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新聞 テレビ2011年消滅

2010-02-11 09:51:10 | 生活
大手マスコミを批判する、なんて言ってる場合じゃなくて、実は結構ヤバイんじゃないかってなハナシの方がリアルかも知れないんですな。


2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)
佐々木 俊尚
文藝春秋

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本書の内容は、

①ネット時代に、今の構造では持たない、

コンテンツ→新聞記事
コンテナ→新聞紙面
コンベヤ→販売店

という一体構造は、コンテナがポータルサイトや検索サイト、ブログなんかに、コンベアがインターネットに置き換わりつつある時代、コストが高すぎて維持できないということですな。

②日本は米国の3年後を追いかけるので、日本マスコミは来年がヤバい

これは今までそうだった、ということ。あるいは、広告費が落ちてること等、日米共通の背景をあげて、日本も当然持たない、という論理ですね。

日本と欧米の最大の違いに販売店システムがあることなんかを記事のはじめに指摘し、世代問題にも重点をおいているあたり、ロンドンエコノミストの記事の方がバランスが取れてて、全体像はそっちでつかんだほうがいいような気がしますが、読んで面白いのは断然こっちです。読みやすい文章で、著者の読ませる力量もなかなかグーです。



特に本書をご紹介するのは、構造問題を最初に持ってきて、最後までずっとそから離れずに説明しているところが評価できるからですな。あれこれ、あることないこと総花的に押し込んだ駄本化しておらず、テーマを絞って小品としてまとめてます。

構造問題。民主党が主張し、小泉さんがパクったけどどうなったんだと思ってたら、あそうさんが無いことにして、民主党が政権を取ったけどどうなったかよくわからず、結局どこ行ったの、って感じですが、

本書は大手マスコミを題材に、構造問題を取り扱ったと読むと面白いですな。

ここでもいろいろご紹介しましたが、半導体をめぐっての構造問題。全部自分でやろうとしてコスト高になった日本メーカーと、台湾勢と組んでファブレスメーカーが躍進する米国、ってなハナシとか。

コンテンツ、コンテナ、コンベア一体で当然、という頭が、今のマスコミ経営者から離れずに改革できない、と本書は指摘してるんですが、これは日本に限ったことじゃないわけで、

米国でも、淘汰される会社の幹部は、先入観をすてられない。昔、AMDの経営者が『工場を持たないメーカーなんか男のやる仕事じゃない』的なことを言ったとかゆうハナシもあって、頭が固いのはどこの国も同じなんでしょう。AMDは淘汰されてませんがね。

新しい会社が立ち上がって、古いものが整理されてゆく、あるいはIBMのように、外から経営者を持ってきて、方向転換を任せる、みたいなことができる世の中の仕組みか、ずっと温存されるようになってるか、の違いですな。本書もそれは意識して書かれてます。

新聞は偉くて、新聞社の人は高給取りで、大手メーカーが儲かって、中小はぶら下がって、みたいな仕組みを皆が、同じように、序列を維持してゆく仕組み。

競争はあっても既存序列の中のどこを占めるかをめぐって争う。
中小なら、売上を伸ばして業界団体の役員になる、とかいう争いですな。


まあ、お役所みたいで共産国っぽいんですが、ただ、権力闘争だけでなく、アウトプットで競うんでそこはそれなり。ただ、既存の序列順位をめぐる争いになるんで、秩序自体は崩れないんですな。

変な奴が入ってきて、秩序を破ろうとすると皆で寄ってたかってつぶしにかかる。

専門学校のTACが専修学校に進出しようとして認可を区にもらいに行くと、区の担当者は区の既存の専修学校の業界団体の事前了解をもらう必要があると言ったそうです。その団体の理事長に会いに行くと、マーケットの規模からしてこれ以上新規の学校を受け入れる余裕はないとして断られたそうです。業界内で申しあわせてTACの参入を阻んでいた、というハナシで以前ご紹介したわけですが、

『ホンマに資本主義かいな』、というのが実態なんですな。

TAC社長



短期的には安定してて良いんですが、古い構造が温存されて長期ではどんどん貧しくなってゆく。昔みたいに日本が躍進、みたいなことは難しくなってしまう、って感じですかね。



構造改革って一体どこ行っちゃったんですかね。

【河内孝&本郷美則】新聞業界最大のタブー「押し紙」の実態[桜 H21/6/10]



【黒薮哲哉】新聞業界最大のタブー「押し紙」の実態-Part2[H21/6/24]


儲けようと思ってやってた、押し紙さえ維持できなくなりつつある、という、かなりトホホなハナシと見るのがよさそうですな。