そうすけ漫録

そうすけの一日の型録です。

雨の降る日

2016年01月15日 | 物語

私はもう一人の自分と現在という帯が、ただ今をもって過去を作り上げた。只今がずれる。私は現在から出ようとして、ずれている現在に戻される。過去に統一しようとするができない。私は過去の自分から逃れることができない。

かすかに雨音が聞こえる。

どうしようもない私はすこしだけ安らぐ。ネガティブな考えを払いのける力がない私には雨がなぐさめであった。

誰かがドアをノックする。

「誰だ」ドアに向かって、つぶやくように言った。

 お迎えに参りました。

聞き覚えのある甲高い男の声がする。(お子様ランチ)だ。すっかり忘れていた。 


T-66号の発明

2007年09月13日 | 物語

T-66号は「本当の自分」と向き合うことがを恐れて「架空の自分」を追いかけたがる。

「架空の自分」は、どんなに素敵であろうとも架空である。

「本当の自分」がどんなに空虚(T-66a)でも、心(T-66b)は本物の自分(T-66c)とお話をすることを、いつでも求めているのです。

T-66号の物語がはじまる。


やかんあたまソウスケ

2007年05月31日 | 物語

 むこうのほうから おじさんが ふらついて歩いてきました。
 あたまが、やかんで、できている
 やかんあたまソウスケ、です。
 壁に、ドスン!と,ぶつかると倒れてしまいました。

 ソウスケは、やかんのふたが とれてしまいました。
 ドクドクドク と しょうちゅうが ながれてしまいました。

 あたまが、軽くなったら ソウスケは元気になりました。
 

 

 


赤い花 そのニ

2006年10月02日 | 物語

 8:00すぎに、頭をクールダウンしようと、外へ出た。

空は曇り。暑くなく、風はなし。
自宅からB公園まで歩きながら考えた。「45歳は転機になるだろう」

(日常の生活から言葉をつなげ、自己再構築(リストラ)をしよう)

B公園をジュギングをスタートした。県道を西へ。A公園まで走った。
女郎蜘蛛が大きな巣を作っている。枝を加えた鳩が西空を見つめている。

それはひっそりと咲いていた。彼岸花である。赤い花は大木の下にひっそりと咲いている。緑が覆いつくす原っぱに曼珠沙華。
少女を立たせてみたい。寺山修司もどきの世界を夢想した。

十月をわれらに。

(Rさんは何をしているのだろうか?)

 


サンシャイン60

2006年09月26日 | 物語

 
 RUさんと逢った。本屋の文庫本売り場で待ち合わせをした。

 「彼女は知識量が豊富よ」カニエさんは言った。
 カニエさんはRさんが掛かっている整体師さんである。

 デパートの横の喫茶店。

 サンシャインに昇る。カニエさんの家を探す。

 なんと呼べばいい。

 


そうすけマン 永遠の戦い

2006年08月10日 | 物語
そうすけは子供のころ、そうすけマンというヒーローであった。
ヒーローは闘わなければならなかった。
ヒーローは勝利しなければならなかった。

そうすけマンは毎日、次々と現れる妖怪、怪獣との戦いにあけくれた。
だが誰もそうすけマンの壮絶な戦いのことをしらない。

或るとき、そうすけマンは妖怪マクラヤミに倒されてしまった。
逃げても、逃げてもマクラヤミは追いかけてきた。
助けを呼んでも、唄っても、積み木を投げつけても、本を階段から投げ落としても、
マクラヤミは追ってきた。

そうだ。みないみないバリアを張ればいいのだ。
そうすけマンはタオルを口に加え、目を瞑り、念じた。
「みないみない、みないものはいないいないバリアー」
すると、どうだろう。マクラヤミは消えていったではないか。
光の世界がそうすけマンをつつんだ。

そうすけは再び勝利を手に入れたかのように思ったが、
実はこれは永遠の戦いの始まりであったのだ。

 子供だったいう過去の記憶は大人になるにつれて神話となった。
そうすけは自分がそうすけマンであったことさえ忘れてしまっていた。


2006夏。
そうすけは黄昏時に、ふと漠然とした不安に苛まれた。
公園のベンチが夕闇に浮かび上がってくる。
頭を抱える。胸さわぎがする。バリアが破れようとしていた。

「わうぉ~ わうぉ~ わうぉ~」
逃げろ、走れ、隠れろ、疾走せよ、失踪してしまえ!
「ぼばんば、ばんぼん、ぼんば、ばばっぼぼっ」
唱えよ、呪え、惚気よ、狼煙を上げよ!
「西から昇ったお日様が東に沈む!ボンボンバカボンバカボンボン」
尊敬する人は?パパ。パパは何でも知っている。でも知らせてくれなかった。いつでも仁木さんちの猫が教えてくれた。隻眼の猫はエメラルドをうめこむ。いつ言ったって同じだ。ヘィヘィホォホォ、よかった、よかった。パパは木を切る。

コロガッテシマエ、コロガッテシマエ、ビールバラマン、
赤イ入日ノナダラ坂、
ケッテモコロガヌモノナラバ
コロガッテシマエコロガッテシマエビールバラマン。

麦酒腹男が坂を転げ落ちていくことによって、バリアは張られた。タソガレドッキをやりすごしたのだ。
そして、そうすけの世界の平和は保たれたのであった。
ありがとう!麦酒腹男、坂がおわっているのに転がりつづけているなんて、すっごくない~ぃ。

闘いすんですんで日が暮れて、そうすけは夜の公園に佇む。
そうすけは麦酒男がそうすけマンの40年後の姿であることを知らない。


(だから、それが、どうしたんだよ) 
 意味を求める妖怪たちの声が響く。

(やんなっつぅ~の)
 怪獣たちが仁王立ち、吠える。

 戦いは永遠につづく。