【Jリーグ】黄金世代と若手がうまく融合した鹿島がJ1を3連覇
最後のJ1昇格切符は湘南へ
12月5・6日の週末は極めて多忙だった。まず日本時間5日深夜2時から始まった2010年ワールドカップ抽選を見守り、昼から湘南ベルマーレのJ1昇格への最終戦をテレビで見ながら埼玉へ。浦和レッズ対鹿島アントラーズ戦を現地で取材した。その後、故郷・松本へ直行し、6日は地域リーグ決勝大会決勝ラウンド最終日を取材。応援している松本山雅のJFL昇格を見届けた。まさにサッカーネタ満載の週末だったので、何から書いたらいいか迷ってしまう。まずはJ最終日の総括をしたいと思う。
J2最終節の方は湘南が水戸ホーリーホックに3-2で逆転勝利し、11年ぶりのJ1復帰を果たした。反町康治監督の最大の功績は「万年J2」になりがちだった選手たちのメンタリティを変えたことだろう。99年シーズンを最後にJ2落ちして10年間。選手たちは上を目指していたものの、知らず知らずのうちにJ2に慣れてしまっていたのではないか。フジタが撤退しメインスポンサーもないクラブは資金的に乏しい。そのことも言い訳になりうる状況だった。それを古巣に戻った反町監督は許さなかった。
1年前の就任会見。指揮官は「万年J2なんて絶対に言わないでほしい」と語気を強めた。「今の若いやつは自分で切符も買えない。キャンプに一番安い方法で来たやつに商品を出すくらいのことをしたい」と反町監督は話すなど、何でも自分でやるという当たり前のことを選手たちに徹底させようとした。その心意気は選手にも伝わったようだ。
加えて、ベテランにも奮起を促した。今やミスター湘南となった坂本紘司は事あるごとに「監督との信頼関係がすごく強い。ソリさんについていけば上がれる」と言い続けた。今季は4-3-3の左MFに置かれ、相当な運動量を求められたが、それにも耐えて出場停止1試合を除く50試合に出場。水戸戦では阿部吉朗の逆転弾をアシストするパスを出した。性格的に優しいがゆえに、少し甘いところのあった坂本に厳しさが出てきたのを見ても、反町監督のアプローチの成功が伺える。彼自身も北京五輪惨敗という屈辱を経て、一皮向けたのかもしれない。
そしてJ1優勝の方だが、鹿島が確実に浦和を下した。今季の彼らは前半戦だけを見れば、早々とJ3連覇の偉業を果たしていてもおかしくなかった。が、ACLラウンド16でFCソウルにPK負けし、ナビスコカップ準々決勝で川崎に逆転負けしたあたりから歯車が狂い始めた。8月~10月にかけてはJ1の9試合で僅か2勝という苦境に陥った。ともすれば、勝てないチームはバラバラになってしまう。「守備陣が守りきれないからだ」「FWが決定力不足だから」と文句が出て、監督・フロント批判が繰り広げられる…という悪循環に陥るケースは枚挙に暇がない。
けれども、今季の鹿島はそうではなかった。中田浩二はこう話す。
「9月26日の名古屋戦の後、みんなで決起集会をしたんだけど、そこで出ている選手、出てない選手がみんな言いたいことを言った。俺はそれまで控えだったし、普段言えないことも多かったけど、チームの方向性を確認できてすっきりした面はあるよね。それに鹿島はサブでも奥野(僚右コーチ)さんたちが同じコンセプトを植えつけてくれるから、試合に出てもすぐ同じことをやれる。だから俺も終盤に仕事ができたんじゃないかな」
今の鹿島は中田、小笠原満男、本山雅志ら黄金世代が軸となっている。彼らが中心となってチームをまとめたことで、若い興梠慎三や内田篤人が思いきりのいい仕事をするようになった。内田のクロスに興梠が飛び込んで興梠がダイビングヘッドを決めた浦和戦の決勝点が若手の成長を大いに物語っている。「今のチームはすごくバランスがいい」と主将・小笠原も強調していた。
