ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「ラ・フィアンマ」

2013-08-25 21:59:02 | オペラ
7月27日新国立劇場中劇場で、O.レスピーギ作曲のオペラ「ラ・フィアンマ」をみた(東京オペラプロデュース公演、
指揮:石坂宏、演出:八木清市)。

日本初演。全3幕。
7世紀のラヴェンナ。総督バジリオの妻シルヴァーナの母アニェーゼは魔女裁判にかけられ火刑台に送られる。そこへ総督の
息子ドネッロが任地ビザンティンより帰還する。彼は幼い頃一度だけ会ったことのあるシルヴァーナと再会。しかし彼女が
自分の父の妻となっていたことにショックを受ける。それでもドネッロとシルヴァーナはお互いに惹かれ合っていく。
そのことをシルヴァーナから知らされたバジリオはショックを受けて心臓麻痺で急死してしまう。総督の母エウドッシアは
シルヴァーナを息子バジリオの死に関与したと非難し、彼女を魔女と断言する・・・。(チラシより)

誰が書いたか知らないが、このチラシのあらすじはとんだ嘘っぱちだった!しかもラストが書いてないので、客席はみな
固唾を飲んで舞台にクギづけ。
どこが違うかと言うと、ドネッロはショックを受けるも何も、昔シルヴァーナと会ったことを全然覚えていない!シルヴァーナ
の方だけが覚えていて、彼は気になる存在で、言わば彼女の片思いなのだ。

冒頭、いきなり劇的な音が鳴り出すが、舞台では侍女たちが並んで座ったり、縫い物を広げたりして穏やかな光景。
2幕、シルヴァーナは侍女モニカ相手に愛について語る。このあたりの音楽が美しい。
ところがモニカがドネッロにキスされたと告白するや激怒、修道院へ行くよう命じる。
こののち夫(総督)ようやく登場。夫の口から初めて自分たちの結婚の真相を知るシルヴァーナ。夫は彼女の母の魔力によって
彼女への恋に落ちたのだった・・。
一人になった彼女は、魔女として火あぶりにされた母を憐み、自分にも母と同じ血が流れているのだから、同じことが
できるかも・・・とやってみる。「ドネッロ・・・できる・・できる!!」と手応えを得るところ、実にドラマティックで
たまらない。ついに魔術の力でドネッロが現われ、二人は抱き合う。

3幕冒頭の音楽がゴージャス。
結局、母は娘にも魔法をかけるべきだったのかも知れない。
自分の結婚のことを「金と宝石で売られた」とまで言う娘。断れなかったのか?
ラスト・・「誓います」の一言を言わない女。「罪を認めた!火刑だ!」と群衆が叫び、そこで幕。

シルヴァーナ役の垣岡敦子は声は悪くない。
恋人ドネッロ役の人は声が悪い。その点、夫の総督役の村田孝高の方がよかった。
恐い義母はこの作品中なかなか重要な役だ。ただ、終始冷静で理性的な態度なのが、「息子が死んで半狂乱になっている」
という人々のセリフと一致しない。
今回の演出はその点納得がいかなかった。

とは言え、また一つ、素晴らしいオペラと出会えた日だった。


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チェーホフ作「ワーニャ伯父さん」

2013-08-13 22:16:12 | 芝居
7月20日東京芸術劇場シアターウェストにて、チェーホフ作「ワーニャ伯父さん」をみた(円公演、台本・演出:内藤裕子)。

白樺の木々。庭のテーブルにはサモワール。

老教授セレブリャコーフ(藤田宗久)は退職後、亡き前妻ヴェーラのものである田舎の荘園に、後妻エレーナ(朴璐美)を連れて来る。
そこには娘ソーニャと前妻の兄ワーニャ(金田明夫)、義母マリヤ、老いた乳母マリーナ(高林由紀子)などが暮らしている。
元教授は都会式に昼夜逆転の暮らしを続けるので、皆の生活リズムはすっかりかき乱されてしまう。ワーニャと医師アーストロフ
(吉見一豊)は共に、若く美しいエレーナに心を奪われるが・・・。

主演の金田明夫は滑舌がよくない。
ヒロイン朴璐美は、エレーナとしてはちょっと地味かと思ったが、演技はうまい。小柄だが大きな声も出せる。
吉見一豊は医師アーストロフ役を楽しそうに演じていた。

台本にあちこち小さな加筆をして、より分かり易くしている。
医師にキスされ抱き締められ「明日森の番小屋で2時に・・?」と迫られたエレーナははっきりとうなづく!今回のエレーナは
なかなか積極的だ。

音楽はもっぱらバッハが使われていた。ラストのソーニャとワーニャ伯父さんの会話の間、ギターでゴルトベルク変奏曲の最初の
テーマが弾かれ、驚いた。と言うのも翌日教会の礼拝でこの曲を弾くことに決めていて、毎日練習していたので。
それにこの曲がギターでも何とか弾けるということにも驚いた。
いずれにせよ天国的な慰めに満ちた美しい調べがこの場にふさわしく、胸打たれた。
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