年末恒例の白峰社書展が国立新美術館で開催されており、知人から案内をいただき出かけてきました。
この「白峰社書展」は、代表的な現代書の展示会と聞いているが、この数年毎回見せてもらっており、あの国立新美術館1階の約半分を使っての大展示会でした。
受付では、顔見知りの役員の方にお出迎えいただき今回の展示会開催までのご苦労の一端を伺ったが、企画は勿論、公募作品などの作者のたゆまない熱意と情熱の一端を聞かせてもらった。
今回も約400点を超す役員作品と公募作品が展示されていましたが、あまりに大作ばかりで全く「書」に対する見識のない自分にとっては、ただただ驚きながら観賞していたが、漢字・かなの文字の芸術であり、実に奥が深いアートである。
今回は、知人がグランプリである「白峰大賞」に選ばれたと聞いていたので、会場に入り真っ先に大賞作品へと案内されて見せていただいた。
丁度、審査員の先生から作品についての講評が行われていたので、一緒に拝聴させてもらい その線の流れるような美しさと、「天仰ぎ紅き合歓のはな無数なり こびとの掲げる花火のように・・」と、詩の情景が想い出されるような作品に感動していた。
専門書によると、「書」は作者の人となりを表すそうですが、どの作品にも個性がにじみ出ているようで、大賞の作品には薄墨の濃淡と線の流れが実にバランスが取れているようで、受賞の決め手になったのだろうか?(失礼) しばし、作品の前に釘付けとなっていた。
審査員の方々の名作は、大作ばかりで圧倒される迫力さへ覚えるが、その創作過程では創意や意欲、運筆などどんなご苦労があるのだろうかと、思いつつ芸術の素晴らしさに感動を覚えていた。
また、今回の作品を見せてもらっていると、東日本大震災からイメージされる復興への願いや苦労などを連想する作品が多かったようで、「地球はいま激怒している・・・」、「逢うて戻ればむかるみ・・・」、「二度とない人生だから・・・」、「生々流転」、「あるがままに」など、特に目を引いていた。
また、壁一杯に展示されている超大作が6点展示されていたが、ダイナミックな力強さや大きなスペースを一文字で描く迫力など、限りない文字の芸術の美が映しだされていた。
現代書の観方については、いつも戸惑いを感じており、殆ど主観的・直観的に観て好き嫌いで観てしまうが、今回も強いて好みで選んだのは、「炎のランナー」をイメージする「炎」と、柔らかい筆のタッチとほのぼのとした詩が気にいった「むらさきと白と黄いろのパンジーが・・・」でした。
書のある生活には、画とともに心温まるものがあり、書き手と観る人との心が通じ合うものを感じているが、折しも年末を控えて地域の子ども達のお習字の時間には、書き初めの練習が始まっているようで、幼少の頃に打ち込んだ書き初めの苦労が想い出されていた。
今回の主催者から頂いた案内書にも、書き初めの課題が掲載されていて、どんな作品が生まれてくるのだろうかと、別の楽しみを感じていた。
会場を後にすると、丁度日没時間だったので美術館からは、ビル群に沈みゆく稀にみる美しいダイヤモンドビル?が眺められていた。
【作品の撮影と掲載は、ご了解を得ております】