J1リーグ 第29節
鹿島アントラーズ:オズワルド オリヴェイラ 監督
Q:名古屋との勝ち点差が8となっているが?
これまで自分たちらしいやり方が試合によってできなかったこともあった。10分けのうち5試合ほどは我々が勝つに等しい試合ができていたのに同点にされたりと勝ち切れなかった。それが結果として勝ち点8という数字になったのだと思う。ただ、首位チームに勝つことはできたが残りのゲームでも1つ1つ詰めるかたちにもっていければ。苦しい状況であってもやるべきことをやっていく、この勝ち点8というのは可能性がなくなったわけではない。まだ可能性がある部分であって可能性があるかぎり選手たちとともに全力を尽くしていきたい。
名古屋はスーパーチームであって誰が出ても遜色なく質を保てるチーム。ケネディ、マギヌンをはじめとする外国人選手はもちろん、今シーズンは日本人選手でも能力の高い選手を補強したりしている。交代枠をみてもいろんな工夫ができると思った。我々はいろんな分析から相手の長所を出させないよう、相手の機能性を減らしていくことで相手の短所をもっていけるようチャンスを狙っていたなかで後半チャンスを作り出して1点をとることができた。2・3点目がとれるチャンスがあったがそれが決まっていれば、また試合も変わっていたかもしれない。このようなビックゲームで選手たちは献身的に、チームスピリットをもって戦った結果が勝利につながったのだと思う。
いろんなことがシーズン終盤におきている。とくにこの3年間、Jリーグでは終盤にどこが勝ってもおかしくない状況をみている。ただ最後までわからないのがサッカーの面白みであってこの名古屋との勝ち点差が優勝を経験しているかしていないかが影響してくるかしないかは最後までやってみないとわからない。
【マルキーニョス】
難しいゲームになることはわかっていたし、チームが一丸となって勝ち取った勝利だと思う。正直に言うとどういう形で得点をしたかを覚えてはいない。監督からは相手のボランチの裏で動くように指示を受けていた。その動きがあのゴールを生み出したのではないかと思う。トレーニングから積極的にシュートを打つ意識をしていたのでその部分がゴールに繋がってよかった。今日の勝利はサポーターの皆さんに捧げたい。
【野沢 拓也】
僕たちにとっては全てが決勝だし、まだその1つを勝っただけ。相手は前半からあまり前がかりにこなかったし、様子を伺っている感じだった。相手のボランチとDFの間でチャンスが作れたと思う。今日はゼロで抑えられたし、いい試合だったと思う。勝ててよかった。
【遠藤 康】
交代の時はいつも通りプレーしろという指示だった。自分が入った時にはスペースもあったし余裕を持ってプレー出来たと思う。最後は攻め込まれたけれども、今日はやられる感じはしなかった。次の試合でも出れたら点を取れるように頑張りたい。
【曽ヶ端 準】
しっかりマークにつけていたし簡単に競らせないでロングボールに対していい対応が出来たと思う。終盤に長身の選手を上げてくるのもわかっていたし、セカンドボールへの反応も良かった。いいゲームだったと思う。この勝利をきっかけに出来ればいいし、無駄にしないようにしなければいけない。
【岩政 大樹】
数字上は最後のチャンスだったし、いろんな意味でのラストチャンスだった。この勝利で優勝へのチャンスを掴んだとはまだ言えないが、それを掴むための挑戦権は得たと思う。途中から入ってきた選手も自然に試合に入ってくれたし、自分は前半から体力を消耗していたので助かった。
2010年11月07日(日)
本日行われたJ1第29節名古屋戦は、マルキーニョス選手のゴールが決まり、1-0で勝利しました。
【J1:第29節 鹿島 vs 名古屋】オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島)記者会見コメント(10.11.07)
11月7日(日) 2010 J1リーグ戦 第29節
鹿島 1 - 0 名古屋 (16:05/カシマ/27,969人)
得点者:59' マルキーニョス(鹿島)
●オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島):
Q:湘南戦(26節)はテレビでしか観てないですが、良くない出来だったと思う。ただ、そのあと横浜FM戦でスーパーサッカーをやって、新潟戦でもそうでした。そして今日も…。まさにチャンピオンらしいサッカーで名古屋を下したと思います。いま、鹿島と名古屋の勝点差は8あるんですね。この8差の意味はどういうことなんでしょうか?
