【J1:第33節 C大阪 vs 鹿島】レポート:ホーム最終戦で存分に見せた『レヴィーセレッソ』のサッカー。しかし、鹿島の勝負強さに屈し、悲願の初冠の夢、断たれる(13.12.01)
11月30日(土) 2013 J1リーグ戦 第33節
C大阪 1 - 2 鹿島 (14:03/長居/36,361人)
得点者:25' 大迫勇也(鹿島)、38' 柿谷曜一朗(C大阪)、85' 中村充孝(鹿島)
勝点56で並ぶ4位C大阪と5位鹿島の上位直接対決は、終盤の85分に中村充孝のゴールで勝ち越した鹿島がC大阪を2-1と下した。この結果、同日敗れた首位横浜FMとの差を3に縮めた鹿島は、リーグ優勝の可能性をつなぎとめた。一方、ホーム最終戦、そして通算8シーズンという長きにわたって率いた桜色のチームに攻撃サッカーを植え付けたレヴィークルピ監督のホームラストマッチを、C大阪は勝利で飾ることができず。悲願の初タイトルの夢は、今季も叶わなかった。
ラストチャンス、酒本憲幸が放ったFKからの右クロスに、茂庭照幸がヘッドで合わせるも、ボールが無情にも枠を外れていった瞬間、扇谷健司主審によるタイムアップのホイッスルが鳴り響いた。今季C大阪J1ホームゲーム最多となる3万6361人を飲み込んだ大阪長居スタジアムは、そのとき、鹿島サポーターの一帯を除き、ほぼ全体が、言葉を失った。C大阪の放ったシュート数は15本。そのうちの半数以上は決定機といえるようなものだったが、奪えたゴールは柿谷曜一朗の1点のみ。セットプレーを2度、しっかりと活かした鹿島の前に、C大阪は敗北の現実を受け入れざるを得なかった。
ただし、レヴィークルピ監督は試合後の会見で冒頭、こう振り返った。「C大阪は本当に美しい、いいサッカーをしたと思うし、最後まで勝ちに行く姿勢を見せ続けた」と。百戦錬磨の名伯楽が、「選手たちが見せてくれた姿勢には、本当に満足している。まったく後悔するような内容の試合ではない」と讃えるように、C大阪は持ち味の攻撃サッカーを前面に出した内容で、鹿島を追い込んでいた。鹿島のエース大迫勇也にも、「試合を通して、ボールを触る回数は今年1番少なかった」と言わしめるほどに。しかし、「残念ながら、結果は最悪の結果が出てしまい、改めてサッカーとはこういうものなんだなと感じている」(レヴィークルピ監督)。
C大阪にとって痛恨だったのが、鹿島に先手を取られたこと。C大阪は先制点を取った試合で13勝6分負けなしと、圧倒的な数字を残しており、そのパターンに持ち込めなかったのは、悔いが残る要因。今季、これまでの6敗がすべて先手を取られたものだっただけに、なおさらだ。しかも、遠藤康のCKに競り勝ち、大迫のゴールをお膳立てした岩政大樹に、「最初、マンマークしてこなかったので、それなら『点を取りますよ』という感じ」と言われたように、隙を突かれたことも、もったいなかった。「先制されて、同点にして、そこからまたセットプレーでやられるという流れ自体が、悪かった」、リーグ最少失点を牽引してきた1人、山下達也も、悔しさをにじませた。
それでも、レヴィークルピ監督は、「今日、本当に選手たちが走りきっていた、中身が本当に詰まった最高のゲームだった。そして、一言で言えば、スペクタクルなゲームだった。これを、選手たちには伝えた」と、最後まで戦い抜いたイレブンを責めることはなかった。また、「曜一朗のゴールは、私が、これまでの歴代のJリーグのなかで、一番美しいゴールと呼べるものではなかったかと思う」と、38分に愛弟子が見せた、まるでバレーボールの1人時間差攻撃のような、右足での絶妙な2度のタッチでの技ありゴールを絶賛していた。
