ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

シェイクスピア作「ハムレット」

2017-06-25 21:31:14 | 芝居
4月11日東京芸術劇場プレイハウスで、シェイクスピア作「ハムレット」をみた(演出:ジョン・ケアード)。

最初のセリフまでに、全員が登場してひとくさりあり。
日本趣味。横笛。衣装。
役者たちの滑舌悪し。
松岡和子訳なのに初めて聞くセリフがどんどん出てくるので驚いた。帰宅後チラシをよく見ると、今回は「上演台本」を使っているのだった。
全くうっかりしていた。そうと知ってたら行かなかったかも?

クローディアス役の國村隼は国王らしさがない。ただ先王の亡霊役も兼ねており、こちらはいい。
レアティーズ役の加藤和樹の登場で、やっと声のいい人がいた、とほっとした。
ポローニアス役の壤晴彦はセリフを何箇所も間違える。
舞台下手には客席。上手には出番でない役者たちが座って見ている。
亡霊が袖を振ると、ハムレットたちはフラ~っとなる。
旅役者の座長役の村井國夫は驚いたことにセリフを覚えておらず、若い役者が台本を手に時々教える!これはショックだった。一体どうした訳か。
へキュバのくだりもそう。どうしてこれでハムレットを感動させることができようか?
オフィーリア役の貫地谷しほりは舞台では初めてみたが、声もよく通っておりなかなかの好演。今回唯一の収穫かも。

亡霊とハムレットは抱き合う。
劇中劇で耳に毒を入れられた役者を、王はそばまで行ってじっと見下ろす。
王が去った後ハムレットは大喜びで「音楽だ!」と叫び皆で踊り出す。王の不興を買った直後なのにやり過ぎだ。
ハムレット役の内野聖陽はフォーティンブラスも兼ねる。舞台正面で後ろ向きに金色のマントと金色の兜をかぶって向き直って登場。
ガートルード役の浅野ゆう子は残念ながらあまりうまくない。自分の寝室で息子ハムレットとやり合うクローゼットシーンのセリフも表面的。
底が浅い。
オフィーリアの死を告げるシーンでは悲しみがまるで感じられない。
ここは元々現代人には難しいシーン(情景描写を長々とやっていないで早く現場に駆けつけたらいいのに)だが、それも役者の力量次第でうまく
乗り越えられる課題だ。

旅の一座の座長に「ゴンザーゴ殺し」はできるか?、それに何行かセリフを加えてほしいが、できるか?とハムレットが問う箇所がカット
されていた。これがないと困るのでは?
あちこち間延びしていて演出のまずさが露呈。
墓掘り1もヨリックの頭蓋骨を掘り出すまでが長過ぎる。
意味ありげな間も多い。
ラストもホレーショ一人残って、特に何かするわけでもなく、時々振り返りながら退場。
だから3時間15分もかかるのだ。やめてほしい。

人が死ぬ時にグヮラーンと特徴的な効果音が入ったり、亡霊などが現れる時も音がしたり、蜷川式を真似て、いや取り入れている。
分かり易いが別にいらない。日本人はこういうのが好きだから、と思ってるとしたらそれは誤解だ!

日本人は権威に弱い。今回の公演も、RSC のジョン・ケアードという権威にハナからひれ伏しているように思われる。
無条件で有難がるのはいかがなものか。
役者も有名な人を多くそろえているが、必ずしも実力が伴っているとは限らないのが悲しいところ。
そのあたり、ケアードはどこまで認識できているのか?







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井上ひさし作「私はだれでしょう」

2017-06-16 21:50:33 | 芝居
3月24日紀伊国屋サザンシアターで、井上ひさし作「私はだれでしょう」をみた(演出:栗山民也)。

昭和21年7月。日本はまだ混乱と困窮の只中にあった。新番組「尋ね人」を担当する日本放送協会の一室、脚本班分室には、戦争で離れ離れに
なった肉親、知人の消息を尋ねる人々の声が積み上げられていた。「尋ね人」はこの無数の声をラジオを通して全国に送り届けるために始まった。
占領下日本の放送を監督するCIE(民間情報教育局)のラジオ担当官・日系二世のフランク馬場(吉田栄作)と脚本班分室長の川北京子(朝海
ひかる)らを中心に、組合のストライキ運動や放送用語問題も飛び交って、次から次へと騒動が巻き起こる。
そこにやって来た「ラジオで私を探してほしい」という不思議な男。なぜか歌もタップも武術もできる、でも自分自身が分からない男の「自分探し」
を手伝ううち、ラジオ局の人々も自分自身を見つめることになり、やがて川北とフランクはある大きな決断をする・・・。

今回、都合により脚本を一部カットして上演する由。

朝海ひかるは好きな俳優。2011年にアーサー・ミラーの「みんな我が子」で見たのが最初で、その後井上ひさしの「しみじみ日本・乃木大将」、
「國語元年」など見てきた。今回も好感の持てる演技。

例によってつまらない歌と踊りがたくさん挿入される。
朴勝哲のピアノソロはもちろん素敵だった。




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