会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

今年の失業率回復を予測する

2010-02-07 12:45:54 | マクロ経済
なんで失業率がそんなに問題化というと、米国民の関心が高く、今度の選挙やオバマ政権の支持率にも影響するからですな。個人的には、米国経済と日本経済は連動性が高いと思われ、良くみとこう、と思ってます。何度も見ている自動車販売なんかは大事な指標だとおもいますな。

で、景気の回復に比べて、失業率が芳しくないということなんですが、

もともと、失業率は遅行指標なんで、

景気が回復してもすぐには持ち直さない。
(景気がピークアウトした後も雇用がしばらく増えてゆくこともある)

このグラフ、実質消費支出と失業の関係を並べているんですが、


失業と実質消費支出


実質消費支出の後を、失業率が追いかけているのがわかりますね。
これ、以前ご紹介した『ウォール街流 米国景気予測の方法』という超オススメ本のサイトです。

本書の主張は、

①時間あたりの実質賃金が上昇
②それを受けて、消費支出が向上
③その後、生産がアップ
④失業率の低下

という順番で景気は回復してゆく、というものなんですな。

まあ、本書は投資家向けなんで、②のサインが出始めたら、株は買いに入らなくてはだめ。失業率が高いことを気にして待ってたらだめよ、と説明しています。失業率はあくまで遅行指標なんで。

これ、あくまで米国経済にあてはまる、ということなんですがね。

で、今の状況は①から②あたり、③はボチボチ、④はまだ、ってことですが、いずれじきに、と解釈できそうですね。

Employment is a lagging indicator: the proof (2)

このグラフはさっきのと同じものですが、失業率について解説がついている。

Conversely, in all cycles, the unemployment rate continues to deteriorate (i.e., rise) well after a recovery in consumer spending has begun, fostering pessimism at a time when the economy has actually begun to improve. In this regard, all early-stage recoveries are “jobless recoveries,” a fact that many economist reporters never seem to learn.

すべてのサイクルで、消費支出が回復し始め、悲観論を抱きつつ実態経済が回復しはじめても、結構長く、失業率は悪化を続けている。

つまり、すべての景気回復の初期段階は、雇用なき回復なのだ。
多くのエコノミストや、レポーターが決して学ばないことなのだが。

言われてますな。ガタガタぬかすな、もう少し様子を見てれば回復するんだ、ってことですな。

Current Comment: It is no surprise, given the Unemployment Rate’s lagging relationship to consumer spending and the economy in general, that it reached its peak of 10.2% in late 2009, well after Y/Y real consumer-spending comparisons appear to have bottomed out and the stock-market recovery was well under way.

今回も、消費支出の回復から失業率が遅れをとっても、驚くにあたらない。

If real consumer spending growth continues even at a modest rate in 2010, the unemployment rate will almost certainly fall, perhaps to as low as 8.0-8.5%, by the end of 2010.

もし、2010年にもう少し緩やかよせよ、実質消費支出が拡大を続けたならば、今年終わりには確かに8から8.5%くらいまで下がるだろう。

と、いうことらしいです。問題は選挙までに間に合うかですな。

ウォール街流 米国景気予測の方法 - 元ゴールドマン・サックス人気アナリストが明かす実践的手法
ジョセフ・H・エリス
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ウォール街流 米国景気予測の方法概要



ラリーサマーズが、ABCのThis weekに出てて、これ確か去年の12月くらいだったと思いますが、失業率について話してます。

Larry Summers: New Jobs?


景気回復の兆しがあるのに失業率が回復しないと質問されて、

時間あたりの給付がアップしてるし、そのうち段階を追って回復してくる、と言ってるんですが、本書の説明とは少し違ってますな。

あくまで、失業率の回復は、消費支出の回復を見てからであって、実質時給が上がったとしても、消費が回復して、それが安定しない限り、企業は雇用を増やさない。

時給をあげたり、残業が増えたりするのは、まだまだ生産拡大を目先の調整で行っている段階なんですね。まだまだ、それが本格的な雇用増につながってゆく段階ではない。

とは言ってもグラフで見る限り、消費支出はすでにボトムアウトしているんで、いずれ、ということで、そろそろ上がってゆくだろうという点では、本書もサマーズの見方と一致していますがね。

雇用については、その数字だけ注目されて、もうアカン、みたいな報じ方がなされやすいんで、気をつけないと、回復への潮目の変化を見逃してしまうんですね。

消費支出の回復がすでに見られる、ということは、

雇用の回復は遅れているにしても、さらにどん底に落ち込むことはなさそうだ、という判断はできそうなんですね。