラが無くなって普通の自動車メーカー(Big 3 に近くなったという意味で)になった様な気もする。

今後は魅力的な車を投入出来るかどうかだ。もし、トヨタの品質でクライスラーのデザインだったら売れると思うけどなー。

アメリカの自動車販売数増加の内容

2010-06-22 17:20:04 | アメリカ自動車業界
第一四半期のデータなので、ちょっと古いのだが、アメリカの自動車販売を一般消費者向けとフリートセールスと呼ばれる会社や政府向け、意外に大きいレンタカー向けの販売に分けた分析がでていたので紹介しておく。フリートセールスの利益は一般消費者向けより低く、その中でもレンタカー外車への販売は、バッドフリートと呼ばれるくらいで、更に低い。

前年比で16%の販売数がアップしているが、個人向けは6%増で、フリートセールスが61%増。比較の対象が2009年だけに、個人の向けの販売数は、驚く程低いレベルな事が分かる。フリートセールスは、販売数の約20%を占めている。

フリートセールスがこんなに増加した理由としては、大不況(それにしてもおかしな表現)による買い控えがあり、昨年暮れから今年の前半は景気が上向いている事で買い替えが進み、景気刺激策等で政府絡みの購入も増えている。

注目されるのは、ビッグ3(死語だが、馴染みがあるので)は、フリートセールスが昨年の倍以上となっている。日系で注目されるのは、本田が83%増となっている。元々フリートセールスには熱心で無かったのであるが、数の魅力には勝てないという事だろうか。今後、増収減益(割合という意味で)になるのだろうか?

面白いのは、Hyundai-Kia だけが、フリート販売を-18%と大きく減らしている。最近レンタカーで小型、中型だと Hyundai-Kia ばかりにあたっている様な気がしていたが、密かにポートフォリオをシフトさせているようだ。

生産能力が余っている日系は販売数が伸びないとフリートセールスに力を入れる可能性が高い。生産台数と利益率のバランスになるだろうが、もし本格的にのめり込むと麻薬の様に、切らす訳にはいかなくなると思う。韓国車メーカーの戦略とは対照的になる可能性が否定出来ない。

6月1日現在の在庫日数が、48日と歴史的にみても非常に低いレベルとなっている。5月の販売数が110万台と良かった事もあるが、むこう数ヶ月、生産数の落ち込みも心配しなくて良さそうである。2008年までに比べれば考えられない低いレベルであるが、販売、生産とも落ち着きを取り戻してきている。

そんななかで、スズキの在庫日数が117日と飛び抜けて多い。販売数の激減が原因ではあるのだが、カナダの GM との合弁工場でもスズキブランドでの生産はゼロである。GM と資本関係を解消した事が裏目に出ているのだろうか。もしかすると、北米マーケットより、インド、中国に集中する戦略なのかもしれない。(インドで生産拡大への積極投資の記事を最近読んだ)

6月ももうすぐ終わりで、半年の節目なので、改めてデータをみてみたい。

それにしても、アメリカの販売数のデータ分析は%でのものが多く、2008年以降の前年比などの数字のインパクト度合い等は、絶対数にも戻して考えないと勘違いしそうになる。

群馬的マーケッティング

2010-05-24 23:13:50 | アメリカ自動車業界
アメリカでスバルの販売が好調のようだ。スバル購入者はリピーターが多く、キャッシュ購入の割合も多く、やや特殊な購買層を形成している。

北米の販売が増えてくると、群馬辺りでは、スバルのブランドイメージが高くなり、Poorman's Audi から日本版 Audi になったと直ぐ勘違いするらしい。次に何が始まるかと言うと、顧客の忠誠心を過信して、Audi に対抗する価格の車を送り出す。そして、販売量減少という事になる。

スバルの人は、基本的になぜアメリカでスバルが売れるかを理解していない。ズバリ、安いから売れるのである。

スバル購入者のプロファイルは、高学歴でほどほど収入と言う層であり、典型的な購入者は、高校教師という事になる。つまり、購入額の上限が決まっており、それを超えると忠誠心はあろうとも、購買行動は関係なくなるのである。ニューイングランドなど、四駆が必要な地方もあるが、別にスバルを第一候補で考えている訳ではなく、四駆で比較的安いと言う選択肢なだけである。

四駆が必要でないと思われる、西部,南部でも売上げ伸びているらしい。宣伝も車(スバル)への愛をテーマにしている。機能ではなく、ブランド戦略に突入している。

段々と群馬の人々が同じ間違いを繰り返す要素は、増えて来ているようだ。

タタモータース、ナノの減産 (追記あり)

