会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

ヒラリー vs ペイリン

2010-02-17 23:42:01 | 政治
グアムにいってゆっくりするつもりが、泳いだり、なんだかんだして疲れ果てた結果、風邪をひいてしまいました。

ウーン。ホントにゆっくりするためにいったはずなのに・・・。

で、小ネタです。

クリントンが、一般人からの質問を受けてるんですが、
クリントンの受け答えより、質問そのものが抜群です。

Clinton Terrified by Palin?


ペイリンが大統領になるなんて、恐ろしいことだと思いますか。
それで、もしペイリンが、大統領になったら、カナダか、ひょっとしてロシアに移民しますか。



最近、いろんな番組でも、ペイリンが大統領にふさわしいと思いますか、と質問をするインタビュアがいるんですな。ついこないだは、ABCのThis weekで、チェイニーが同じことを聞かれてました。ペイリンが注目されている、ということでもあり、ひょっとして、まさか彼女がね、みたいな興味本位でという面もあるんでしょうが、

何かと注目を集めているんですな。
そう言えばTea Partyでスピーチする動画もどっかに出てました。

わたしゃ、ちょっと気色悪いんで。
いや、今日はクリントンの動画のハナシだったんですが・・・。

クルーグマンコラム ギリシャ

2010-02-17 07:12:50 | マクロ経済
久々にクルーグマンです。
グアムの行きの飛行機で、ファイナンシャルタイムズをもらって読んでたら、半分くらいがキリシャ問題で、関心が高くてびっくりだったんですが、

The Making of a Euromess

For the truth is that lack of fiscal discipline isn’t the whole, or even the main, source of Europe’s troubles — not even in Greece, whose government was indeed irresponsible (and hid its irresponsibility with creative accounting).

問題は財務規律がなかったということではない。


No, the real story behind the euromess lies not in the profligacy of politicians but in the arrogance of elites — specifically, the policy elites who pushed Europe into adopting a single currency well before the continent was ready for such an experiment.

本当の問題は、政治家の浪費ではなく、エリート達の傲慢さだ。特に、欧州がまだこのような実験に対する準備ができていない段階で統一通貨に踏み切ったようなことだ。

None of this should come as a big surprise. Long before the euro came into being, economists warned that Europe wasn’t ready for a single currency. But these warnings were ignored, and the crisis came.

こうした問題が起きたことは、ユーロ導入前から指摘されていた。無視されて危機が起きた。

But that’s not going to happen anytime soon. What we’ll probably see over the next few years is a painful process of muddling through: bailouts accompanied by demands for savage austerity, all against a background of very high unemployment, perpetuated by the grinding deflation I already mentioned.

今後数年間で起こるであろことは、救済措置とともに、粗野で厳格な緊縮財政を求められ、ひどく高い失業率は顧みられず、デフレが長く続いてゆく。

クルーグマンがなにを怒っているかというと、

統一通貨となったために、通貨を減価してインフレやバブルを調整するという手段がない、ということなんですね。ギリシアのような小国にはそういう手段がないと、もし、財政規律がしっかりしていて、政府に責任が無かったとしても、問題が発生する場合がある。例としてスペインをあげています。スペインはギリシアと違い、もともとしっかりしていたが・・・、というわけで。

この危機の中で、緊縮財政はあり得ない、というのは、ユーロ圏に限らず、クルーグマンの一環した主張なわけで・・・。


グアム訪問

2010-02-14 22:35:21 | 生活
金曜日に一日休みをとって、4連休にしてグアムに行ってきました。
グアムは、最後に試験を受けに行って以来なんで、もう何年かぶりですな。

それまで、何度通ったことやら。トホホ。
まあ、試験を受けるわけではないので、気楽なもんです。
見える景色も違って見えますな。

グアムに行くと、まず、シュノーケルの道具とサンドイッチを買ってから
ビーチに行く。

そのサンドイッチを持って、数十メートル沖に泳いで行ったあたりで、
少しずつちぎって海中にまくと、スゴイことになるんですな。

あたり一面水族館状態。
まあ、あんまり大ッぴらにやって良いことなのかどうかわかりませんが。

さて、そのグアムですが、人口17万人の小さな島でして、
帰りの飛行機で読むためにGuambusinessという雑誌を5ドルで買ってよんでみましたが、まあ、内輪のというか、社内報的というか、まあ、よいしょ記事中心で、ネガティブなハナシは一切なし。まあもともとそういう種類の雑誌なんでしょうな。

気になった記事としては、

Local surfers in Atlantic


Guam surfers’ concerns that local surf spots will become overcrowded with the increase in population.

