我が家の近くに、
家族経営の焼肉屋がある。
安価だが、
まずまず美味しい店である。

その店では、
塩物に使うレモンは、
店の中央にあるテーブルから、
自由に取り放題だった。

先日、半年ぶりぐらいにその店に行った。
新しくなっていたメニューには、
こう書かれていた。

「カットレモン　１つ　１０円」

塩物を頼むと、
一人前に対してレモンはひと切れしかついておらず、
何人かでわけて食べるためには、
レモンを追加しなくてはいけない。

まあ、たかだか１０円なので、
それ自体はどうこう思わないが、
無料だったレモンに、１０円の値をつけるまで、
家族内にどんな葛藤があったのか、
家族会議でどんなふうに話し合われたのか、
それが気になる。

特に１０円という些少な値段だから気にかかる。

カットレモン１個の値段を巡る家族会議。
コメディの匂いがするシチュエーションである。

相撲に詳しい方には有名かもしれないが、
相撲の稽古場には、
”汗かき棒”なる棒があるそうだ。

太い竹ひごのような棒で、
稽古の後、
体を擦って、汗を払う。
そして、その後にタオルで体を拭う。
こうしないと、すぐさまタオルが汗まみれになってしまうため
こんな棒を使うそうだ。

取材に行ったディレクターが、
なにを思ったか汗かき棒の匂いを嗅いだ。
その感想は。

「ありえない臭さだった」


そりゃそうだろう。

罰ゲームに使えそうである。