結束力の強いチームを作るには、指揮官の手腕が重要だ。オリヴェイラ監督は苦境に陥っても決して選手を責めず、「同じことを繰り返していれば必ず結果は出る。選手を信頼している」と言い続けた。指揮官がブレなければ選手もナーバスにはならない。「ウチには戻る場所があった」と本山も話していたが、前線からの守備・素早い攻守の切り替え、状況に応じたリズムの変化など、鹿島らしいベースがあったからこそ、追い込まれた時に底力を発揮できたのだろう。
そんな現場を支えるフロントの功績も大だ。鹿島はJ発足から17年間同じ体制でチーム強化をしている。「サッカーが面白くない」「ブラジル路線は時代遅れだ」と批判を受けながらも決してコンセプトを変えなかった。「継続は力なり」という言葉があるように、1つのことを実践し続けることの重要性を彼らは示している。
ただ、鹿島も主要選手が高齢化しつつあり、過渡期を迎えているのは事実。このまま常勝軍団で居続けるのか、それとも磐田のような道を辿るのか…。全ては来季以降にかかっている。
元川 悦子 12月07日17:06
悦っちゃんのコラムである。
Jリーグの優勝チームについて書いておる。
継続したことが結果につながったとの鹿島の評。
それは正しい見方であろう。
しかしながら、主要選手の高齢化を指摘する。
小笠原満男やユダはまだまだ出来る年代であろう。
来季には問題はないと言い切れる。
とはいえ、二年先、三年先を見越せば、何かしらの手を打つことは必要となろう。
それはフロントも気づいておる。
来季は世代交代と明言しておるのである。
その布石としての金崎へのオファーであり、土居くんの練習参加であろう。
三年前に今のスタメンが予想出来なかったように、三年後のスタメンを今予想することは難しい。
しかしながら、その困難なプランを立て実践するのがフロントの業務である。
未来予想図を描いて、且つ勝利を掴み続けて欲しい。
最後のJ1昇格切符は湘南へ
12月5・6日の週末は極めて多忙だった。まず日本時間5日深夜2時から始まった2010年ワールドカップ抽選を見守り、昼から湘南ベルマーレのJ1昇格への最終戦をテレビで見ながら埼玉へ。浦和レッズ対鹿島アントラーズ戦を現地で取材した。その後、故郷・松本へ直行し、6日は地域リーグ決勝大会決勝ラウンド最終日を取材。応援している松本山雅のJFL昇格を見届けた。まさにサッカーネタ満載の週末だったので、何から書いたらいいか迷ってしまう。まずはJ最終日の総括をしたいと思う。
J2最終節の方は湘南が水戸ホーリーホックに3-2で逆転勝利し、11年ぶりのJ1復帰を果たした。反町康治監督の最大の功績は「万年J2」になりがちだった選手たちのメンタリティを変えたことだろう。99年シーズンを最後にJ2落ちして10年間。選手たちは上を目指していたものの、知らず知らずのうちにJ2に慣れてしまっていたのではないか。フジタが撤退しメインスポンサーもないクラブは資金的に乏しい。そのことも言い訳になりうる状況だった。それを古巣に戻った反町監督は許さなかった。
1年前の就任会見。指揮官は「万年J2なんて絶対に言わないでほしい」と語気を強めた。「今の若いやつは自分で切符も買えない。キャンプに一番安い方法で来たやつに商品を出すくらいのことをしたい」と反町監督は話すなど、何でも自分でやるという当たり前のことを選手たちに徹底させようとした。その心意気は選手にも伝わったようだ。
加えて、ベテランにも奮起を促した。今やミスター湘南となった坂本紘司は事あるごとに「監督との信頼関係がすごく強い。ソリさんについていけば上がれる」と言い続けた。今季は4-3-3の左MFに置かれ、相当な運動量を求められたが、それにも耐えて出場停止1試合を除く50試合に出場。水戸戦では阿部吉朗の逆転弾をアシストするパスを出した。性格的に優しいがゆえに、少し甘いところのあった坂本に厳しさが出てきたのを見ても、反町監督のアプローチの成功が伺える。彼自身も北京五輪惨敗という屈辱を経て、一皮向けたのかもしれない。