海兵隊が沖縄から移転してきたら、サーフスポットが混んじゃうんじゃないか、と地元のサーファーが心配してる、とかいう記事があった、という間接紹介の記事なんですが、

意識して探したんですが、この雑誌で、海兵隊移転について触れているのはここだけでしたね。グアムのエスタブリッシュメントにとっては、あんましカンケーネーってことか、あるいは散々特集した後なのかも知れませんな。

一方で、日本人向けのフリーペーパーがホテルに置いてあったんで、それを読んでみるに、

グアム新聞

グアムに今投資するのが、お得かも、みたいな広告や、日本人移民の貿易商が、海兵隊のグアム移転に向けて新しい会社を立ち上げて燃えてます、みたいな記事がのってたり、ちょっと温度差がビミョーな感じでした。インターネット版ではインタビューも広告もでてませんが、紙版にありました。

それと、

A true business leader; a committed corporate citizen

エグゼクティブオブザイヤーに、香港移民が選ばれてますね。なんか特別な意味かあるかどうかはわからないんですが、現地の人じゃなくて、米国から来た人でもなくて、というのは、他の落選した候補者をみてもいない感じなんですな。勿論、というか、日本人は全く出てきませんな(ここで生まれたんであろう日系人はチラホラ程度)。この雑誌の中にほとんど出てこない感じなんですね。まあ、グアムに骨をうずめてのし上がろうとしている日本人がそもそもどんだけ居るかってハナシでもあるんですがね。

私の泊ったFiesta Resort hotelsも持ってて、中々良い感じのホテルでした(ビーチに面してて部屋きれい、サービスグーで料金格安、メシが△なのが・・・くらい)。記事を読んでるとすごい企業グループの総裁って感じですな。

Hospitality Story

あと、この記事ですな。
ホテル業界のハナシですが、観光客だけあてにしてては苦しいんで、現地人へのアプローチを強化するって内容です。

さっきのグアム新聞にも、ヒルトンのレストランがローカル割引あり、とかいう広告を出したりして、実際、現地の中で稼ぐことに力を入れてる感じがありますね。

まあ、田舎の小都市の雰囲気というかなんといか、なんですが

以上、現地の人さえ、関係者以外はほとんど読まないであろう雑誌をネタに、ちょいと書かせていただきました。




新聞 テレビ2011年消滅

2010-02-11 09:51:10 | 生活
大手マスコミを批判する、なんて言ってる場合じゃなくて、実は結構ヤバイんじゃないかってなハナシの方がリアルかも知れないんですな。


2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)
佐々木 俊尚
文藝春秋

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本書の内容は、

①ネット時代に、今の構造では持たない、

コンテンツ→新聞記事
コンテナ→新聞紙面
コンベヤ→販売店

という一体構造は、コンテナがポータルサイトや検索サイト、ブログなんかに、コンベアがインターネットに置き換わりつつある時代、コストが高すぎて維持できないということですな。

②日本は米国の3年後を追いかけるので、日本マスコミは来年がヤバい

これは今までそうだった、ということ。あるいは、広告費が落ちてること等、日米共通の背景をあげて、日本も当然持たない、という論理ですね。

日本と欧米の最大の違いに販売店システムがあることなんかを記事のはじめに指摘し、世代問題にも重点をおいているあたり、ロンドンエコノミストの記事の方がバランスが取れてて、全体像はそっちでつかんだほうがいいような気がしますが、読んで面白いのは断然こっちです。読みやすい文章で、著者の読ませる力量もなかなかグーです。



特に本書をご紹介するのは、構造問題を最初に持ってきて、最後までずっとそから離れずに説明しているところが評価できるからですな。あれこれ、あることないこと総花的に押し込んだ駄本化しておらず、テーマを絞って小品としてまとめてます。