「確かに、自分たちらしいやり方というのが、試合によってはできませんでした。それが10分けという数字に表れています。そのなかで5試合くらいは勝たなければいけなかった、あるいは勝ちに等しい内容でありながら引き分けてしまっていて、それがこの勝点差の要因になっています。ただし、可能性がなくなったわけではないので、その可能性がある限り全力を尽くしていくのが当たり前のことです。今日は首位のチームとの対戦で勝利を収めることができました。その差が8にもなっていますけど、1つ1つ差を詰めていく形にもっていければと思いますし、チームとして苦しい状況のなかでも、やるべきことをやらなければいけません。それを一人ひとりが割り切ってやっていかなければいけない部分であって、それが今日の試合を観れば、一人ひとりの姿勢で示されているわけで、クラブ全体でも全員で取り組んでいます。勝点8はまだ追い付くことが可能であり、その光がある限り、全力で選手たちとともに取り組んでいきたいと思います」
Q:今日の試合はビッグゲームで、この勝利が6ポイントに相当する大事な試合だったと思います。その試合の前に、名古屋に対してどの辺に注意して入ろうと思っていたのか。そして後半から遠藤選手を入れましたが、その狙いは?
「名古屋というのはただのチームではなく、スーパーチームです。それは誰が出ても、遜色なくできる、あるいは質を保ちながら戦えます。また、帰化した選手を含めると外国人も6人いるわけであって、ケネディ、ブルザノビッチ、ダニルソン、マギヌン、闘莉王、アレックス(三都主アレサンドロ)がいます。それにプラスして、今シーズンは日本人を、それも優秀な日本人を補強しました。今日の交代を見ても豪華なメンバーがいて、いろんな工夫ができるメンバーがいます。試合の状況に応じて、いろんな変化をもたらすことができます。紙の上だけで見れば、その差が部分的にあると思いますけど、ただ、自分たちは相手を分析した上で長所を出させないようにすること、機能性や効率性を働かさせない、あるいは回数を減らすということで、拮抗した試合になります。当然ながら相手も長所だけでなく短所もありますので、その短所が出るような状況に持っていければ、自分たちがチャンスをつくれるのではないかと思いました。選手たちが理解を深めて取り組んだ成果もあって、徐々に試合のなかでもチャンスを作り出して、そのなかで後半になって1点を取れました。そのあとも、相手がいろいろな変化してくる中で、我々の方でも1回か2回、試合を決定づけられるチャンスがあったわけであって、それを決めていれば、試合が楽になったかもしれません。ただ、こういった大きな試合で、選手たちがしっかりチームスピリットをもって戦った成果が勝利としてあるのではないかと思います。
交代についてですが、狙いは特にありませんでした。フェリペが足の痛みを訴えたのでやむを得ず、交代しなければなりませんでした」
Q:遠藤選手の交代に狙いがないということですが、ただ前半もチャンスをつくれていたけれども点が取れなかった。後半もまたチャンスをつくり、得点自体は相手のミスを突く形でしたが、前半と後半に狙いの違いはあったのでしょうか?
「ミスからの得点が悪いように捉えているようですが、ミスをさせる作業というものも、サッカーの一部としてあるわけですし、そういう形を相手に出させるようにすることがプランとして毎試合あるわけです。そういう風に持っていったときに相手がミスをして、我々が得点をしました。前後半ともにチャンスがつくれたのは我々が狙いとしていた形からでしたし、どんな形だろうと得点であり、我々がミスをして失点することがあるように、得点もミスから生まれるのもサッカーにおいては当たり前だと思います」
Q:先ほど話があった、グランパスの長所があって短所もあるという、その部分を具体的にお願いします。
「長所に関しては言えますが、短所については相手に対する敬意から申し上げることはしたくありません。長所については、あれだけ優秀な人材がいるということです。1人が抜けても、代わりの選手がいるわけであって、それは11人だけでなく、ベンチにもいて、ポジションによっては2人、3人いる場合もあります。その競争というものがあってチームが成り立っているのだと思います。短所については、各チームの担当者が見つけ出して、そこを突いていかなければならないということが一つ。もう一つは、僕が短所を申し上げる立場にはないと思います。逆に皆さんが、その仕事をやっている立場だと思いますし、そうしたことを見る立場だと思います。僕がそうしたことを言うのは対戦相手に対して敬意に欠ける言動だと思いますので、ご了承頂ければと思います」
Q:長所の部分ではケネディ選手の高さがあると思います。ケネディ選手の高さに対してはどういうプランで戦おうとしていたのでしょうか?
