カミユと来ればセイン・カミユ、異邦人と来れば久保田早紀の歌しか思い浮かばない、文学音痴の私。
アルベール・カミユの代表作「異邦人」以外に「ペスト」という作品があったなんて知らなかったなぁ。
題名からして暗い内容が予想されるこの作品・・・書店で目にしても絶対手に取ることはないだろう・・しかし100分de名著の番組でこの作品を採り上げてくれたおかげで、非常に面白い作品だということが分かった。
最初は病気のペストのことだと思って番組を見ていた。ところが、内なるペストの話の段になって、これはいわゆる病気のペストのことではないぞ・・と思うようになった。
第四回目の放送で、種明かしがあった。ペストとはナチスドイツ。それに向かって闘う人々はレジスタンス・・作者はペストを通じて、ナチスドイツと戦う人達を書いたんだと。
じゃぁ、何故ストレートにそう書かなかったのか。これは内なるペストと関係ある。悪と断定した相手に死刑宣告するような行動そのものがペストなんだと。
ナチスに迫害された人達にとって、ナチスはペストである。だが第二次世界大戦が終わって、立場逆転・・逆にナチスに関与した人を糾弾する行為は、自分がかつてのナチス=ペストになるようなものだ。「ペスト」が書かれた時代は、まだ関係者が生きている時代だから、彼らを直接的に糾弾することを、カミユは是としなかったのであろう。
しかしながら、ペストのような災厄の中で学んだことを伝えていくこと、記憶し続けることを大切にし、「書く」ことを大事にする主人公は、カミユ自身の投影であり、その強い意志がこのストーリーの救いであるように思う。
アルベール・カミユの代表作「異邦人」以外に「ペスト」という作品があったなんて知らなかったなぁ。
題名からして暗い内容が予想されるこの作品・・・書店で目にしても絶対手に取ることはないだろう・・しかし100分de名著の番組でこの作品を採り上げてくれたおかげで、非常に面白い作品だということが分かった。
最初は病気のペストのことだと思って番組を見ていた。ところが、内なるペストの話の段になって、これはいわゆる病気のペストのことではないぞ・・と思うようになった。
第四回目の放送で、種明かしがあった。ペストとはナチスドイツ。それに向かって闘う人々はレジスタンス・・作者はペストを通じて、ナチスドイツと戦う人達を書いたんだと。
じゃぁ、何故ストレートにそう書かなかったのか。これは内なるペストと関係ある。悪と断定した相手に死刑宣告するような行動そのものがペストなんだと。
ナチスに迫害された人達にとって、ナチスはペストである。だが第二次世界大戦が終わって、立場逆転・・逆にナチスに関与した人を糾弾する行為は、自分がかつてのナチス=ペストになるようなものだ。「ペスト」が書かれた時代は、まだ関係者が生きている時代だから、彼らを直接的に糾弾することを、カミユは是としなかったのであろう。
しかしながら、ペストのような災厄の中で学んだことを伝えていくこと、記憶し続けることを大切にし、「書く」ことを大事にする主人公は、カミユ自身の投影であり、その強い意志がこのストーリーの救いであるように思う。
ペストという比喩を用いることで、かえって宗教の壁が信仰的態度を奪い、戦を引き起こす現実が生々しく描写される。個々の信条が異なっても今ここで生きぬく為に協力しあって歓びを交歓出来れば、それが本当の信仰的態度ではないのか。
善人の行っている大抵の人が尊いと思っている事が本当に正しいのか。悪い事をした人が罰を受けて滅ぼされたらそれで良いのか。問い続け、迷い続ける事がどんなに難しいことか。けれども人間がお互いを思いやり平和に暮らすにはどんなに尊い行為も邪悪と思える行為も疑い続ける事が必要だという小説でしか伝えられない様な難しい事を伝えようとしている。
私も異邦人しか読んだことなかったのでカミュを誤解していたなと思いました。
遠い昔の遠い国の問題の様に思えて、実は、身近で日常的な問題ではないのか?と思ったり。仕事をしていると様々な人が様々な立場から意見をいう。か細い小さなつぶやきもあれば大音響でがなる主張もある。家庭でもそれぞれの正義が相手の正義を蝕む。じっくり読んで更に考えを深めたいものです。