構造問題。民主党が主張し、小泉さんがパクったけどどうなったんだと思ってたら、あそうさんが無いことにして、民主党が政権を取ったけどどうなったかよくわからず、結局どこ行ったの、って感じですが、

本書は大手マスコミを題材に、構造問題を取り扱ったと読むと面白いですな。

ここでもいろいろご紹介しましたが、半導体をめぐっての構造問題。全部自分でやろうとしてコスト高になった日本メーカーと、台湾勢と組んでファブレスメーカーが躍進する米国、ってなハナシとか。

コンテンツ、コンテナ、コンベア一体で当然、という頭が、今のマスコミ経営者から離れずに改革できない、と本書は指摘してるんですが、これは日本に限ったことじゃないわけで、

米国でも、淘汰される会社の幹部は、先入観をすてられない。昔、AMDの経営者が『工場を持たないメーカーなんか男のやる仕事じゃない』的なことを言ったとかゆうハナシもあって、頭が固いのはどこの国も同じなんでしょう。AMDは淘汰されてませんがね。

新しい会社が立ち上がって、古いものが整理されてゆく、あるいはIBMのように、外から経営者を持ってきて、方向転換を任せる、みたいなことができる世の中の仕組みか、ずっと温存されるようになってるか、の違いですな。本書もそれは意識して書かれてます。

新聞は偉くて、新聞社の人は高給取りで、大手メーカーが儲かって、中小はぶら下がって、みたいな仕組みを皆が、同じように、序列を維持してゆく仕組み。

競争はあっても既存序列の中のどこを占めるかをめぐって争う。
中小なら、売上を伸ばして業界団体の役員になる、とかいう争いですな。


まあ、お役所みたいで共産国っぽいんですが、ただ、権力闘争だけでなく、アウトプットで競うんでそこはそれなり。ただ、既存の序列順位をめぐる争いになるんで、秩序自体は崩れないんですな。

変な奴が入ってきて、秩序を破ろうとすると皆で寄ってたかってつぶしにかかる。

専門学校のTACが専修学校に進出しようとして認可を区にもらいに行くと、区の担当者は区の既存の専修学校の業界団体の事前了解をもらう必要があると言ったそうです。その団体の理事長に会いに行くと、マーケットの規模からしてこれ以上新規の学校を受け入れる余裕はないとして断られたそうです。業界内で申しあわせてTACの参入を阻んでいた、というハナシで以前ご紹介したわけですが、

『ホンマに資本主義かいな』、というのが実態なんですな。

TAC社長



短期的には安定してて良いんですが、古い構造が温存されて長期ではどんどん貧しくなってゆく。昔みたいに日本が躍進、みたいなことは難しくなってしまう、って感じですかね。



構造改革って一体どこ行っちゃったんですかね。

【河内孝&本郷美則】新聞業界最大のタブー「押し紙」の実態[桜 H21/6/10]



【黒薮哲哉】新聞業界最大のタブー「押し紙」の実態-Part2[H21/6/24]


儲けようと思ってやってた、押し紙さえ維持できなくなりつつある、という、かなりトホホなハナシと見るのがよさそうですな。

コカコーラ アウディ 中国で伸びる

2010-02-09 23:00:51 | 食品
先進国が軒並み駄目になる中で、中国様に頼るしかないってなことで、

Coca-Cola Profit Meets Estimates as Sales Gain in India, China


Sales by case volume grew 29 percent in China and 20 percent in India, helping boost global volume 5 percent and helping offset declining volume sales in North America. Revenue increased 5.4 percent to $7.51 billion, the company said. Five analysts predicted $7.26 billion, on average.

コカ・コーラの第四Qの売上なんですが、中国が29%、インドは20%伸びたっていうんですな。北米での落ちを補った。世界全体では5%伸びた。

まあ、中国でもともとどのくらい出ているのかわからないと何とも言えないんですが、3割はスゴイですな。一昨年に、上海に行ったときには、普通にソフトドリンクを街中で売ってたんで、そこそこ売れてるはずで、さらに伸びてるって感じですかね。

Net income increased to $1.54 billion from $995 million, or 43 cents a share, a year earlier, the company said.