2010-05-18 09:32:00 | アメリカ自動車業界
今年一月に、Lilacさんとナノと電気自動車を巡って、楽しい議論をさせて貰った。結論は、ずっと先にならないと出ない息の長い話ではあるが、生産が始まったばかりのナノの減産のニュースを目にした。初年度25万台生産の予定であったが、12万5千から15万台位になるとサプライヤーに通告しているそうだ。

Lilacさんは、インドや新興国でナノが売れる言う前提があり、私も否定はしていない。しかし、減産が販売不振の結果だとすると、インド(他の新興国も同じだと思うが)ですら、屋根付き4輪オートバイのマーケットは、初めから無かったか、急速にセグメントが小さくなっているのではないだろうか。最低限の装備の車には、結局誰も乗りたくないということだろう。

未だ一年も経って無いの性急な結論であるが、売れる車は多少技術的な問題があっても最初から飛ぶように売れるものなので、今後、急激に売れ出す事は無いと思う。

怪我の功名的ではあるが、日本メーカーが手を出さなかったのは、正しかったのだ。

(どこかで書いた様な気がするが)、トヨタアメリカのR&Dの社長から、ナノの登場の数年前に、最低限の機能を備えた車のルノーと共同研究で、価格的には最低でも5千ドル(50万円)を超えてしまう結果になったと聞いたことがある。トヨタは、この研究を元に中国、インド、ブラジルを主なマーケットとして、既存の技術、そして緩い品質基準で、カローラクラスで一万ドルの車を出そうとしていた。(このプロジェクトはどうなったのだろう。記憶だと2012年くらいの立ち上げ計画だったので進行中か?)

自家用車は感情的で、少し見栄を張った買い物なのだろう。屋根付き4輪オートバイに乗るくらいなら、オートバイに家族皆がしがみ付いていたほうが、堂々としてられるのだろう。

もしトヨタの一万ドルCarプロジェクトが(進行中で)成功すれば、新興国購買層の感情的な許容下限を探ることになりそうだ。

電気自動車は、状況がはっきりするのにまだまだ時間が掛かるだろう。日産のリーフ、GM Volts (発電機としてのエンジンは乗っているが)の行方に引き続き注目である。これらの電気自動車も、まだまだ内燃機関自動車の延長上にあるので、電気自動車普及するかどうかの結論は、私の生きているうちに出ない可能性が高い。

日本では、もう何ヶ月もプリウスが一番売れている車との事で、既にハイブリッドが主流といっても過言ではないであろう。ヨーロッパもディーゼル、そしてハイブリッドが中心となっていき、北アメリカ、南アメリカ、アフリカは、ガソリン車の時代が続きそうだ。中国、インドも暫くは、ガソリン車だと思う。

馬力やスピードを求めなくなった結果、車のイノベーションはグラマラスではなくなった。ナノは、破壊的な価格であったが価値が見出されず、電気自動車は性能の点で、イノベーションではないと思う。

電気自動車の普及については懐疑的なので、改めて考えてみたい。

追記:5-23-10
トヨタの低価格車プロジェクトは EFC (Entry Family Car)。先ず、インドで「エティオス」で今年の暮れ立ち上げるようだ。価格は一万ドル(90万円)を切るレベルの想定で、年間7万台の販売を予定しているとの事。ちょっと慎重すぎる様な気がする。社内的には、15-20万台位を念頭においていると思う。このプラットフォーム、最初の構想ではブラジルなどへの展開を考えていたが、予定通り展開しているのだろうか?

トヨタとしては、この価格レベルが4輪自動車の最低レベルであると考えているのだと思う。既にある枯れているが確立されている技術を使って新興国のエントリーレベルを攻める戦略を5年以上も前に考えているとすると、やっぱりトヨタの実力は凄い。

今日の WSJ に燃えるナノの写真が出ていた。まだ、出て一年も経っていないのに、既に車両火災が2件出たという事で、無料検査を実施するとの事。販売はますます厳しくなりそうだ。

電気自動車の電力消費量

2010-05-10 08:55:13 | アメリカ自動車業界
もしアメリカの自動車(乗用車、SUV、ピックアップトラック)が全て電気自動車になってしまったら、アメリカの電気事情にどのような影響を及ぼすのか考えてみた。(データは2007年)

電気自動車の燃費(というかどうか?): 10km/kWh (三菱のアイムーブのデータ)
アメリカの自動車の年間総走行距離: 4,878,475,200,000km (3,049,047,000,000mile)
アメリカの電力消費量: 3,872,598,000,000kWh

