9月5日第一生命ホールで、ヒンデミット作曲のオペラ「往きと復り」と、マイケル・ナイマン作曲のオペラ「妻を帽子と間違えた男」を観た(中川賢一指揮、飯塚励生演出)。
ヒンデミットの方は、わずか15分の作品。舞台左側に演奏者達、右側に白い壁状の引き出し。
夫が妻を射殺すると、一人の男が現れ、「人間が普通とは反対に、死んでから人生が始まり、最後に生まれる、というのでもいいだろう」とか言い、ストーリーが逆にさかのぼってゆく。歌詞がうまくつながる所がいくつかあって面白い。最後はハッピーエンド。
ヘレーネ役の森川栄子は相変わらず張りのある素晴らしい美声。
ナイマンの方には、指揮者の解説によると、R.シューマンの引用が少なくとも14箇所はある由。
これは実話を元にしたオペラで、患者であるP教授が音楽家(声楽家)なので、途中シューマンの「詩人の恋」から「僕は恨まない」を丸々一曲歌うという趣向になっていて、歌手にとっては見せ場でもある。「詩人の恋」の大ファンとしては、これだけでもうかなり満足だった。
演奏(東京室内歌劇場)は秀逸。特にヴァイオリンのうまさが際立つ。
患者は音楽家として一流であり、暗記チェスの名人でもある。つまり非常に知的な人物だ。それなのに手袋を手袋と認識できない。ある種の認識能力の欠損。特異な症例とは言え、人間とは・・と考えさせられる。
妻が医者に向かって「このパリサイ人!」と叫ぶ。字幕には(芸術を否定する人)とかいう註が出ていたが、Pharisee という英単語にはそういう意味があるのだろうか。手元の辞書によると、「信仰より宗教的儀式・古い慣習を尊重する人、信心ぶる人、偽善者」とある。つまり形式主義者ということか。
ヒンデミットの方は、わずか15分の作品。舞台左側に演奏者達、右側に白い壁状の引き出し。
夫が妻を射殺すると、一人の男が現れ、「人間が普通とは反対に、死んでから人生が始まり、最後に生まれる、というのでもいいだろう」とか言い、ストーリーが逆にさかのぼってゆく。歌詞がうまくつながる所がいくつかあって面白い。最後はハッピーエンド。
ヘレーネ役の森川栄子は相変わらず張りのある素晴らしい美声。
ナイマンの方には、指揮者の解説によると、R.シューマンの引用が少なくとも14箇所はある由。
これは実話を元にしたオペラで、患者であるP教授が音楽家(声楽家)なので、途中シューマンの「詩人の恋」から「僕は恨まない」を丸々一曲歌うという趣向になっていて、歌手にとっては見せ場でもある。「詩人の恋」の大ファンとしては、これだけでもうかなり満足だった。
演奏(東京室内歌劇場)は秀逸。特にヴァイオリンのうまさが際立つ。
患者は音楽家として一流であり、暗記チェスの名人でもある。つまり非常に知的な人物だ。それなのに手袋を手袋と認識できない。ある種の認識能力の欠損。特異な症例とは言え、人間とは・・と考えさせられる。
妻が医者に向かって「このパリサイ人!」と叫ぶ。字幕には(芸術を否定する人)とかいう註が出ていたが、Pharisee という英単語にはそういう意味があるのだろうか。手元の辞書によると、「信仰より宗教的儀式・古い慣習を尊重する人、信心ぶる人、偽善者」とある。つまり形式主義者ということか。