コカコーラの全体売上は5.4%増。最終利益が10憶ドル弱から15.4憶ドルへ増加。

中国、インドで伸ばしてるんですな。こうして数字で見せられると・・・。



一方、自動車メーカーのアウディも中国が伸びているようでして。

Audi Sales Soar on Strong Chinese Demand

In January, Audi sold more cars in China than on its home turf in Germany. Audi's China sales more than doubled to 16,798 cars compared with 7,816 in the same month last year while it sold 11,657 cars in Germany last month, up 9.3% year-to-year.

1月の中国の売上台数が、母国ドイツの売上を抜いたそうで。中国で1万6千796台。去年は7816台だったんで、ほぼ2倍。ドイツでこの1月1万1千657台。去年より9.3%の伸び。

まあ、ドイツでも結構伸びてるんですが(あるいは回復してると言った方が良いかも)、中国が倍になったというんで。

台数ベースなんで、そのまま金額でどうかはわからないんですが、
とにかく、中国の数字が伸びてるってことはわかりますな。

ジュースから自動車まで、とにかく、勢いがありますな。


中国のコマーシャル

Coca-Cola Commercial in China II


日本の新聞はどうよ  ロンドンエコノミスト

2010-02-08 23:54:14 | ロンドンエコノミスト
先日、読売の記事を批判したんですが、
あんまり、いじめない方がいいんですかね。


The teetering giants

あのエコノミスト紙の目にも止まったようなんですが、
日本の新聞もついに、ぐらつき始めた、って感じの記事です。





AS NEWSPAPER companies across the developed world took a beating in the past few years, those in one rich country merely shrugged. Japanese newspapers are by far the world’s biggest: Yomiuri sells 10m copies each morning and another 3.6m in the evening. Newspapers enjoy such close ties with politicians and companies that news in Japan does not so much break as ooze.

世界中の先進国の新聞が、ここ数年ひどいことになっているのに、日本の新聞だけは肩をすくめただけだった。

ははは。

圧倒的に規模世界No1で、読売新聞なんかは1千万部、夕刊3.6百万部を誇っている。
政治家や企業とぴったりと結びついているので、日本では、スクープは少なく、ベタ記事が多い。
(と訳していいんだろうか。いずれにせよ、皮肉たっぷり。そんなのニュースじゃない、と言ってるに近いような)。

以前、日経新聞お前もだ、の頁で、ロンドンエコノミストに、日本の新聞のこと書いてくれ、と書いたんですが、結構痛烈ですな。

政治家や企業と結び付いている、と書かれた時点で、ジャーナリズムとしてはアウトって判定されてる感じですね。辛口です。

Yet the giants are teetering.


しかし、その巨人も揺らぎ始めている。

The problem is not circulation, which has held up well thanks to a distinctive system of distribution.

問題は流通にあるのではない。独特の流通システムによって支えられている。

宅配システムのことですな。

Between 1999 and 2009 the combined circulation of morning and evening papers in Japan fell by just 6.3%, according to Nihon Shimbun Kyokai (NSK), the newspaper publishers’ association. By contrast, American newspapers lost 10.6% of their paying readers between 2008 and 2009.

日本では09年までの10年間で、購読者が6.3%減ったにすぎない。米国は1年間で10.6%減ったにも関わらず。

Yet the population of newspaper readers is ageing. Young people are less likely to read newspapers than their elders (see chart). Nor do they appear to be growing into the habit as they age, says Takashi Kasuya, an executive at Asahi, the second-biggest newspaper.

しかし、読者が年をとってゆく。若者は年長者ほど新聞を読まない。そして、今の若者は年を重ねても新聞を読むようにならない。

Demography, which has disguised the extent of the problem so far, will eventually exacerbate it. Japan has a huge population of post-war baby-boomers and relatively few young people—indeed, so few children are being born that the population has started to shrink. At present the newspaper-loving baby-boomers are propping up circulation. When their eyesight fails, newspaper circulations are likely to collapse.

