ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「不思議の国のアリス」

2009-12-09 18:26:25 | オペラ
12月5日ル テアトル銀座で、ルイス・キャロル原作木下牧子作曲のオペラ「不思議の国のアリス」を観た(東京室内歌劇場定期公演、鵜山仁演出)。

アリス役の里中トヨコが歌もうまく演技も素晴しい。
姉とユリの花役の吉村美樹の声もいい。

上から降ろされる幕と左右から引かれる幕とをうまく使ってウサギの穴を表わしたり場面転換したりする演出はさすがに流れるようだ。

笑い猫のテーマがいい。
公爵夫人のお茶会で帽子屋が歌うメチャメチャ変な歌、アリスが歌う思いっきり俗で滑稽な歌、公爵夫人自ら歌う妙な歌・・・どれも面白い。

挿絵から抜け出てきたような正統的な衣裳(伊藤早苗)がいい。公爵夫人の古風な帽子も原作の挿絵通りなので、堪らなく嬉しかった。
コミカルなシーンでは音楽も歌手たちの演技も実におかしい。

「鱈とカタツムリの話」という歌が白眉。

ルイス・キャロルの原作が素晴しいことを改めて感じた。そのユーモアは独特で堪らないおかしさだ。
しかもただおかしいばかりでなく、子供の質問という形をとって哲学的な深みのある問いかけ----世界の果ての先には?とか神様は戦争の間どこに隠れているの?とか----がなされる。本当に味わい深い、名作の名に値する作品だ。

原作は長くて盛り沢山な内容なので、だいぶ削ってある、というより原作のエピソードを半分くらい選び出して作曲したという感じか。

木下牧子という作曲家は全く知らなかった。こういう優れた日本人女性がいるとは本当に驚きだ。オペラ作りは非常に疲れるらしいが、これからも是非作ってほしいものだ。
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