「下流社会」を読んだ。三浦 展著。光文社新書です。
三浦さんは1958年新潟県生まれ。中学生の娘と小学生の息子の二児の父である。
三浦さんの曽祖父は庄屋だった。頭がよく、しっかりした人だったが、思うように文章を書けないので、悔しい思いをしたらしい。そこで彼はこれからは学問がなければだめだと思い、田畑を売っては孫の教育に投資をした。三人いた孫はみな大学や女学校を出て、教職に就いた。伯父は大学の名誉教授にまでなった。三人の孫の息子や娘たちもみな名のある大学を出た。
学問を身に付ければ立身出世ができた時代。階層上昇ができた時代。それが日本の近代だった
一方、読書人そうすけは1961年埼玉県生まれ。独身。子供なし。そうすけの曽祖父は田舎では喰えずに親戚を頼って東京へでてきた。伯母がいうには郵便配達をしていたらしい。そこで彼が何を考えていたかは伝わっていない。祖父は海軍に志願した。機関工であった。除隊後にガラス屋を始めるが人の善さが災いして掛け金を回収できずに店じまいとなる。海軍時代のコネで埼玉の会社に旋盤工として雇われる。7人いた息子や娘たちは中学を卒業して夜学に通いながら働いた。末娘だけは全日制高校をでた。彼らの16人の子供たちで大学をでたのは1人であった。
手に職があれば飯が食える。それで満足であった時代。それが庶民の近代であった。