ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「十二夜」

2014-09-15 22:13:54 | 芝居
8月3日東京芸術劇場シアターイーストで、シェイクスピア作「十二夜」をみた(OUDS来日公演、演出:マックス・ギル)。

双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラは乗っていた船が難破し、互いが死んでしまったと思い込む。イリリアにたどり着いた妹のヴァイオラは、
身を守るために兄セバスチャンそっくりに男装し、シザーリオと名を変えて、町の公爵オーシーノーに小姓として仕える。
彼女はひそかにオーシーノーに淡い思いを抱くようになるが、何も知らない公爵はかねてから心を寄せる女性オリヴィアのもとへ行き、主人の
愛を伝えてくるよう命じる。心を痛めながらも小姓としての務めを果たすヴァイオラ。ところが、あろうことかオリヴィアはオーシーノーでは
なく、男装したヴァイオラに恋をしてしまう!
そんな折、生きていた双子の兄セバスチャンが偶然にも同じ町に現れる。見知らぬ美しい女性オリヴィアから求婚され、当惑しながらも受け入
れるセバスチャン。オーシーノーは小姓シザーリオに裏切られたと激怒する。身に覚えのないヴァイオラ…。
男と女を取り違えての大混乱。報われぬ恋。果たしてそれぞれの恋の行方は…?

冒頭に黙劇。舞台上に白布にくるまれた遺体のようなものが横たえられており、そこに船長らしき男が来ると、遺体が跳ね起きる。
これがヒロイン、ヴァイオラだった!ちょっとびっくり。

オーシーノー公爵は目隠しして2人の女性と戯れている!彼女たちは美しい声でオペラ「魔笛」の中の「パ・パ・パ…」という有名な
二重唱を歌ったり。それはいいが、身分の高い男が目隠しして女たちと戯れるという場面は、忠臣蔵における大石内蔵助の茶屋遊びを
連想させるため、あっけに取られた。ここには普通、(台本でも)男の家臣たちしかいないのに、なぜこんな気持ちの悪いことをする?
この2人の女性が歌がうまいのは分かるが…。彼はひたすらオリヴィア姫に恋焦がれているはずなのに。

その他、音楽はバッハなど名曲ばかりをこの2人が歌ったり、ハープなどで演奏したり。

オリヴィア姫はかなりユニーク。そもそも定番の黒の喪服姿でないし、髪を高く結い上げ、長いドレスは妙にゴテゴテと飾りがついていて、
中に何が入ってるのか歩くと木が床に当たるような音がする。
今回のチラシは、このエキセントリックなお姫様の顔のアップだ。これも珍しい。たいていヴァイオラと公爵も一緒だが。

姫の侍女マライヤは露出度の高い服を着た若い女性…って、みんな大学生だから若いに決まっている。そこが芝居をやる上でいささか
難しいところ。中年の役も年寄りの役も全部自分たちでやらないといけないから。

道化フェステが縛られ、鞭打たれるのにはまたまたびっくり。

このように、今回の「十二夜」はかなりの異色作だった。

それから一言付け加えたいが、プログラムの「サー・キャメロン・マッキントッシュからのメッセージ」の日本語訳に重大な誤りがある。
意味が反対になるようなひどい誤訳だ。名優ジョン・ギールグッドと同じく名優ローレンス・オリヴィエのエピソードで、本当はギールグッド
が変人なのに、オリヴィエが偏屈なような印象になってしまった。よっぽど急いで訳したのか。

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「抜目のない未亡人」

2014-09-08 22:24:16 | 芝居
7月30日新国立劇場中劇場で、三谷幸喜作「抜目のない未亡人」をみた(原作:カルロ・ゴルドーニ、上演台本・演出:三谷幸喜)。

舞台は18世紀の国際都市ヴェネツィア。
金持ちで高齢の夫を看取ったばかりの未亡人(大竹しのぶ)は、早く再婚相手を見つけ、もうひと花咲かせたいと考えていた。
そこに現れた欧州各国の求婚者たち(段田安則、岡本健一、中川晃教、高橋克実)。それぞれ誠意、容姿、財産、血筋は十分なのだが、
一長一短。美しい妹(木村佳乃)やお調子者の召使(八嶋智人)も加わって、未亡人の次なる幸せな結婚に向けた大作戦が始まった!
最後に勝つのは財産か、容姿か、名誉か、愛情か!!??
中世イタリアの人気喜劇を原作に、三谷幸喜が放つ爆笑コメディ!(チラシより)

というわけで、特に書くことなし。楽しかった。作者の意図した通り、後に何も残らない軽いコメディに仕上がっている。
原作のどこをどう変えたのか(ふくらませたのか)興味があるが、原作を知らないので想像するしかない。

映画監督のジョージ・ルーカスのことをジョルジュとイタリア風に呼ばせるところとか、評者の好み。

脚本家は、この主役を大竹しのぶにあて書きしたことは間違いない。彼女を使えるならいろいろやらせたくなるのも当然だ。
しかも今回は、女優が別のいろんな女に化けるというストーリーだし。
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