そしてJ1優勝の方だが、鹿島が確実に浦和を下した。今季の彼らは前半戦だけを見れば、早々とJ3連覇の偉業を果たしていてもおかしくなかった。が、ACLラウンド16でFCソウルにPK負けし、ナビスコカップ準々決勝で川崎に逆転負けしたあたりから歯車が狂い始めた。8月~10月にかけてはJ1の9試合で僅か2勝という苦境に陥った。ともすれば、勝てないチームはバラバラになってしまう。「守備陣が守りきれないからだ」「FWが決定力不足だから」と文句が出て、監督・フロント批判が繰り広げられる…という悪循環に陥るケースは枚挙に暇がない。
けれども、今季の鹿島はそうではなかった。中田浩二はこう話す。
「9月26日の名古屋戦の後、みんなで決起集会をしたんだけど、そこで出ている選手、出てない選手がみんな言いたいことを言った。俺はそれまで控えだったし、普段言えないことも多かったけど、チームの方向性を確認できてすっきりした面はあるよね。それに鹿島はサブでも奥野(僚右コーチ)さんたちが同じコンセプトを植えつけてくれるから、試合に出てもすぐ同じことをやれる。だから俺も終盤に仕事ができたんじゃないかな」
今の鹿島は中田、小笠原満男、本山雅志ら黄金世代が軸となっている。彼らが中心となってチームをまとめたことで、若い興梠慎三や内田篤人が思いきりのいい仕事をするようになった。内田のクロスに興梠が飛び込んで興梠がダイビングヘッドを決めた浦和戦の決勝点が若手の成長を大いに物語っている。「今のチームはすごくバランスがいい」と主将・小笠原も強調していた。
結束力の強いチームを作るには、指揮官の手腕が重要だ。オリヴェイラ監督は苦境に陥っても決して選手を責めず、「同じことを繰り返していれば必ず結果は出る。選手を信頼している」と言い続けた。指揮官がブレなければ選手もナーバスにはならない。「ウチには戻る場所があった」と本山も話していたが、前線からの守備・素早い攻守の切り替え、状況に応じたリズムの変化など、鹿島らしいベースがあったからこそ、追い込まれた時に底力を発揮できたのだろう。
そんな現場を支えるフロントの功績も大だ。鹿島はJ発足から17年間同じ体制でチーム強化をしている。「サッカーが面白くない」「ブラジル路線は時代遅れだ」と批判を受けながらも決してコンセプトを変えなかった。「継続は力なり」という言葉があるように、1つのことを実践し続けることの重要性を彼らは示している。
ただ、鹿島も主要選手が高齢化しつつあり、過渡期を迎えているのは事実。このまま常勝軍団で居続けるのか、それとも磐田のような道を辿るのか…。全ては来季以降にかかっている。
元川 悦子 12月07日17:06
悦っちゃんのコラムである。
Jリーグの優勝チームについて書いておる。
継続したことが結果につながったとの鹿島の評。
それは正しい見方であろう。
しかしながら、主要選手の高齢化を指摘する。
小笠原満男やユダはまだまだ出来る年代であろう。
来季には問題はないと言い切れる。
とはいえ、二年先、三年先を見越せば、何かしらの手を打つことは必要となろう。
それはフロントも気づいておる。
来季は世代交代と明言しておるのである。
その布石としての金崎へのオファーであり、土居くんの練習参加であろう。
三年前に今のスタメンが予想出来なかったように、三年後のスタメンを今予想することは難しい。
しかしながら、その困難なプランを立て実践するのがフロントの業務である。
未来予想図を描いて、且つ勝利を掴み続けて欲しい。