「確かに長所としてケネディ選手へのボールがあります。まずは彼が受けてから対応すると厳しくなってきます。その供給源を潰す、あるいは精度を落とさせることを徹底的にやらなければなりません。あとは、全部完璧にフィードする選手を邪魔できるわけではないので、ボールが入ったときにはまず、タイトなマークをする。そして、挟み込んでボールを奪うことで、彼の効率を下げようとしました。彼の効率によって、後ろから来る選手やサポートに入る選手が生きてくるわけなので、そこを極力働かせない作業をやれば、と思っていました」
Q:終盤、鹿島がリードしている展開の時、闘莉王選手らが入ってきてパワープレーでどんどんボールが入って来ることに対して、予想して選手に伝えていた部分はあるのですか?
「今日だけでなく、名古屋は試合に負けているときにそうした手段を使う傾向にあることは明確でした。それがどのタイミングなのか、どの選手が入って来るのかは、だいたい予想がつくことです。先ほども言いましたが、ケネディに入るボールとそのセカンドボールもそうだし、入った瞬間にどういう風に対応していくのか、途中交代で入って来る選手に対してどう対応するのかも話をしました。慌てずに対応することが選手たちはしっかりできたと思います。逆にその時間帯から、我々はチャンスを多く作り出すことができたと思います。2点目、3点目を取れた状況がありました。名古屋は、どうしても負けている状況のときは前に出てくる意識が強くなるので、スペースができます。恐らく上から見ていて3対3、4対4、逆にこっちが数的優位な状況もあったと思います。攻撃に関してはブルザノビッチ、闘莉王、ケネディを入れて、時には増川選手も入って、かなり平均身長が高くなる。そうなれば高いボール、空中戦で勝負をし始めるということはわかっていることです。それを落ち着いて、対応して耐えることができました。セカンドボールを拾って、相手が前に対する意識を高めてくるので、そういった同数や数的優位のときにものにできればいいかな、と思っていました」
Q:マルキーニョス選手が相手のボランチの裏でプレーするようにと指示を受けたと話していたのですが、そのあたりが名古屋に対する決定打となったのでしょうか?
「僕は今回だけ、そういう指示を出していただけではなく、また名古屋の欠点だとは捉えていません。どの試合でも、そこが使われるか使われないかの勝負であって、他の試合でもどのチームもそこを使うように狙っているわけであって、またダニルソン選手に関しても素晴らしいずば抜けた能力を持っている選手です」
Q:ちょっと趣向を変えてですね、先ほどストイコビッチ監督が「アントラーズはリスペクトしている、ただ最後に勝つのは俺たちだ」と確信を込めて言ってたんですね。70年代、80年代、ずっとヨーロッパに行っていて、現場の監督を知っているのですが、終盤5試合で選手たちの確信レベルをいかに高められるかが勝負どころだと、みんな言われていた。
ここで質問なんですけれども、名古屋は今まで優勝したことはない。ところが鹿島は冠たる歴史を持っている。最後の5試合で勝点差8だといっても、ないに等しいような差のように私は思うんですけど、その差が最後の5試合をすごく左右すると思うのですが、その点についてはいかがですか?
「僕自身もいろんな監督のもとで仕事をして、経験がありますので、試合の終盤にいろいろなことが起こることはわかっています。またJリーグにおいても、僕が来てからは最後のほうは混戦で、どこが勝ってもおかしくない状況が、最低でもこの3年間は僕自身が味わってきました。最後までわからない部分がサッカーのおもしろみではないかと思います。天気予報や交通情報は技術の進歩とともに、明日雨が降るのかどうかわかるようになりましたし、渋滞かどうかもわかるようになりました。ただし、サッカーというスポーツは不思議なことに、なにか機械で明日の結果がわかるようなものではありません。難しいところがあると思います。優勝を経験している者と、経験していない者の差が出るのか出ないのかも、わからない部分であって、もしかして出るかもしれないし、出ないかもしれません。それがサッカーのおもしろさだと思います。僕自身は、今後、残り数試合をあるなかで、こういう風に考え、こういう風に取り組もうと思っていると選手には伝えてあります。それを選手が納得して、取り組んでくる作業をずっとやってきたわけであってなにも変わったところはありません。特別なことは、自分自身は意識していません。皆さんの好きな数字の話をしますと、リーグ戦では10分けがありました。そのなかの5試合くらいは勝ってもおかしくありませんでした。その5試合があれば、もっと上の順位にいて、もっと楽だったはずです。ただ、リーグでも失点は少ない方であって、恐らくまだ失点も少なく、得失点差でも上位におり、負け数でも恐らく少ないはずです。引き分けという数字だけは断トツですが、数字上だけ見れば安定しているチームだと思います。もう少し引き分けが10回あるといことをシーズンはじめからわかっていれば、苦しいこともなかったでしょう。ただ、サッカーというのは一生懸命努力し続けて、そういう風になってしまったら仕方がありません。勝ちたいという気持ちだけで勝てるなら、どんなチームでも勝てているはずです。人間がやる以上、厳しいところがあり、気分が良いときもあり、悪いときもあります。いろんなところがあってのおもしろさのはずです。12月4日が最後の試合だと、リーグから言われているので、そこまでコツコツとやっていきたいと思っています」
以上
【J1:第29節 鹿島 vs 名古屋】試合終了後の各選手コメント(10.11.07)
●小笠原満男選手(鹿島):
Q:開始からプレスに行ったが?