アメリカの自動車は、アイムーブより重いので燃費はもう少し悪いと思うが、取り敢えず細工せずに考えると、全部電気自動車になると、電力消費量が12%アップする事になる。電気自動車は環境問題への対応がメインなので、局地的(都市部の公害削減)な問題を別にすると、この分の電力を、化石燃料以外で作らないとならない。風力や太陽発電では間に合わず、結局原子力発電という事になるであろう。電気自動車がガソリン車に性能で及ばす普及しないという要因が大きいが、発電量からも電気自動車の普及には疑問符が付く。

車に頼らず、公共交通機関の発達という発想もあるが、アメリカでは、はっきり言って無理であろう。

ちなみに、露店等でよく見るジェネレーターの排気量は 350CC 程度、家庭用(普通の一戸建て)のジェネレター(2000年問題の時にアメリカでは良く売れた)が 725 CC 思ったより小さな排気量であった。車のエンジンは、L4 2,000CC, V6 3,500CC 位が一般的である。目的が違うので単純比較は出来ないが、車を動かすエネルギーの大きさに改めて驚かされる。

アメリカで2億4千7百万台の登録があると考えると、アメリカ市場では少なくとも20-30年先までは、電気自動車はあだ花かニッチマーケットという結論以外にないであろう。(私は死ぬまで、内燃機関自動車に乗るぞー。)

今後車の需要が伸びると思われている中国とインドは、どのような自動車マーケットになるのであろう。有る程度人口密度が高いので、公共交通機関の充実に力を入れ、車(もしくは所有に)高い税金をかけて総量コントロールして、自動車は小型電気自動車で原子力発電とのセットでの発展を目指すのがベストの様な気がする。ロシア、ブラジルはアメリカ型のガソリン車でという感じになると思う。

こう考えると、エンジン、ハイブリッド、電気自動車の技術を持つ日本の自動車会社の未来は明るい。中国やインドが、欧米のメーカーを買収している隙に、その足元を戦略的に攻める好機の様な気がする。

最近タタの話題も聞かないが、あれもインドのあだ花だった(になる?)と思う。

今年2月までの自動車販売数と生産台数を眺めてみると

2010-03-09 13:00:47 | アメリカ自動車業界
先週アメリカの2月自動車販売数の発表で、フォードの大躍進とトヨタの苦戦にばかりが注目されたが、数字をじっくり見てみると、アメリカ経済と自動車産業の先行きが心配になってくる。(以下の統計数字は全て、Automotive News より引用)

最近やっと景気の最悪期を脱したというニュースが増えており、自動車業界でも楽観ムードが広がりつつあった。

まず、生産台数を見てみよう。今年2月までで、1,955,180 (年換算: 11,731,080)昨年比で 62% と順調な滑り出しである。このペースが続けば、年間1200万台も見えてきくる。この生産台数は、大不況以前の生産台数にせまる数字だ。楽観ムードを醸し出すのに申し分無い。

一方で、2月までの販売数であるが、1,479,456 (年換算: 8,876,736)昨年比で 10% しか伸びていない。2月は稼働日が少ないとか、北東、中西部で豪雪があり、販売数が伸び悩んだと言う説もあり、今のところこんなもんだという認識のようだ。どちらにしろ、生産台数との差 475,724 台はそのまま在庫になった事になる。

アメリカの自動車在庫台数は、昨年暮れで約百万台と言われていた。約1ヶ月強の在庫日数で、通常2ヶ月と言われているアメリカでは、非常に少ない数字であった。しかし、たったの2ヶ月で1.5倍になった計算である。

私の知っている日系一次サプライヤーが、4月以降の生産数を心配していたが、販売数と在庫数を見てみると、その恐怖感がひしひしと分かる。在庫が積み上がってきている以上、販売数を超える生産はしないばかりか、下手をすると在庫を絞る為にそれ以下になる可能性もある。

年初から生産が順調なので、Bullwhip 効果と思われる、原材料等の逼迫が顕著化しており、インフレ気味になっている。このままで行くと原材料の値上がり後に、需要がどんと減るということが起きそうだ。このまま販売数が伸びないと、昨年何とか乗り切ったがバランスシートが傷んでいるいるところは厳しい事になりそうだ。

自動車部品サプライヤーの中には、車も所詮消耗品なので、いつかは買い替えなければならないので需要が上向く事との希望的観測を持った楽観的な人が多いが、昨年に続いて今年の販売数を見るにつけ、需要の回復には思ったより時間が掛かりそうだ。