「理由がどうとか、そんなんはどうでもよくて、勝てなかったことが残念」という柿谷をはじめ、C大阪の誰もがこの一戦の大事さをよく理解していた。そして、本気でタイトルを狙っていた。だから、勝ちたかった。勝たなければいけなかった。『レヴィーセレッソ』を、クラブの、Jの歴史に刻むために。ただ、残念ながら優勝の2文字は達成できなかったが、すべてが終わったわけではない。「次、まだあるので、しっかりといい準備をして、勝てばACLの可能性とかもあるので、そこは気持ちを切らさずにやっていきたい」(山下)。最後まで何が起こるか分からない2013年シーズンのJ1で、つかみ取りたいもの、取れるものはまだ残っている。『レヴィーセレッソ』の集大成を示すべく、最終節での勝利を、イレブンは改めて誓っていた。
一方の鹿島は、山村和也が出場停止のなかでの試合で、序盤にジュニーニョが負傷交代を強いられたのをはじめ、前半のみで遠藤もケガの影響でダヴィとの交代を余儀なくされ、さらに、19試合ぶりのリーグ戦先発だった岩政も試合中に肉離れを起こしたなかでのプレーも重なり、まさに満身創痍の状態で戦っていた。それでも、ここ一番の勝負強さ、いわゆる『鹿島らしさ』は健在だった。GK曽ヶ端準の再三の好守をはじめ、守備陣は身体を張ってC大阪の猛攻を耐えると、前線では大迫やダヴィらが相手DFへ脅威を与えた。そして、最後は緊急出場の中村が値千金の決勝ゴール。
「いかに我慢して、耐えて、点を取るところで取れば、勝てると思っていたから」。大迫がそう言うように、チームには簡単に崩れない自信があった。その勝者のメンタリティーの差が、鹿島とC大阪の結果を左右したのかもしれない。「得失点差もあるし、そうなると、超攻撃的にいかなきゃいけないけど、でも、優勝を狙うしかない。そのために1年やってきたんだし、難しいとは思うけど、そこしか見ていない」、背番号9のエースも前を向くように、歴戦の王者は、あくまでホームでの逆転優勝だけを見据えながら、勝点3を手土産に、浪速の地を後にした。
以上
2013.12.01 Reported by 前田敏勝
途中交代したジュニーニョ、ヤスだけでなく岩政も肉離れを起こしていたことを空かす前田氏のレポートである。
まさに満身創痍。
そのような中で勝利を掴んだのは鹿島の鹿島たる所以ではなかろうか。
アウェイの厳しい状況で、勝ち点3を得たことは大きい。
次節、大逆転連優勝を成し遂げるためにも、大量得点を目指そうではないか。
楽しみにしてスタジムに向かいたい。
11月30日(土) 2013 J1リーグ戦 第33節
C大阪 1 - 2 鹿島 (14:03/長居/36,361人)
得点者:25' 大迫勇也(鹿島)、38' 柿谷曜一朗(C大阪)、85' 中村充孝(鹿島)
勝点56で並ぶ4位C大阪と5位鹿島の上位直接対決は、終盤の85分に中村充孝のゴールで勝ち越した鹿島がC大阪を2-1と下した。この結果、同日敗れた首位横浜FMとの差を3に縮めた鹿島は、リーグ優勝の可能性をつなぎとめた。一方、ホーム最終戦、そして通算8シーズンという長きにわたって率いた桜色のチームに攻撃サッカーを植え付けたレヴィークルピ監督のホームラストマッチを、C大阪は勝利で飾ることができず。悲願の初タイトルの夢は、今季も叶わなかった。
ラストチャンス、酒本憲幸が放ったFKからの右クロスに、茂庭照幸がヘッドで合わせるも、ボールが無情にも枠を外れていった瞬間、扇谷健司主審によるタイムアップのホイッスルが鳴り響いた。今季C大阪J1ホームゲーム最多となる3万6361人を飲み込んだ大阪長居スタジアムは、そのとき、鹿島サポーターの一帯を除き、ほぼ全体が、言葉を失った。C大阪の放ったシュート数は15本。そのうちの半数以上は決定機といえるようなものだったが、奪えたゴールは柿谷曜一朗の1点のみ。セットプレーを2度、しっかりと活かした鹿島の前に、C大阪は敗北の現実を受け入れざるを得なかった。
ただし、レヴィークルピ監督は試合後の会見で冒頭、こう振り返った。「C大阪は本当に美しい、いいサッカーをしたと思うし、最後まで勝ちに行く姿勢を見せ続けた」と。百戦錬磨の名伯楽が、「選手たちが見せてくれた姿勢には、本当に満足している。まったく後悔するような内容の試合ではない」と讃えるように、C大阪は持ち味の攻撃サッカーを前面に出した内容で、鹿島を追い込んでいた。鹿島のエース大迫勇也にも、「試合を通して、ボールを触る回数は今年1番少なかった」と言わしめるほどに。しかし、「残念ながら、結果は最悪の結果が出てしまい、改めてサッカーとはこういうものなんだなと感じている」(レヴィークルピ監督)。