「このチームはああいうところが大事になる。それができれば良い試合になる。自分が行くことでみんなもやってくれると思った。相手のボランチとセンターバックの前のスペースは監督からも言われたし、選手同士でも話していた。これからの試合もみんなでよく走って戦って、というのを出せれば勝てると思う」
●新井場徹選手(鹿島):
「最後まで集中して良い形でやれたんじゃないかと思う」
Q:名古屋の攻撃の印象は?
「この時期になると、どのチームも優勝とか降格とかがかかってくる。迫力を持って前に出てくるので、それに対して自分たちも迫力を持ってやろうと言っていた。ただ、これを勝っただけで、なにも得たわけじゃない。残り5試合、しっかり戦えるように集中して準備したい」
Q:意地もあったか?
「相手が首位どうこうより、周りでサポートしてくれる人もいるし、応援してくれるサポーターもいる。俺らが諦めムードでやっていたら失礼極まりない。そういう気持ちは微塵もないけれど、すべての力を出し切るつもりでやっている。これからは毎試合が勝負で、引き分けも負けに等しい。試合だけじゃなく、その準備も大事になる」
●曽ヶ端準選手(鹿島):
Q:倒れたジウトンに強く言っている場面があったが?
「担架が入ってしまうと外に出ないといけなくなる。ジウは高さもあるし、10人になってしまって、背の低い選手がマークに着くようになると困る。『早く立って』と言った。ジウもわかっていたと思う」
●岩政大樹選手(鹿島):
「今週は監督が目の前の的に厳しく行くように言っていたし、そういう練習をしてきた。一概には言えないけれど、この部分で勝てないと名古屋には勝てない。
これから最後まで連戦が続く。中2日で勝点3を取らないといけないのは厳しい。いろんなことに気をつけて取り組みたい。
今日は、今後もサポーターの皆さんを巻き込むことができるかどうかが大事だった。僕らのプライドを見せられないで終わることは避けたかった」
●伊野波雅彦選手(鹿島):
「闘莉王さんが出てなかったから、どこかのタイミングで出てくるのは予想していた。ただ、相手も前に来ればバランスを崩すこともあったので、そこを突いて2点目を取るというつもりでカウンターを仕掛けた。最後の場面は、(大岩)剛さんが入ってDFラインに人数が揃っていたので、全員が吸収されすぎないように意識していた。新潟の時は、みんながDFラインに吸収されてしまったので。今日の後半みたいなのが前半から出せれば、昨年、一昨年のアントラーズが戻って来ると思う」
[ J1:第29節 鹿島 vs 名古屋 ]
前半FKのチャンスを迎えた名古屋。このFKの玉田圭司が蹴るが、惜しくも枠を大きく外れてしまう。
[ J1:第29節 鹿島 vs 名古屋 ]
激しいマークに遭うケネディ(名古屋)。得点はなかったが、持ち前の高さに加え正確なポストプレーで鹿島守備陣の脅威となった。
[ J1:第29節 鹿島 vs 名古屋 ]
互いに得点なく迎えた59分、ホームの鹿島は左からジウトンのパスをマルキーニョスがワントラップからシュート。このシュートが見事左隅に決まり、待望の先制点をあげる。マルキーニョスは今季11点目のゴールとなった。
写真は得点をあげたマルキーニョスとジウトンが先制点を喜ぶ。
[ J1:第29節 鹿島 vs 名古屋 ]
結局J1天王山は鹿島がマルキーニョスの1点を守り切り、1-0で名古屋に勝利。勝点を52に伸ばし、名古屋との差を8に縮めた。
写真は試合終了後、サポーターに挨拶する鹿島の選手たち。
緊張感のある試合の明暗を分けたのは監督の戦略だったのではなかろうか。
コツコツとここまで積み上げた信頼感を裏切らず、プレイで応えた選手の力も大きい。
我等は勝利に値するチームであった。
鹿島アントラーズ:オズワルド オリヴェイラ 監督
Q:名古屋との勝ち点差が8となっているが?