人口分布的には、まだ問題は覆い隠されているが、いずれ状況は悪化してゆく。日本は戦後ベビーブーマーが沢山いるが、若者が少ない。少子化で人口は減ってゆく。今はベビーブーマーが新聞購読者として支えているが、彼らが視力を失う頃になると、新聞は破綻するかもしれない。

なるほど、それはそうですな。ネットでニュースを読む人が増えて・・・みたいなハナシばかりなんてすが、世代が変わる頃にはいよいよ新聞がヤバイ、というのは、説得力がある、というか、新聞、マジヤバそうです。

Advertising has already done so. Revenues were dropping even before the recession

広告費も落っこちてて・・・。

まあ、これは良く言われてることですな。

Elsewhere newspapers are responding to the problem of flat or falling audiences by hawking more services to their remaining readers. British newspapers sell wine and online games. Last month the Wall Street Journal launched a travel agency.

世界の他の地域では、細りゆく読者に対し別のサービスを売り込むことで対処しようとしている。たとえばイギリスでは新聞がワインや、オンラインゲームを売っている。ウォールストリートジャーナルは、旅行会社をスタートさせた。

Such a strategy is not possible in Japan because the sales agents, not the newspapers, control access to readers. Those agents may also complicate efforts to sell digital newspapers on e-readers and tablet computers. The newspapers’ greatest strength could become an acute weakness.

そうした戦略は日本ではできそうにない。なぜなら、読者への直接のアクセスをコントロールしているのは、新聞の宅配代理店であって、新聞社ではないからだ。この点は、新聞を読書端末やコンピューターで売り込む努力をしようとする際にも、問題を複雑にする。

現在の大きな強みが、深刻な弱みにもなるかも知れない。

アチャー。いままで、営業を他人任せにして、楽で良かった分だけ足腰が弱くて、身動きが取れなくなってしまうってことですな。

まあ、この記事では、さすがの日本の新聞もぐらつくよな、という感じで、他の国の新聞よりはずっとマシって感じのニュアンスですが、


本書によれば、2011年に消滅するんだそうで、

2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)
佐々木 俊尚
文藝春秋

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ホントに2011年に消滅するかどうかは別として、本書は結構面白いんで、別にご紹介することにします。




今年の失業率回復を予測する

2010-02-07 12:45:54 | マクロ経済
なんで失業率がそんなに問題化というと、米国民の関心が高く、今度の選挙やオバマ政権の支持率にも影響するからですな。個人的には、米国経済と日本経済は連動性が高いと思われ、良くみとこう、と思ってます。何度も見ている自動車販売なんかは大事な指標だとおもいますな。

で、景気の回復に比べて、失業率が芳しくないということなんですが、

もともと、失業率は遅行指標なんで、

景気が回復してもすぐには持ち直さない。
(景気がピークアウトした後も雇用がしばらく増えてゆくこともある)

このグラフ、実質消費支出と失業の関係を並べているんですが、


失業と実質消費支出


実質消費支出の後を、失業率が追いかけているのがわかりますね。
これ、以前ご紹介した『ウォール街流 米国景気予測の方法』という超オススメ本のサイトです。

本書の主張は、

①時間あたりの実質賃金が上昇
②それを受けて、消費支出が向上
③その後、生産がアップ
④失業率の低下

という順番で景気は回復してゆく、というものなんですな。

まあ、本書は投資家向けなんで、②のサインが出始めたら、株は買いに入らなくてはだめ。失業率が高いことを気にして待ってたらだめよ、と説明しています。失業率はあくまで遅行指標なんで。

これ、あくまで米国経済にあてはまる、ということなんですがね。

で、今の状況は①から②あたり、③はボチボチ、④はまだ、ってことですが、いずれじきに、と解釈できそうですね。

Employment is a lagging indicator: the proof (2)

このグラフはさっきのと同じものですが、失業率について解説がついている。

Conversely, in all cycles, the unemployment rate continues to deteriorate (i.e., rise) well after a recovery in consumer spending has begun, fostering pessimism at a time when the economy has actually begun to improve. In this regard, all early-stage recoveries are “jobless recoveries,” a fact that many economist reporters never seem to learn.

すべてのサイクルで、消費支出が回復し始め、悲観論を抱きつつ実態経済が回復しはじめても、結構長く、失業率は悪化を続けている。

つまり、すべての景気回復の初期段階は、雇用なき回復なのだ。
多くのエコノミストや、レポーターが決して学ばないことなのだが。

言われてますな。ガタガタぬかすな、もう少し様子を見てれば回復するんだ、ってことですな。

Current Comment: It is no surprise, given the Unemployment Rate’s lagging relationship to consumer spending and the economy in general, that it reached its peak of 10.2% in late 2009, well after Y/Y real consumer-spending comparisons appear to have bottomed out and the stock-market recovery was well under way.

