ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

音楽劇「それからのブンとフン」

2013-11-25 16:40:19 | 芝居
10月15日天王洲 銀河劇場で、井上ひさし作、音楽劇「それからのブンとフン」をみた(こまつ座&ホリプロ公演、演出:栗山民也)。

作者が小説「ブンとフン」に後日談を加えて戯曲化した作品。

売れない小説家大友憤(ふん)(市村正親)の小説から飛び出した泥棒ブン(小池栄子)が大騒動を引き起こす。
警察はブンを捕まえようとするが、相手は小説の中で超能力者という設定だったため、まったく歯が立たない。困り果てた警視総監は
怪しいフーテンに悪魔を呼び出してもらい、ブン暗殺を依頼(!)するが…。そのうちにブンが大量発生してますます大混乱となり、
ブン同士の間で戦いが始まる。オリジナルブンは某国の秘密警察に追われる。フン先生はブンの代わりに地下牢に入れられ、小説も
書かせてもらえなくなるが、ブンを救うために自分の指を噛み切って、己の血で壁に新たな小説を書こうとする…。

荒唐無稽で目まぐるしいが、役者たちは健闘。

途中にはさまれる歌が面白い。例えば「常識ソング」では、警察が常識だけを頼りに捜査していることを高らかに歌い上げ(考えて
みれば確かにその通りだ)、「ザマスの歌」では有産階級の婦人連が語尾「ザマス」に合わせて韻を踏んで楽しい。





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音楽劇「ヴォイツェク」

2013-11-12 22:36:01 | 音楽劇
10月8日赤坂ACTシアターで、音楽劇「ヴォイツェク」をみた(原作:ゲオルク・ビュヒナー、脚本:赤堀雅秋、演出:白井晃、
音楽:三宅純)。

兵士ヴォイツェク(山本耕史)は美しい内縁の妻マリー(マイコ)と幼い息子と共にささやかに暮らしている。彼は高慢な大尉の髭を剃り、
尊大な医師の実験対象となってわずかな日銭を稼いでいるが、ある時マリーが男盛りの鼓手長と浮気していると聞かされる。ある時は怪し
げな見世物小屋で、ある時は猥雑な酒場で、ヴォイツェクの目を盗んで鼓手長と会うマリー。ヴォイツェクはいつしか奇妙な幻視と幻聴に
苛まれ、マリーへの不信を募らせていき…。

この作品はアルバン・ベルクの有名なオペラ「ヴォツェック」と同じ原作だが、戯曲の方はタイトルに「イ」を入れて「ヴォイツェク」と
することになっている由。今回初めて知ったが何ともややこしい。

主役の山本耕史は,精神的に追い詰められてゆく様を細かく工夫を凝らして表現しようとしていたが、もともとこの人は、お金で苦労した
ことがあるようには見えない「いいとこのお坊ちゃん」然なので、そもそも無理がある。ヴォイツェクは貧乏に打ちひしがれている男で、
彼の悲劇は主にお金がないことから起こるのだから。

音楽(三宅純)はクルト・ヴァイルの「三文オペラ」みたいで面白いが、歌を入れないでほしい所に無理やり歌を入れるのは興ざめ。
例えばラスト近く、妻を殺した直後いきなり歌い出されると、高まっていたこちらの気持ちがサーっと醒めてゆく…。
ベルクのオペラでは、音楽が雄弁かつ自然なので何の違和感もないが。



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