ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「夏の夜の夢」

2020-10-27 10:28:35 | オペラ
10月6日新国立劇場オペラハウスで、ベンジャミン・ブリテン作曲のオペラ「夏の夜の夢」を見た(台本:B.ブリテン、ピーター・ピアーズ、演出:デイヴィッド・マクヴィカー、レア・ハウスマン、指揮:飯森範親、オケ:東京フィル)。
1960年初演。
英語上演で日本語字幕の他に英語の字幕もついていて有難い。

貴族の娘ハーミアは許嫁ディミートリアスとの結婚を拒絶し、相愛のライサンダーと共にアテネ近郊の森に駆け落ちする。ハーミアを追いかけるディミートリアス
と彼に片思いするヘレナも2人の後を追いかけ森の中へ。そこでは妖精の王オーベロンと妃タイターニアが小姓を取り合って喧嘩の真っ最中。王の命令で
惚れ薬を手に入れた妖精パックは、ディミートリアスと誤ってライサンダーの瞼に薬を塗る。一方、妃はパックのいたずらによりロバ頭になった職人ボトムに
夢中になり・・・。(チラシより)

舞台左上方を網状(格子状)のもの(屋根裏部屋の天井か)が大きく覆っていて、そこから大きな月が覗いている。

このオペラを見たのは初めてなので、オーベロンがカウンターテナーなのにちょっと驚いたが、神秘的な妖精界の王らしさを出すためだろう。
パックの衣装がシャツにズボンに長い上着で、何だか人間ぽい。
個人的な好みとしては、もうちょっと妖精っぽさが欲しい。
我々人間と違って、重力に縛られない軽やかさが感じられるような。

惚れ薬=魔法の花(herb )のことをオーベロンがパックに説明する時、当然ながら、音楽はひそやかで神秘的なものになる。

妖精たちの場、そして2組の恋人たちの大騒ぎが終わると、音楽はそのまま続き、村の職人たちが芝居の稽古のため三々五々登場する。
ここは音楽をはっきり区切って、全然違う世界にしてほしかった。

第3幕。ホルンの音と共に、屋根裏部屋の天井らしきところのすき間から朝日が降り注ぐ。
その光溢れる舞台が美しい。
ここで初めて公爵と彼の婚約者ヒポリタ登場。
今日は二人の結婚式の日。
背景も衣装も赤くきらびやかで印象的。
朝になり、妖精の支配する時は終わり、人間界が再び主舞台となったわけだ。
舞台前方のみを使って、それまでとはがらりと変わった公爵の邸宅内の様子。
そこで、お祝いの余興の素人芝居が演じられる。

妖精たちを演じた児童合唱の子供たちは、シェイクスピアの聞き慣れない英単語の数々を覚えるのが大変だっただろう。
いや、子供だから、大人よりかえって楽に覚えられるのかも知れない。

新国立劇場での8ヶ月ぶりのオペラ再開。
オール日本人キャストだからできたことだろう。
客席も出演者たちも喜びを嚙みしめていた。




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福原充則作「夜鷹と夜警」

2020-10-15 11:15:10 | 芝居
9月14日下北沢ザ・スズナリで、福原充則作「夜鷹と夜警」を見た(演出:福原充則)。
東京№1親子 第2回公演。
チラシに曰く、「挙句の果ての彼方から!あの親子が下北沢に帰ってくる!!
        かなわない敵と夢。刃向かう度胸も尽き果てて、膝を折って両手をついて額の置き場を探してる。ところがそこかしこに先達が。
        俺の土下座の場所がない・・・。長いものに巻かれたいのに巻いてもらえない男と女のロール・オーバー物語!」
これだけでは初心者には何にも分かりませんが。
要するに、佐藤B作とその息子銀平を中心に、安藤聖、村上航、喜多村千尋といった面々が一人何役も兼ねてドタバタやる芝居だ。

ホンは、まあストーリーがあるような、ないような、だが、セリフはなかなか面白い。
ヤマシタという名のコウモリ(声は名優中村まこと)が登場したりとファンタジーっぽい。
ラストのオチが特にないのが残念。
休憩無しの上演時間45分だったが、途中3分ほど換気を兼ねた休憩をとり、その間、小さなスクリーンで30数年前のB作さん主演の舞台映像を
2つ見せてくれた。

安藤聖ら役者5人は皆うまい。
小さなホールの客席に一人置きに座った観客は、ほぼB作さんのファンらしく、温かい雰囲気。
そりゃそうだ。こんな時にわざわざ、中身もよく分からない新作の芝居を見に来ようなんて酔狂な(失礼)客なんて、そうそういないでしょう。
でも皆さん、半年も生の芝居を見ることができなかったわけだから、芝居好きの身が疼くのでしょう。
よ~く分かります。
こうしてまた客席に座って観劇できる幸せをしみじみ感じたことでした。

B作さんと銀平君については、2016年10月に吉祥寺シアターで、小山内薫作「息子」で初めて親子共演したのを見た(演出:マキノノゾミ)。
今回のとはまったく違った、涙腺危うい古典的な親子もので、印象深い作品だった。
この日は久し振りにB作さんの元気な姿を見られてよかった。
安藤聖という人を知ることができたのも今日の収穫。

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