今回も、消費支出の回復から失業率が遅れをとっても、驚くにあたらない。

If real consumer spending growth continues even at a modest rate in 2010, the unemployment rate will almost certainly fall, perhaps to as low as 8.0-8.5%, by the end of 2010.

もし、2010年にもう少し緩やかよせよ、実質消費支出が拡大を続けたならば、今年終わりには確かに8から8.5%くらいまで下がるだろう。

と、いうことらしいです。問題は選挙までに間に合うかですな。

ウォール街流 米国景気予測の方法 - 元ゴールドマン・サックス人気アナリストが明かす実践的手法
ジョセフ・H・エリス
エナジクス

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ウォール街流 米国景気予測の方法概要



ラリーサマーズが、ABCのThis weekに出てて、これ確か去年の12月くらいだったと思いますが、失業率について話してます。

Larry Summers: New Jobs?


景気回復の兆しがあるのに失業率が回復しないと質問されて、

時間あたりの給付がアップしてるし、そのうち段階を追って回復してくる、と言ってるんですが、本書の説明とは少し違ってますな。

あくまで、失業率の回復は、消費支出の回復を見てからであって、実質時給が上がったとしても、消費が回復して、それが安定しない限り、企業は雇用を増やさない。

時給をあげたり、残業が増えたりするのは、まだまだ生産拡大を目先の調整で行っている段階なんですね。まだまだ、それが本格的な雇用増につながってゆく段階ではない。

とは言ってもグラフで見る限り、消費支出はすでにボトムアウトしているんで、いずれ、ということで、そろそろ上がってゆくだろうという点では、本書もサマーズの見方と一致していますがね。

雇用については、その数字だけ注目されて、もうアカン、みたいな報じ方がなされやすいんで、気をつけないと、回復への潮目の変化を見逃してしまうんですね。

消費支出の回復がすでに見られる、ということは、

雇用の回復は遅れているにしても、さらにどん底に落ち込むことはなさそうだ、という判断はできそうなんですね。


雇用なき回復? ロンドンエコノミスト

2010-02-06 10:39:32 | ロンドンエコノミスト
失業率が9.7%に改善したなんてニュースもあるんですが、そんな、楽観できないというハナシで。雇用の回復が予想より重いっていうんですね。

Falling flat

output grew at an annual rate of 5.7%. This week, they are reminded that a return to growth has yet to benefit the jobless.

GDPは5.7%回復したが、雇用回復にはだつながらないことを米国民は知らされた。

The economy lost 20,000 jobs in January, a decline driven by the loss of 75,000 jobs in the construction sector. Economists had forecast an increase in employment of around 15,000.

1月には2万人の新規失業。建設部門の7万5千人のロスが大きいが、エコノミスト達は1万5千人程度の雇用増があると予想していた。

The unemployment rate, based on household rather than establishment data, showed a slight improvement, dropping from 10% to 9.7%, but nearly 15m Americans remain unemployed.

確定ベースではなく、ハウスホールドベースだが、失業率は10%から9.7%へと少し改善を見せたが、まだ15百万人近くが失業したままだ。

As Larry Summers put it in Davos last week, the American economy is experiencing “a statistical recovery and a human recession”.

ラリーサマーズは先週のダボス会議で、米国経済は統計的な回復とヒューマンリセッションの同時発生を経験しているとした。


Several positive trends continued in January. Firms added 52,000 temporary workers and increased hours, just as they did in December, hinting at growing if cautious optimism. Employment rose in health, education and professional services, and retail employment grew by 42,000 in January, on a seasonally adjusted basis, after declining in December. Manufacturing employment also grew, by 11,000, the first increase since the beginning of recession. Analysts point out that the adjustment of the data is tricky around the holiday season, and actual underlying employment may have grown in January.