例えば、修理部品や修理工場の商売が好調と言うニュースも目にするし、自分の回りのでも、車の発祥地のそれも郊外でありながら、そして冬にも拘らず、自転車や徒歩の人が増えた様な気がする。

ミクロ的なシェアシフトは、例のトヨタの件があるので注目しているが、マクロ的なところでは景気回復の力無さとパラダイムシフト(一時的なものであると信じたいが)に気をつけながらモニターする必要がありそうだ。

ちょっと浮かれポンチになっていた事を大反省。

Back to Basics for Toyota

2010-02-24 09:17:26 | アメリカ自動車業界
Back to Basics for Toyotaは、今日ウォールスリートジャーナルに掲載された豊田章男社長の投稿である。(念のために全文コピーも下記に貼付けておく)これだけの英語が書けるなら、明日の公聴会も冒頭挨拶だけでなく、質疑応答も英語で出来るのではないかと思う。(シニカルな冗談です、念の為)

社長自ら、全社を挙げて、上から下まで、設計から製造まで、厳重な品質管理を行うと宣言している。

素晴らしいメーッセージではあるが、製造と購買の現場には、悪い影響が出ると思う。

トヨタ、サプライヤーの現場は、硬直して行くと思う。工程変更など、トヨタの改善活動のの中心であった事が出来難くなるだろう。一度確立された工程や材料の変更は、変化を嫌って厳しくなるだろう。これまでも 4M(Man, Machine, Material, Method) の変化点での品質問題発生は知られているので、工程変更は、事実上不可能になるのではないかと思う。一番大きいのは、トヨタの技術者のチャレンジ精神がより一層減衰する事だと思う。

サプライヤーに対しても製造現場では硬直化が進むが、昨年30%コスト削減を打ち出したばかりなので、品質改善との折り合いをどのように進めて行くのであろう。

今回のアクセルペダルの問題(電子制御は別問題)の遠因は、10年程前にトヨタ調達が打ち出した と CCCP 21 いうコスト削減プロジェクトにあるのではないかと思っている。 CCCP 21 の正式名称は忘れたが、21世紀に向けてのコスト削減プロジェクトであった。(前渡辺社長が調達の専務の時に打ち出して、その成功で社長になったと言う噂を聞いた事がある)当時、韓国車が復活の兆しを見せており、韓国車部品に比べてコスト競争力がないという危機感が強く、その時も30%のコスト削減要求をサプライヤーにしている。折しも、ニッサンが経営危機があり、ゴーンのサバイバルプランを打ち出し、成果が出始めた時期でもあり、サプライヤーに無理強いすれば出来る雰囲気もあった。トヨタは、もう少しお上品ではあったが、ある種のショック療法でもあった。設計的にも冒険していたし、サプライヤーベースの拡大も積極的であった。ここ数年、散発的に増えてきたトヨタの品質問題は、設計の余裕のなさ(その前に比べてという意味で)やコスト削減で余裕のないサプライヤーの製造現場での、本当にちょっとした事が原因になってきているのである。

トヨタはサプライヤーに対しても当然の様に、より一層の品質改善を強要すると思うが、その分は払う気があるのだろうか?資金が豊富なトヨタは自分の所はトコトンやるだろうが、サプライヤーに只でやれというのだろうか?それもサプライヤーの自由度を奪った上で。

サプライヤーとしては、トヨタはそれでも儲けさせてくれる有り難い OEM であった。ただグローバル展開が急速だっただけに、付いて来れない系列サプライヤーも出てきている。系列サプライヤーが大きくなり過ぎた事で、トヨタとしても濃淡を受けざる事情もある。海外では現調化の必要もあり、経営哲学が違う独立系のサプライヤーもいる。厳しい経済状況での危機であるので尚更、トヨタが今感じている恐怖感をサプライヤーに伝染させてはならないのである。悪い影響を出してはならないのである。

豊田社長のメッセージが、全トヨタサプライヤーにどのように届くか、届かす為にどのような戦術、戦略を行うのが注目される。それは絶対に日本的であってはならないと思う。兵站が延び切っていたにもかかわらず危機感がなかったトヨタにとって、目の前にある危機は、真のグローバル企業になる為の最大のチャンスでもあるのだ。

追記 (2/28/10): CCCP 21: Construction of Cost Competitiveness in the 21st Century


"Back to Basics for Toyota" By AKIO TOYODA WSJ February 23, 2010

The past several months have been humbling for all of us at Toyota. We are taking this experience to heart, making fundamental changes in the way our company does business. I can assure you that our response will be comprehensive.

The first step is taking care of vehicles on the road today. But it also means making even safer vehicles in the future―and being more open and transparent about any safety issues that arise.