これまで自分たちらしいやり方が試合によってできなかったこともあった。10分けのうち5試合ほどは我々が勝つに等しい試合ができていたのに同点にされたりと勝ち切れなかった。それが結果として勝ち点8という数字になったのだと思う。ただ、首位チームに勝つことはできたが残りのゲームでも1つ1つ詰めるかたちにもっていければ。苦しい状況であってもやるべきことをやっていく、この勝ち点8というのは可能性がなくなったわけではない。まだ可能性がある部分であって可能性があるかぎり選手たちとともに全力を尽くしていきたい。
名古屋はスーパーチームであって誰が出ても遜色なく質を保てるチーム。ケネディ、マギヌンをはじめとする外国人選手はもちろん、今シーズンは日本人選手でも能力の高い選手を補強したりしている。交代枠をみてもいろんな工夫ができると思った。我々はいろんな分析から相手の長所を出させないよう、相手の機能性を減らしていくことで相手の短所をもっていけるようチャンスを狙っていたなかで後半チャンスを作り出して1点をとることができた。2・3点目がとれるチャンスがあったがそれが決まっていれば、また試合も変わっていたかもしれない。このようなビックゲームで選手たちは献身的に、チームスピリットをもって戦った結果が勝利につながったのだと思う。
いろんなことがシーズン終盤におきている。とくにこの3年間、Jリーグでは終盤にどこが勝ってもおかしくない状況をみている。ただ最後までわからないのがサッカーの面白みであってこの名古屋との勝ち点差が優勝を経験しているかしていないかが影響してくるかしないかは最後までやってみないとわからない。
【マルキーニョス】
難しいゲームになることはわかっていたし、チームが一丸となって勝ち取った勝利だと思う。正直に言うとどういう形で得点をしたかを覚えてはいない。監督からは相手のボランチの裏で動くように指示を受けていた。その動きがあのゴールを生み出したのではないかと思う。トレーニングから積極的にシュートを打つ意識をしていたのでその部分がゴールに繋がってよかった。今日の勝利はサポーターの皆さんに捧げたい。
【野沢 拓也】
僕たちにとっては全てが決勝だし、まだその1つを勝っただけ。相手は前半からあまり前がかりにこなかったし、様子を伺っている感じだった。相手のボランチとDFの間でチャンスが作れたと思う。今日はゼロで抑えられたし、いい試合だったと思う。勝ててよかった。
【遠藤 康】
交代の時はいつも通りプレーしろという指示だった。自分が入った時にはスペースもあったし余裕を持ってプレー出来たと思う。最後は攻め込まれたけれども、今日はやられる感じはしなかった。次の試合でも出れたら点を取れるように頑張りたい。
【曽ヶ端 準】
しっかりマークにつけていたし簡単に競らせないでロングボールに対していい対応が出来たと思う。終盤に長身の選手を上げてくるのもわかっていたし、セカンドボールへの反応も良かった。いいゲームだったと思う。この勝利をきっかけに出来ればいいし、無駄にしないようにしなければいけない。
【岩政 大樹】
数字上は最後のチャンスだったし、いろんな意味でのラストチャンスだった。この勝利で優勝へのチャンスを掴んだとはまだ言えないが、それを掴むための挑戦権は得たと思う。途中から入ってきた選手も自然に試合に入ってくれたし、自分は前半から体力を消耗していたので助かった。
2010年11月07日(日)
本日行われたJ1第29節名古屋戦は、マルキーニョス選手のゴールが決まり、1-0で勝利しました。
【J1:第29節 鹿島 vs 名古屋】オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島)記者会見コメント(10.11.07)
11月7日(日) 2010 J1リーグ戦 第29節
鹿島 1 - 0 名古屋 (16:05/カシマ/27,969人)
得点者:59' マルキーニョス(鹿島)
●オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島):
Q:湘南戦(26節)はテレビでしか観てないですが、良くない出来だったと思う。ただ、そのあと横浜FM戦でスーパーサッカーをやって、新潟戦でもそうでした。そして今日も…。まさにチャンピオンらしいサッカーで名古屋を下したと思います。いま、鹿島と名古屋の勝点差は8あるんですね。この8差の意味はどういうことなんでしょうか?