いくらか改善の動きはつづいている。一時雇用の52千人拡大や、雇用時間が伸びている。・・・。


ただ、多くのエコノミストは、今回の1月分の発表について、予想より悪かったと思っているようでして、特に、以下の点。


Most troubling of all is the continued failure of economic growth to benefit the labour market. Employment fell by over 300,000 jobs during the last three months of 2009, despite strong expansion in GDP. The first quarter of 2010 is unlikely to show as big an output gain, suggesting that the pace of improvement in employment may be slowing, even as regular job growth has yet to return. And the situation may be more dire still; initial jobless claims have grown in recent weeks, indicating that what momentum there was in labour markets has been lost.

もっとも問題なのは、経済の回復が労働市場に及ばないことだ。経済が大きく回復する中で、09年の第4四半期で30万人以上が失業。2010年の第一四半期の経済回復は大きくないと予想され、雇用の回復は遅くなるかれ知れないということだ。正規雇用はまだ回復さえしていないのに、である。状況はもっと悪いかも知れない。新規失業申請がここ数週間増えている。これは雇用が悪化傾向にあることを示している。







足元やっぱり厳しいってことですね。

まあ、これが、雇用なき回復、として経済そのものの変質ととらえるべきか、というとそこはよくわからないんですがね。

□一時雇用が回復しても、なかなか正規雇用が増えない。
□建設業界が厳しい

ことが良くわかりますな。

ここには出てないんですが、結構ニュースや対談では

□一旦解雇されてから、再雇用されるまでの時間が長期化している

ってハナシもありますな。

□マーケティングマネージャー、まあ、ミドルクラスの女性が職を失って、あちこち職探しをしている取材なんかがニュースにでてましたが、全体としどの層が傷んでいるというのはよくわからないんですな。

□黒人の失業率はボロボロ

これは以前のロンドンエコノミストに出てました。

私としては、今回のリセッションで、どんな感じのリストラ、どんな感じの再編成がおこなわれるのか、というのに興味があるんですが、何年かしたら分析がでてくるでしょうな。



アバター 5  バチカン補足

2010-02-05 12:58:15 | 政治
『カトリック教会の一部からも汎神論の思想が広まることへの懸念の声が出ている』

少し補足しておきましょう。

これがなぜピンボケなのか。
昨日の記事で十分なんですが、おまけです。



『みのもんたが、今年はダイエットするぞと言っておいて三日坊主なのは、うそつきと同じですよ、皆さん、と朝ズバで言いました』

という文章があったとします。

この文章、みのもんたは、うそつきが増えることを懸念してるでしょうか。
そんなことはない。




では、これはどうか。

『バチカンが、アバターは自然崇拝を称賛しているが、それって汎神論だぞと指摘した』

これで、バチカンが、アバターで汎神論の思想が広まることを懸念していることになるでしょうか。

アリエネー、
ってことなんですな。

読売の記事が、とんでもない勘違い野郎に見えるのはそういうことです。


まあ、今やマスコミ批判は、当たり前すぎて流行らないんですが、エコノミストや、ニューヨークタイムズでもなんでも、記事を読んでると最低限、というか、よくわからないところは書かないとか、テキトーな推測を挟まないとか、そういうルール感、一定の知的水準、任せて安心、みたいなものを感じるんですな。

一方で、読売の記事を読むと、真に受けて大丈夫なんだろうか、この人達、
と、とっても不安にかられるわけですな。




アバター4  バチカンの突っ込み

2010-02-05 08:35:22 | 政治
アバターに対する保守派の反応なんですが、
まず、宗教界についてみときます。

まあ、そんな、汎神論がはやるようなことを懸念するなんてことアリエネーと書いたんですが、バチカンがどう反応したか、というと、


Vatican Slams 'Avatar'


The Vatican newspaper and radio station are criticizing James Cameron's 3-D blockbuster for flirting with the idea that worship of nature can replace religion – a notion the pope has warned against. They call the movie a simplistic and sappy tale, despite its awe-inspiring special effects.


バチカンの新聞やラジオは、アバターについて、教皇が批判している自然崇拝が宗教にとって代わるというような考えをもてあそんでいる、と批判。映画としてのアバターについては、特撮はすごいが、ハナシが単純でしょぼい、としている。

ははは。

自然 vs 宗教 図式での批判がある、ということですね。


Cameron "tells the story without going deep into it, and ends up falling into sappiness," said L'Osservatore Romano. Vatican Radio called it "rather harmless" but said it was no heir to sci-fi masterpieces of the past.