C大阪にとって痛恨だったのが、鹿島に先手を取られたこと。C大阪は先制点を取った試合で13勝6分負けなしと、圧倒的な数字を残しており、そのパターンに持ち込めなかったのは、悔いが残る要因。今季、これまでの6敗がすべて先手を取られたものだっただけに、なおさらだ。しかも、遠藤康のCKに競り勝ち、大迫のゴールをお膳立てした岩政大樹に、「最初、マンマークしてこなかったので、それなら『点を取りますよ』という感じ」と言われたように、隙を突かれたことも、もったいなかった。「先制されて、同点にして、そこからまたセットプレーでやられるという流れ自体が、悪かった」、リーグ最少失点を牽引してきた1人、山下達也も、悔しさをにじませた。
それでも、レヴィークルピ監督は、「今日、本当に選手たちが走りきっていた、中身が本当に詰まった最高のゲームだった。そして、一言で言えば、スペクタクルなゲームだった。これを、選手たちには伝えた」と、最後まで戦い抜いたイレブンを責めることはなかった。また、「曜一朗のゴールは、私が、これまでの歴代のJリーグのなかで、一番美しいゴールと呼べるものではなかったかと思う」と、38分に愛弟子が見せた、まるでバレーボールの1人時間差攻撃のような、右足での絶妙な2度のタッチでの技ありゴールを絶賛していた。
「理由がどうとか、そんなんはどうでもよくて、勝てなかったことが残念」という柿谷をはじめ、C大阪の誰もがこの一戦の大事さをよく理解していた。そして、本気でタイトルを狙っていた。だから、勝ちたかった。勝たなければいけなかった。『レヴィーセレッソ』を、クラブの、Jの歴史に刻むために。ただ、残念ながら優勝の2文字は達成できなかったが、すべてが終わったわけではない。「次、まだあるので、しっかりといい準備をして、勝てばACLの可能性とかもあるので、そこは気持ちを切らさずにやっていきたい」(山下)。最後まで何が起こるか分からない2013年シーズンのJ1で、つかみ取りたいもの、取れるものはまだ残っている。『レヴィーセレッソ』の集大成を示すべく、最終節での勝利を、イレブンは改めて誓っていた。
一方の鹿島は、山村和也が出場停止のなかでの試合で、序盤にジュニーニョが負傷交代を強いられたのをはじめ、前半のみで遠藤もケガの影響でダヴィとの交代を余儀なくされ、さらに、19試合ぶりのリーグ戦先発だった岩政も試合中に肉離れを起こしたなかでのプレーも重なり、まさに満身創痍の状態で戦っていた。それでも、ここ一番の勝負強さ、いわゆる『鹿島らしさ』は健在だった。GK曽ヶ端準の再三の好守をはじめ、守備陣は身体を張ってC大阪の猛攻を耐えると、前線では大迫やダヴィらが相手DFへ脅威を与えた。そして、最後は緊急出場の中村が値千金の決勝ゴール。
「いかに我慢して、耐えて、点を取るところで取れば、勝てると思っていたから」。大迫がそう言うように、チームには簡単に崩れない自信があった。その勝者のメンタリティーの差が、鹿島とC大阪の結果を左右したのかもしれない。「得失点差もあるし、そうなると、超攻撃的にいかなきゃいけないけど、でも、優勝を狙うしかない。そのために1年やってきたんだし、難しいとは思うけど、そこしか見ていない」、背番号9のエースも前を向くように、歴戦の王者は、あくまでホームでの逆転優勝だけを見据えながら、勝点3を手土産に、浪速の地を後にした。
以上
2013.12.01 Reported by 前田敏勝
途中交代したジュニーニョ、ヤスだけでなく岩政も肉離れを起こしていたことを空かす前田氏のレポートである。
まさに満身創痍。
そのような中で勝利を掴んだのは鹿島の鹿島たる所以ではなかろうか。
アウェイの厳しい状況で、勝ち点3を得たことは大きい。
次節、大逆転連優勝を成し遂げるためにも、大量得点を目指そうではないか。
楽しみにしてスタジムに向かいたい。