「確かに、自分たちらしいやり方というのが、試合によってはできませんでした。それが10分けという数字に表れています。そのなかで5試合くらいは勝たなければいけなかった、あるいは勝ちに等しい内容でありながら引き分けてしまっていて、それがこの勝点差の要因になっています。ただし、可能性がなくなったわけではないので、その可能性がある限り全力を尽くしていくのが当たり前のことです。今日は首位のチームとの対戦で勝利を収めることができました。その差が8にもなっていますけど、1つ1つ差を詰めていく形にもっていければと思いますし、チームとして苦しい状況のなかでも、やるべきことをやらなければいけません。それを一人ひとりが割り切ってやっていかなければいけない部分であって、それが今日の試合を観れば、一人ひとりの姿勢で示されているわけで、クラブ全体でも全員で取り組んでいます。勝点8はまだ追い付くことが可能であり、その光がある限り、全力で選手たちとともに取り組んでいきたいと思います」
Q:今日の試合はビッグゲームで、この勝利が6ポイントに相当する大事な試合だったと思います。その試合の前に、名古屋に対してどの辺に注意して入ろうと思っていたのか。そして後半から遠藤選手を入れましたが、その狙いは?
「名古屋というのはただのチームではなく、スーパーチームです。それは誰が出ても、遜色なくできる、あるいは質を保ちながら戦えます。また、帰化した選手を含めると外国人も6人いるわけであって、ケネディ、ブルザノビッチ、ダニルソン、マギヌン、闘莉王、アレックス(三都主アレサンドロ)がいます。それにプラスして、今シーズンは日本人を、それも優秀な日本人を補強しました。今日の交代を見ても豪華なメンバーがいて、いろんな工夫ができるメンバーがいます。試合の状況に応じて、いろんな変化をもたらすことができます。紙の上だけで見れば、その差が部分的にあると思いますけど、ただ、自分たちは相手を分析した上で長所を出させないようにすること、機能性や効率性を働かさせない、あるいは回数を減らすということで、拮抗した試合になります。当然ながら相手も長所だけでなく短所もありますので、その短所が出るような状況に持っていければ、自分たちがチャンスをつくれるのではないかと思いました。選手たちが理解を深めて取り組んだ成果もあって、徐々に試合のなかでもチャンスを作り出して、そのなかで後半になって1点を取れました。そのあとも、相手がいろいろな変化してくる中で、我々の方でも1回か2回、試合を決定づけられるチャンスがあったわけであって、それを決めていれば、試合が楽になったかもしれません。ただ、こういった大きな試合で、選手たちがしっかりチームスピリットをもって戦った成果が勝利としてあるのではないかと思います。
交代についてですが、狙いは特にありませんでした。フェリペが足の痛みを訴えたのでやむを得ず、交代しなければなりませんでした」
Q:遠藤選手の交代に狙いがないということですが、ただ前半もチャンスをつくれていたけれども点が取れなかった。後半もまたチャンスをつくり、得点自体は相手のミスを突く形でしたが、前半と後半に狙いの違いはあったのでしょうか?
「ミスからの得点が悪いように捉えているようですが、ミスをさせる作業というものも、サッカーの一部としてあるわけですし、そういう形を相手に出させるようにすることがプランとして毎試合あるわけです。そういう風に持っていったときに相手がミスをして、我々が得点をしました。前後半ともにチャンスがつくれたのは我々が狙いとしていた形からでしたし、どんな形だろうと得点であり、我々がミスをして失点することがあるように、得点もミスから生まれるのもサッカーにおいては当たり前だと思います」
Q:先ほど話があった、グランパスの長所があって短所もあるという、その部分を具体的にお願いします。
「長所に関しては言えますが、短所については相手に対する敬意から申し上げることはしたくありません。長所については、あれだけ優秀な人材がいるということです。1人が抜けても、代わりの選手がいるわけであって、それは11人だけでなく、ベンチにもいて、ポジションによっては2人、3人いる場合もあります。その競争というものがあってチームが成り立っているのだと思います。短所については、各チームの担当者が見つけ出して、そこを突いていかなければならないということが一つ。もう一つは、僕が短所を申し上げる立場にはないと思います。逆に皆さんが、その仕事をやっている立場だと思いますし、そうしたことを見る立場だと思います。僕がそうしたことを言うのは対戦相手に対して敬意に欠ける言動だと思いますので、ご了承頂ければと思います」
Q:長所の部分ではケネディ選手の高さがあると思います。ケネディ選手の高さに対してはどういうプランで戦おうとしていたのでしょうか?
