【AFCチャンピオンズリーグ2011 水原 vs 鹿島】レポート:逆境にも負けず再開初戦に気持ちの入った戦いを見せた鹿島イレブンは、敵地での貴重な勝点1を得る(11.04.07)
4月6日(水) AFCチャンピオンズリーグ2011
水原 1 - 1 鹿島 (19:30/水原/7,689人)
得点者:67' YEOM KI-HUN(水原)、71' 中田 浩二(鹿島)
水原ワールドカップスタジアムには水原サポーターから"YOU ARE NOT ALONE,JAPAN"、"NEVER GIVE UP,IBARAKI!"と書かれたバナーが掲げられ、鹿島の選手は喪章を腕にピッチに入る。そして、今回の震災で被災した方々への黙祷が捧げられると、ホイッスルが鳴り響き、1カ月ぶりに鹿島の面々が試合に戻ってきた。
ただし、中断期間を挟み1カ月以上試合から離れていた影響は否めず、序盤から鹿島は押し込まれる。選手間の距離が悪いため、攻撃に厚みを加えようと小笠原満男が前に出てもパスが繋がらず、水原の鋭い速攻に何度となくさらされた。特に、1トップに入ったHA TAE-GOON(背番号28)は身長が高くて体も強く、一気に加速するスピードを備えた危険なストライカーだった。ヘディング、そして強烈な左足と立て続けにシュートを許すも、曽ヶ端準の正面を突くなど、DF陣がなんとかコースを限定したことで事なきを得た。
また、硬いピッチも選手を悩ませる。不規則にバウンドするボールを抑え込めず、チーム随一の技術を持つ野沢拓也が処理にまごついてカウンターを浴びるなど、試合勘のなさが選手たちを苦しめていた。
だが、20分あたりに初めて落ち着いたボール回しができるようになると状況は一変。FWにパスが入るようになり、「とりあえず、マトのところを狙えということだった」(興梠慎三)という狙い通り、マト(背番号3)の周囲にさまざまな選手が飛び込んでいくことでチャンスをつくる。26分にはマトの背後に走り込んだ大迫勇也が倒されてFKを得たり、フェリペ・ガブリエルがゴール前に飛び出す動きを見せるなど、水原の最終ラインを慌てさせた。
しかし、そこで得点が決まらない。今季、いまだFWにゴールがなく、チームも未勝利である課題が露呈する。35分には裏に抜け出した興梠がGKと1対1の場面を迎えるも、ループシュートはゴールの上を越えてしまい、38分にはその興梠がスローインをスルーし、虚を突かれたマトが処理を誤るなか、ゴール前に飛び出したアレックスが同じように1対1のチャンスをつくるも、ループシュートはまたしてもゴールの枠外へ。良い流れをつくったものの得点には至らずに、前半を終えたのだった。
「前半の終わりくらいから相手もサイドのところのスペースを潰してケアすることを始め、1枚下げて後ろを抑える状況になったと思います」
オズワルド・オリヴェイラ監督の分析通り、水原はアンカーに入っていたOH BEOM-SEOK(背番号14)を、鹿島ボールになると最終ラインと同じ位置まで下げて対応してきた。そのため、後半になると裏に簡単に抜け出すチャンスは少なくなったものの、相手の中盤は枚数が減り、鹿島はセカンドボールを容易に拾え、支配率は鹿島が上回った。
ところが先に得点したのは水原。そろそろ疲れが出始める67分、一瞬の気の緩みが失点に繋がってしまう。左サイドからロングスローを放り込まれるとゴール前のマークはハッキリして折らず、岩政大樹が複数の選手に囲まれてしまい、満足に競り合えない。するとマトに競り負け逆サイドにふわりと浮いたボールをYEOM KI-HUN(背番号26)が頭で押し込み、先制点を奪う。それまで集中力を発揮していたが、この数分だけおかしな状態だったことが悔やまれる。
しかし、すぐに追い付いて見せたところがこの試合にかける鹿島の意気込みの強さだろう。切り札である本山雅志をピッチに送り出し、コーナーキックを得ると、岩政がニアサイドに飛び込みボールをすらす。するとファーサイドに流れた中田浩二はフリーになっており、難なくゴールを決め同点に追い付いた。
その後も、遠藤康、増田誓志を投入し、前線のスピード感を保ちながらカウンターのチャンスをつくったもののゴールまでには至らず、1-1のまま試合を終えた。
準備期間も短いなかで試合を迎え、しかも国内リーグで好調を維持している相手に対し、試合の主導権を握ったことは評価できる結果だ。ただ、主将の小笠原は満足していなかった。
「こういう時でも、しっかり勝てないと、優勝するためには、こういう試合を勝っていかないといけないと思うんで。これを、アウェイで引き分けて良しとするんじゃなくて、これも勝っていかないと優勝は見えてこない。次は必ず勝って帰りたいと思います」
確かに、今季の目標のひとつはアジア制覇だ。今回の内容を次に生かし、積み上げていかなければ到達することは難しいだろう。チームは試合翌日にはシドニーに飛び、そのまま現地で練習を続け、アウェイ2連戦に備える予定だ。厳しい状況は続くが、次のシドニー戦こそ、吉報を届けてくれるはずだ。
以上
2011.04.07 Reported by 田中滋
チャンスは多く作るが決めきれず、勝利に結びつかない。
昨年よりの問題を引きずっておることが見て取れる。
期待のカルロンは出場せず、田代もベンチを温めた。
とはいえ、新加入のアレックスは惜しい飛び出しを見せており、興梠も大迫もチャンスの山を造っておる。
もう少し、あと少しなのである。
昨季とは異なる結果はすぐ近くに来ておる。
