ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「ナクソス島のアリアドネ」

2011-11-27 22:25:11 | オペラ
10月10日東京文化会館で、リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ「ナクソス島のアリアドネ」をみた(バイエルン
国立管弦楽団、指揮:ケント・ナガノ、演出:ロバート・カーセン)。

序幕つきの一幕のオペラで、かなり変わった作品。今回初めて見た。
モダンな新演出が話題とのこと。

幕の開いた舞台ではダンサー達がリハーサル中。この日はオペラ上演のはずが、主催するパトロンの意向で急きょ、オペラの後に
ダンスを上演することになる。人気踊り子ツェルビネッタ率いる一団が呼ばれて来る。
オペラの作曲家が怒っていると、今度はオペラと踊りを同時に上演せよ、とパトロンから告げられる。芸術の破壊だと失望する
作曲家だが、ツェルビネッタが甘い歌で誘惑すると、気を取り直し、作品の変更を決意する。
だが時すでに遅く、舞台では準備が出来上がり、踊り手たちが待機している。彼はだまされたのだ。
幕が上がり、オペラが始まる。小島で一人悲嘆にくれるアリアドネを、ツェルビネッタ率いる道化たちが元気づけようと歌い踊るが
効果はない。アリアドネは引きこもるが、ツェルビネッタが女心はたやすく変わりうるのだと奔放な魅力全開で歌い踊ると
男たちが群がってくる。
やがて静まった舞台にバッカスが現れる。アリアドネは彼を死の神と思い、バッカスは彼女を魔法使いかと疑うが、二人は
互いに見つめ合い、二重唱は次第に甘美な響きを帯びてゆく。バッカスのキスでアリアドネは悲しみから解放される・・。

何と言ってもツェルビネッタ役のダニエラ・ファリーが素晴らしい。超絶技巧を要する長いアリアをこともなげに歌ってのけ、
色っぽさ全開で舞台狭しと飛び回り、女の私でさえ悩殺されそうだった。
作曲家を女性(ソプラノ)に歌わせるという設定がシュトラウスらしい。これもまたいわゆるズボン役だ。
照明も面白かった。「死」という言葉のあたりから、舞台を暗い影が少しずつ覆っていったり。

来日公演最終日とて、カーテンコールも華やかで楽しかった。


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「破産した男」

2011-11-19 21:23:24 | 芝居
10月8日あうるすぽっとで、ダヴィッド・レスコ作「破産した男」をみた(演出:高井浩子)。

或る男(今井朋彦)の部屋から女(内田淳子)が荷物をまとめて出ていく。破産管財人(太田宏)が来て
男の持ち物を一つ一つチェックしていく。日がたつにつれ、彼の部屋は家具がなくなり、がらんとしてくる。
男は何をするでもなく部屋にこもっている。ある日彼は女がまだその町にいることを知り、部屋に訪ねてゆくが、
もちろん中へは入れてもらえない・・。
ホンは退屈で筆者にはつまらなかったが、3人の役者はうまい。声もよく通る。
音楽も効果的。

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ラティガン作「セパレート テーブルズ」

2011-11-12 21:04:52 | 芝居
9月29日恵比寿・エコー劇場で、テレンス・ラティガン作「セパレート テーブルズ」をみた(テアトル・エコー、演出:戸部信一)。

英国南部の海辺にある長期滞在型ホテルを舞台とする、一幕ごとに完結した二つの物語。
一幕:ホテルの食堂で、お客たちがそれぞれ別のテーブルで食事しながら会話している。そこに新しい客が入ってくる。
服装も髪型もびしっと決めたこの女性アンは女優で、このホテルに元夫ジョンが滞在していることを知ってやってきたのだが、
彼女を見たジョンが驚くと、偶然の出会いを装う。
二人の会話から次第に過去が浮かび上がってくる。上流階級の女と労働者階級の男が出会い、結婚したが、女のわがまま、
男の酒癖と暴力等々のために破局したのだった・・。
セリフの応酬だけで眼前に生き生きとよみがえる様々な情景、息詰まるほど緊迫した駆け引き・・実に巧みな脚本だ。

この戯曲を読んだ、かのローレンス・オリヴィエが、妻(ヴィヴィアン・リー)とこの二人を演じたいからスケジュールが空くまで
1年半待ってほしいと頼んだ、という興味深いエピソードが残っている由。
確かにアンは、ジョンと別れたのち別の男と再婚したもののまたも離婚し、孤独から逃れるために今や薬なしでは眠れなくなった
女優という設定なので、ヴィヴィアン・リーにうってつけの役と言える。

二幕:いくつかの筋が絡み合う。ジーンとチャールズという若いカップルに赤ん坊が生まれ、夫は医者になるべく勉学に励み、
一幕では結婚してもキャリアを積み子供はいらないと言っていた妻の方は、育児に専念している。
ポロック少佐という初老の男が何やらそわそわ落ち着かない。実は彼、先日映画館で女性に痴漢を働いた疑いで警察沙汰になり、そのニュースが新聞に
載っているのでそれを誰にも見られないようにしようとするのだが、うまく行かず、ついに皆の知るところとなる。
ついでに少佐というのも嘘だったとバレてしまう。
その時、どうもおかしいと思ったと言う人は、彼がラテン語を知らなかったことから不審に思う(この辺いかにも英国らしい)。
一人の女性客が憤慨して彼を追い出そうと皆に提案するが・・。

二つとも、いかにもイギリス人好みの芝居で、最後はほのぼのと心温まる。
いわゆる変わり者が一人二人いるが、その他の人々もみなそれぞれに個性的。
しかし役者が下手。セリフの出を間違えたり、わざとらしかったり。特に中堅の女性陣がいけない。
グラディス・マシスン役の島美弥子さんとモード・レールトン=ベル役の高橋直子さんが印象的。
ジョン・マルコム役の入江崇史は巧い。
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