Since last June, when I took over as president of the company, I have personally placed the highest priority on improving quality, not quantity. All Toyota vehicles bear my name. When cars are damaged, it is as though I am as well. I love cars, and I take the utmost pleasure in offering vehicles that our customers love. I, more than anyone, want Toyota's cars to be safe, and for our customers to feel safe when they drive our vehicles.

When my grandfather brought Toyota into the auto business in 1937, he created a set of principles that has always guided how we operate. We call it the Toyota Way, and its pillars are "respect for people" and "continuous improvement." I believe in these core principles. And I am convinced that the only way for Toyota to emerge stronger from this experience is to adhere more closely to them.

Toyota continues to produce many of the best vehicles in the world. Many of the customers who are bringing their vehicles to our dealers for repair continue to tell us how much they love our cars, and I deeply appreciate their loyalty.

Yet it is clear to me that in recent years we didn't listen as carefully as we should―or respond as quickly as we must―to our customers' concerns. While we investigated malfunctions in good faith, we focused too narrowly on technical issues without taking full account of how our customers use our vehicles.

Since we began selling cars in the United States more than 50 years ago, Toyota has done many things right. We've built a strong organization with nearly 200,000 dedicated team members at our plants, dealers and suppliers. Over the past two decades, we have won more than 700 top quality awards from various independent experts, among the highest of any auto maker. We've also led the industry in the development of hybrids, and we are investing billions in the development of next generation environmentally friendly vehicles.

Still, I recognize that we must do better―much better―in responding to safety issues.

This is why I am taking the company back to basics. Across Toyota, we are putting our customers, and the values on which our company was founded, front and center.

We have already taken a number of concrete steps. Our dealers and team members across America and around the world are making extraordinary efforts to deal with recalled vehicles quickly and conveniently. Toyota engineers have rigorously tested our solutions. And to further validate the safety of our vehicles, we've asked Exponent, a world-class engineering and scientific consulting firm, to conduct a comprehensive, independent analysis of our electronic throttle control system that we will make public when completed.

We are listening more closely to our customers' concerns, gathering information faster, and responding more effectively when there's an issue. In the U.S., we are expanding our field monitoring team and increasing our use of onboard vehicle diagnosis technology. Our commitment to move rapidly is underscored by the speed at which we recently launched recalls to address customer concerns about the Prius and Lexus HS250 antilock brake systems, which we are well on the way to completing.

More broadly, I am personally leading a company-wide effort to institute more stringent quality control. We've begun a top-to-bottom review of our quality control processes from design to production, sales and service. And we are assembling a group of distinguished independent safety experts to confirm that the enhanced quality controls we're putting in place conform to best industry practices.

As an added customer confidence measure, we also will be one of the first full-line vehicle manufacturers to make advanced brake-override systems standard on all of our new models world-wide, and we will include this new feature on an expanded range of existing models as well. This advanced "Smart Pedal" braking system will automatically cut engine power when the brake pedal and the accelerator pedal are pushed simultaneously.

In short, I pledge that Toyota will set a new standard for transparency and speed of response on safety issues. We also will strive to lead on advanced safety and environmental technologies. And I will continue to personally visit our sales and manufacturing workplaces to reaffirm the Toyota commitment to excellent quality.

President Obama has urged all auto makers to act quickly and decisively when problems are identified. I look forward to speaking directly to Congress and the American people tomorrow about the decisive actions Toyota is taking to make things right for our customers by building the safest vehicles in the world.

Mr. Toyoda is the president of Toyota Motor Corporation.

WSJ 2-6-10

2010-02-07 11:41:04 | アメリカ自動車業界
記事はこちら 写真がちっちゃいのですが、豊田社長です。

新聞のレイアウトまでは、ネットで探せなかったので写真貼付けておきます。純粋にデザインを見れば、上手いなーと思いますが、日本人で頭に血が上る人がいそうな気がします。今日の第一面ではなく、Weekend Journalと言う週末版の一面です。(一緒に配達されるます。)

英語ですが記事も貼っておきます。いきなり「臭いものには蓋をしろ」"If it stinks, put a lit on it." で始まっていたのでどうなる事かと思いましたが、見出しからも分かる通り、トヨタの危機管理の甘さを日本の他の事例も引き合いに出して検証しております。三菱電機のテレビ発火、シャープの洗濯機発火、雪印、ミートホープの写真も簡単なキャプッションと伴に掲載されておりました。

まあ、最後はトヨタが上手く処理する事で、いろんな意味で沈滞気味な日本を勇気づける事になるだろうと締めくくってありました。