「確かに長所としてケネディ選手へのボールがあります。まずは彼が受けてから対応すると厳しくなってきます。その供給源を潰す、あるいは精度を落とさせることを徹底的にやらなければなりません。あとは、全部完璧にフィードする選手を邪魔できるわけではないので、ボールが入ったときにはまず、タイトなマークをする。そして、挟み込んでボールを奪うことで、彼の効率を下げようとしました。彼の効率によって、後ろから来る選手やサポートに入る選手が生きてくるわけなので、そこを極力働かせない作業をやれば、と思っていました」
Q:終盤、鹿島がリードしている展開の時、闘莉王選手らが入ってきてパワープレーでどんどんボールが入って来ることに対して、予想して選手に伝えていた部分はあるのですか?
「今日だけでなく、名古屋は試合に負けているときにそうした手段を使う傾向にあることは明確でした。それがどのタイミングなのか、どの選手が入って来るのかは、だいたい予想がつくことです。先ほども言いましたが、ケネディに入るボールとそのセカンドボールもそうだし、入った瞬間にどういう風に対応していくのか、途中交代で入って来る選手に対してどう対応するのかも話をしました。慌てずに対応することが選手たちはしっかりできたと思います。逆にその時間帯から、我々はチャンスを多く作り出すことができたと思います。2点目、3点目を取れた状況がありました。名古屋は、どうしても負けている状況のときは前に出てくる意識が強くなるので、スペースができます。恐らく上から見ていて3対3、4対4、逆にこっちが数的優位な状況もあったと思います。攻撃に関してはブルザノビッチ、闘莉王、ケネディを入れて、時には増川選手も入って、かなり平均身長が高くなる。そうなれば高いボール、空中戦で勝負をし始めるということはわかっていることです。それを落ち着いて、対応して耐えることができました。セカンドボールを拾って、相手が前に対する意識を高めてくるので、そういった同数や数的優位のときにものにできればいいかな、と思っていました」
Q:マルキーニョス選手が相手のボランチの裏でプレーするようにと指示を受けたと話していたのですが、そのあたりが名古屋に対する決定打となったのでしょうか?
「僕は今回だけ、そういう指示を出していただけではなく、また名古屋の欠点だとは捉えていません。どの試合でも、そこが使われるか使われないかの勝負であって、他の試合でもどのチームもそこを使うように狙っているわけであって、またダニルソン選手に関しても素晴らしいずば抜けた能力を持っている選手です」
Q:ちょっと趣向を変えてですね、先ほどストイコビッチ監督が「アントラーズはリスペクトしている、ただ最後に勝つのは俺たちだ」と確信を込めて言ってたんですね。70年代、80年代、ずっとヨーロッパに行っていて、現場の監督を知っているのですが、終盤5試合で選手たちの確信レベルをいかに高められるかが勝負どころだと、みんな言われていた。
ここで質問なんですけれども、名古屋は今まで優勝したことはない。ところが鹿島は冠たる歴史を持っている。最後の5試合で勝点差8だといっても、ないに等しいような差のように私は思うんですけど、その差が最後の5試合をすごく左右すると思うのですが、その点についてはいかがですか?
「僕自身もいろんな監督のもとで仕事をして、経験がありますので、試合の終盤にいろいろなことが起こることはわかっています。またJリーグにおいても、僕が来てからは最後のほうは混戦で、どこが勝ってもおかしくない状況が、最低でもこの3年間は僕自身が味わってきました。最後までわからない部分がサッカーのおもしろみではないかと思います。天気予報や交通情報は技術の進歩とともに、明日雨が降るのかどうかわかるようになりましたし、渋滞かどうかもわかるようになりました。ただし、サッカーというスポーツは不思議なことに、なにか機械で明日の結果がわかるようなものではありません。難しいところがあると思います。優勝を経験している者と、経験していない者の差が出るのか出ないのかも、わからない部分であって、もしかして出るかもしれないし、出ないかもしれません。それがサッカーのおもしろさだと思います。僕自身は、今後、残り数試合をあるなかで、こういう風に考え、こういう風に取り組もうと思っていると選手には伝えてあります。それを選手が納得して、取り組んでくる作業をずっとやってきたわけであってなにも変わったところはありません。特別なことは、自分自身は意識していません。皆さんの好きな数字の話をしますと、リーグ戦では10分けがありました。そのなかの5試合くらいは勝ってもおかしくありませんでした。その5試合があれば、もっと上の順位にいて、もっと楽だったはずです。ただ、リーグでも失点は少ない方であって、恐らくまだ失点も少なく、得失点差でも上位におり、負け数でも恐らく少ないはずです。引き分けという数字だけは断トツですが、数字上だけ見れば安定しているチームだと思います。もう少し引き分けが10回あるといことをシーズンはじめからわかっていれば、苦しいこともなかったでしょう。ただ、サッカーというのは一生懸命努力し続けて、そういう風になってしまったら仕方がありません。勝ちたいという気持ちだけで勝てるなら、どんなチームでも勝てているはずです。人間がやる以上、厳しいところがあり、気分が良いときもあり、悪いときもあります。いろんなところがあってのおもしろさのはずです。12月4日が最後の試合だと、リーグから言われているので、そこまでコツコツとやっていきたいと思っています」
以上
【J1:第29節 鹿島 vs 名古屋】試合終了後の各選手コメント(10.11.07)
●小笠原満男選手(鹿島):
Q:開始からプレスに行ったが?
