ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「じゃじゃ馬ならし」

2009-01-21 17:06:50 | オペラ
 1月18日(日)ヘルマン・ゲッツ作曲のオペラ「じゃじゃ馬ならし」の日本初演に立ち会った。
 この作曲家は19世紀の人で、これまであまり知られてなかったらしいが、聴かせ所のアリアもあり、十分楽しめた。
 
 ヒロインの心の揺れを表わすセリフはシェイクスピアの原作にはない(初期の軽いコメディだからだろう)が、このオペラは「アリア」という強力な武器を生かしてそれを聴衆に訴えかけてくる。我々はその都度ヒロインに共感し、彼女と共に納得しつつ先に進んでいくことになる。こういう具合に、芝居とオペラの違いについていろいろと考えさせられた。
 
「ありのままの君が好きなんだ!」と言われてカタリーネの心が動かされると、
そばにまだ男がいるのに、照明が変わって戸惑いのアリアを歌い出すのは、曲は素敵だが、ちと変。聴いてる方は恥ずかしいようなこそばゆいような。19世紀のドイツの聴衆には不自然ではなかったのだろうか。
 
 結婚式後、ペトルーキオが花嫁を強引に連れ去るシーンでは回り舞台を使っていたが、何だか妙だった。他に方法はなかったのだろうか。

 原作と違って「反抗的な女が好き」なペトルーキオ。すっかり従順になってしまったカタリーナと、このあと果たして仲良くやっていけるのだろうか。一抹の不安が残る。

 それにしても初演というのは exciting だ。ほとんどの聴衆は、原作は知っていたとしてもこの作品は知らないわけだから、次に何が起こるのか分からず、みんな固唾を呑んで舞台を見守っている。手垢のついた有名作品の時のように、余裕をもって評論家風に構えて歌手を「採点」するような態度の人はいない。何だか客席に連帯感のようなものが感じられた。

 ところでチラシに載っている「あらすじ」は原作のであって、この台本(J・V・Widmann)とは違う。違いは重要な点なのだから、次回はそこんとこよろしく、と言いたい。
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シラノ・ド・ベルジュラック

2009-01-17 21:38:54 | 芝居
 先日テレビで「シラノ・ド・ベルジュラック」の芝居を見た。アンソニー・バージェス脚色の英語版で、わりと自由にセリフを書き足していて実に面白い。
 演出はデーヴィッド・ルヴォー、主演ケヴィン・クライン、ロクサーヌはジェニファー・ガーナー。
 主役がしゃべりつつ登場すると、拍手が起き、彼は手で制してセリフを続けた。
米国でもこういうことが起きるのか。芝居好きならこんなことはしない。肝心のセリフが聞こえなくなるではないか。
 ガーナーが話し出した時は、声があまり美しくないのでちょっと失望したが、芝居がうまいのですぐに気にならなくなった。
 クリスチャン役のサンジャタという男優は発音が美しい。
 皆、芸達者。特に主演のクラインは素晴らしい。

 それにしてもロスタンの原作がよくできていると改めて思う。
 
この芝居を初めて見たのは、昔ジェラール・ドパルデュー主演の映画で、見に行く前に一応原作(の日本語訳)を読んでおいた。いつだってそうだが、この時は特に、読んでおいてよかったと心から思った・・・。読んでいたから筋はもちろんセリフだって全部知っていたのに、いや、だからこそか、戦場シーンからいきなり修道院の場に移って鐘の音が聞こえてきた時、あまりの哀しい運命に胸が張り裂けそうになってしまった。

 次に見たのは’07年の夏、市川右近主演の芝居で、これはまたあまりの面白さにすっかり打ちのめされてしまった。青山円形劇場の狭い空間をうまく使って、何とたった7人ですべての役を演じ分けていた。シェイクスピア以外でこんなに面白い芝居を見たことはあったかな・・というくらい素晴らしかった。

 今回が3度目だから、フランス語、日本語、英語と見たわけだ。この米国版は、英語圏の芝居らしくシェイクスピアを引用して観客を喜ばせてくれた。また、英語という言語の軽やかさと、演劇の偉大な遺産をも感じさせられた。
  
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ヘンリー六世

2009-01-01 23:05:05 | 芝居
初めてブログなるものを書いています。
それと言うのも、最近芝居を見ることが多く、その都度感激したり頭に来たりして、思いがあふれ、それをどこかに書きたいという欲求が抑えられなくなったからです。
特に好きなのはシェイクスピアです。
昨年12月に入手したちらしの中に、今年の秋の「ヘンリー六世」のちらしを発見して以来、もうそのことで頭が一杯というありさま。
しかも初台で鵜山仁演出という願ってもない話。
実は「ヘンリー六世」の芝居はまだ一度も観たことがないのです。
昔、東京グローブ座ができた時、まず最初にやった演目であり、しかもイギリスからRSCが来て演じたというのに、当時子育てでそれどころではなかった、という
くやしい思い出のある芝居で、言わば今年ようやくそのリベンジができるというわけです(日本語だけど)。
久し振りに上杉祥三さんも見られるし。
今年はもうすぐ古田新太主演の「リチャード三世」もあるし、シェイクスピア好きにはたまらない年になりそうです。



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