この試合で試合勘を取り戻したチームは次の試合で覚醒すると信じておる。
南半球の試合に期待したい。
4月6日(水) AFCチャンピオンズリーグ2011
水原 1 - 1 鹿島 (19:30/水原/7,689人)
得点者:67' YEOM KI-HUN(水原)、71' 中田 浩二(鹿島)
水原ワールドカップスタジアムには水原サポーターから"YOU ARE NOT ALONE,JAPAN"、"NEVER GIVE UP,IBARAKI!"と書かれたバナーが掲げられ、鹿島の選手は喪章を腕にピッチに入る。そして、今回の震災で被災した方々への黙祷が捧げられると、ホイッスルが鳴り響き、1カ月ぶりに鹿島の面々が試合に戻ってきた。
ただし、中断期間を挟み1カ月以上試合から離れていた影響は否めず、序盤から鹿島は押し込まれる。選手間の距離が悪いため、攻撃に厚みを加えようと小笠原満男が前に出てもパスが繋がらず、水原の鋭い速攻に何度となくさらされた。特に、1トップに入ったHA TAE-GOON(背番号28)は身長が高くて体も強く、一気に加速するスピードを備えた危険なストライカーだった。ヘディング、そして強烈な左足と立て続けにシュートを許すも、曽ヶ端準の正面を突くなど、DF陣がなんとかコースを限定したことで事なきを得た。
また、硬いピッチも選手を悩ませる。不規則にバウンドするボールを抑え込めず、チーム随一の技術を持つ野沢拓也が処理にまごついてカウンターを浴びるなど、試合勘のなさが選手たちを苦しめていた。
だが、20分あたりに初めて落ち着いたボール回しができるようになると状況は一変。FWにパスが入るようになり、「とりあえず、マトのところを狙えということだった」(興梠慎三)という狙い通り、マト(背番号3)の周囲にさまざまな選手が飛び込んでいくことでチャンスをつくる。26分にはマトの背後に走り込んだ大迫勇也が倒されてFKを得たり、フェリペ・ガブリエルがゴール前に飛び出す動きを見せるなど、水原の最終ラインを慌てさせた。
しかし、そこで得点が決まらない。今季、いまだFWにゴールがなく、チームも未勝利である課題が露呈する。35分には裏に抜け出した興梠がGKと1対1の場面を迎えるも、ループシュートはゴールの上を越えてしまい、38分にはその興梠がスローインをスルーし、虚を突かれたマトが処理を誤るなか、ゴール前に飛び出したアレックスが同じように1対1のチャンスをつくるも、ループシュートはまたしてもゴールの枠外へ。良い流れをつくったものの得点には至らずに、前半を終えたのだった。
「前半の終わりくらいから相手もサイドのところのスペースを潰してケアすることを始め、1枚下げて後ろを抑える状況になったと思います」
オズワルド・オリヴェイラ監督の分析通り、水原はアンカーに入っていたOH BEOM-SEOK(背番号14)を、鹿島ボールになると最終ラインと同じ位置まで下げて対応してきた。そのため、後半になると裏に簡単に抜け出すチャンスは少なくなったものの、相手の中盤は枚数が減り、鹿島はセカンドボールを容易に拾え、支配率は鹿島が上回った。
ところが先に得点したのは水原。そろそろ疲れが出始める67分、一瞬の気の緩みが失点に繋がってしまう。左サイドからロングスローを放り込まれるとゴール前のマークはハッキリして折らず、岩政大樹が複数の選手に囲まれてしまい、満足に競り合えない。するとマトに競り負け逆サイドにふわりと浮いたボールをYEOM KI-HUN(背番号26)が頭で押し込み、先制点を奪う。それまで集中力を発揮していたが、この数分だけおかしな状態だったことが悔やまれる。
しかし、すぐに追い付いて見せたところがこの試合にかける鹿島の意気込みの強さだろう。切り札である本山雅志をピッチに送り出し、コーナーキックを得ると、岩政がニアサイドに飛び込みボールをすらす。するとファーサイドに流れた中田浩二はフリーになっており、難なくゴールを決め同点に追い付いた。
その後も、遠藤康、増田誓志を投入し、前線のスピード感を保ちながらカウンターのチャンスをつくったもののゴールまでには至らず、1-1のまま試合を終えた。
準備期間も短いなかで試合を迎え、しかも国内リーグで好調を維持している相手に対し、試合の主導権を握ったことは評価できる結果だ。ただ、主将の小笠原は満足していなかった。
「こういう時でも、しっかり勝てないと、優勝するためには、こういう試合を勝っていかないといけないと思うんで。これを、アウェイで引き分けて良しとするんじゃなくて、これも勝っていかないと優勝は見えてこない。次は必ず勝って帰りたいと思います」
確かに、今季の目標のひとつはアジア制覇だ。今回の内容を次に生かし、積み上げていかなければ到達することは難しいだろう。チームは試合翌日にはシドニーに飛び、そのまま現地で練習を続け、アウェイ2連戦に備える予定だ。厳しい状況は続くが、次のシドニー戦こそ、吉報を届けてくれるはずだ。
以上
2011.04.07 Reported by 田中滋
チャンスは多く作るが決めきれず、勝利に結びつかない。
昨年よりの問題を引きずっておることが見て取れる。
期待のカルロンは出場せず、田代もベンチを温めた。
とはいえ、新加入のアレックスは惜しい飛び出しを見せており、興梠も大迫もチャンスの山を造っておる。
もう少し、あと少しなのである。
昨季とは異なる結果はすぐ近くに来ておる。
この試合で試合勘を取り戻したチームは次の試合で覚醒すると信じておる。
南半球の試合に期待したい。