「このチームはああいうところが大事になる。それができれば良い試合になる。自分が行くことでみんなもやってくれると思った。相手のボランチとセンターバックの前のスペースは監督からも言われたし、選手同士でも話していた。これからの試合もみんなでよく走って戦って、というのを出せれば勝てると思う」
●新井場徹選手(鹿島):
「最後まで集中して良い形でやれたんじゃないかと思う」
Q:名古屋の攻撃の印象は?
「この時期になると、どのチームも優勝とか降格とかがかかってくる。迫力を持って前に出てくるので、それに対して自分たちも迫力を持ってやろうと言っていた。ただ、これを勝っただけで、なにも得たわけじゃない。残り5試合、しっかり戦えるように集中して準備したい」
Q:意地もあったか?
「相手が首位どうこうより、周りでサポートしてくれる人もいるし、応援してくれるサポーターもいる。俺らが諦めムードでやっていたら失礼極まりない。そういう気持ちは微塵もないけれど、すべての力を出し切るつもりでやっている。これからは毎試合が勝負で、引き分けも負けに等しい。試合だけじゃなく、その準備も大事になる」
●曽ヶ端準選手(鹿島):
Q:倒れたジウトンに強く言っている場面があったが?
「担架が入ってしまうと外に出ないといけなくなる。ジウは高さもあるし、10人になってしまって、背の低い選手がマークに着くようになると困る。『早く立って』と言った。ジウもわかっていたと思う」
●岩政大樹選手(鹿島):
「今週は監督が目の前の的に厳しく行くように言っていたし、そういう練習をしてきた。一概には言えないけれど、この部分で勝てないと名古屋には勝てない。
これから最後まで連戦が続く。中2日で勝点3を取らないといけないのは厳しい。いろんなことに気をつけて取り組みたい。
今日は、今後もサポーターの皆さんを巻き込むことができるかどうかが大事だった。僕らのプライドを見せられないで終わることは避けたかった」
●伊野波雅彦選手(鹿島):
「闘莉王さんが出てなかったから、どこかのタイミングで出てくるのは予想していた。ただ、相手も前に来ればバランスを崩すこともあったので、そこを突いて2点目を取るというつもりでカウンターを仕掛けた。最後の場面は、(大岩)剛さんが入ってDFラインに人数が揃っていたので、全員が吸収されすぎないように意識していた。新潟の時は、みんながDFラインに吸収されてしまったので。今日の後半みたいなのが前半から出せれば、昨年、一昨年のアントラーズが戻って来ると思う」
[ J1:第29節 鹿島 vs 名古屋 ]
前半FKのチャンスを迎えた名古屋。このFKの玉田圭司が蹴るが、惜しくも枠を大きく外れてしまう。
[ J1:第29節 鹿島 vs 名古屋 ]
激しいマークに遭うケネディ(名古屋)。得点はなかったが、持ち前の高さに加え正確なポストプレーで鹿島守備陣の脅威となった。
[ J1:第29節 鹿島 vs 名古屋 ]
互いに得点なく迎えた59分、ホームの鹿島は左からジウトンのパスをマルキーニョスがワントラップからシュート。このシュートが見事左隅に決まり、待望の先制点をあげる。マルキーニョスは今季11点目のゴールとなった。
写真は得点をあげたマルキーニョスとジウトンが先制点を喜ぶ。
[ J1:第29節 鹿島 vs 名古屋 ]
結局J1天王山は鹿島がマルキーニョスの1点を守り切り、1-0で名古屋に勝利。勝点を52に伸ばし、名古屋との差を8に縮めた。
写真は試合終了後、サポーターに挨拶する鹿島の選手たち。
緊張感のある試合の明暗を分けたのは監督の戦略だったのではなかろうか。
コツコツとここまで積み上げた信頼感を裏切らず、プレイで応えた選手の力も大きい。
我等は勝利に値するチームであった。