キャメロンは、それを掘り下げているわけではなく、最後は、ベタな終わり方をする。どちらかと言えば害がなく、過去の傑作SFの系統に連なるものではない。

うーん、このラジオのおっさんとは気が合いそうですな。ってか、映画をフツーに良くみる人なら、感想は同じでしょう。

L'Osservatore said the film "gets bogged down by a spiritualism linked to the worship of nature." Similarly, Vatican Radio said it "cleverly winks at all those pseudo-doctrines that turn ecology into the religion of the millennium."

映画は自然崇拝という神秘主義にとらわれており、エコロジーを宗教にしようとする完全に偽物の教義に、ウインクしている。

"Nature is no longer a creation to defend, but a divinity to worship," the radio said.

自然はもはや守るべき神の創造物ではなくなり、神聖で崇拝されるべきもの自身となっていまっている。

ぞぞっとする指摘でして、お前、異端だぞ、と脅してる感じですな。

あたしにはよくわからないんですが、昔だったら火あぶりだぞ、というニュアンスも入ってますかね。

Vatican spokesman the Rev. Federico Lombardi said that while the movie reviews are just that – film criticism, not theological pronouncements – they do reflect Pope Benedict XVI's views on the dangers of turning nature into a "new divinity."

バチカンのスポークスマンは、映画評はあくまで映画評であって、神学上の公式な発表ではない、と述べた。映画評は、教皇ベネディクト16世の、新しい自然崇拝に対する危機意識を反映したものだ。


Benedict has often spoken about the need to protect the environment, earning the nickname of "green pope." But he also has balanced that call with a warning against turning environmentalism into neo-paganism.

ベネディクトはよく、自然を守るべきだ、と言明し、グリーンポープと呼ばれている。しかし、彼は同時に、環境主義が、新興宗教に結びつくことに警告を発してバランスを取っている。

The pope explained in the message that while many experience tranquillity and peace when coming into contact with nature, a correct relationship between man and the environment should not lead to "absolutizing nature" or "considering it more important than the human person."

教皇は、自然の静謐さや安らぎを経験しても、自然を絶対視したり人間より大切なものだ、と考えるのは、人間と環境の関係として正しくないと説明している。


In a recent World Day of Peace message, the pontiff warned against any notions that equate human beings with other living things in the name of a "supposedly egalitarian vision." He said such notions "open the way to a new pantheism tinged  with neo-paganism, which would see the source of man's salvation in nature alone, understood in purely naturalistic terms."

教皇は、最近のメッセージで、人間と他の動物との平等を説く立場を、平等主義もどきと呼んで警告。そういう考え方は、新興宗教に影響された汎神論に道を開くもので、人類は自然の中でのみ救われると考え、純粋な自然主義の言葉で理解される。

っとまあ、こんな感じです。neo-paganismって新興宗教って訳しましたが、この記事で2回ほど出てきます。どっちかというと、教皇はこれを心配してるんですな。

それで、バチカンの映画評もその一環で、アバターに浮かれてると、そっち側に行っちゃうぞ、と指摘してるんですね。

まあ、バチカンと新興宗教との対抗関係というのは、良く調べないと分かりませんが、それに結びつけて、心配のし過ぎというか、まあ、アバターにもそんな面があるぜと指摘しているに過ぎない感じです。

読売の記事、

『カトリック教会の一部からも汎神論の思想が広まることへの懸念の声が出ている』

ってのは、どうですかね。まるっきり悪質な誤報とまでは言えないまでも、

伝わるニュアンスは明らかに間違ってますな。

それって汎神論じゃん、と指摘して、信者に注意を促しているかも知れませんが、懸念したり、実際に広がったりするんじゃないか、なんてとこまでは全く行ってませんな。


まあ、私としては、こんな記事を読まされて、

『日本人の間にゆがんだ世界観がひろまることへの懸念の声』

を出しておきましょう。



新聞は、

記者個人の思い込みを、あることないことをネタに記事にするトコじゃないのか、
居酒屋でオヤジが、あることないことをネタにオダ上げしてる、みたいなもんじゃないのか、

と最近感じてるんですがね。

日経新聞 お前もだ



動画はおまけです。まあ、こんな感じ。

Why Are Some Christians Mad Over Avatar?