

透明「そろそろ気づいても良いんじゃない
」

伊能「何を
」


透明「君は、確かに天才だよ
誰にも師事されずに

これだけの術式を組み上げることができる
んだもの

でも、君は術というモノしか目に映って
いないんじゃないのかな
」
いないんじゃないのかな

伊能「ふん
一体、何を言っているんですか
」



透明「例えば、今君は、私達の前から逃げ出す
準備をしている
とか
」
準備をしている



伊能「
」

伊能の腰が少し浮いている・・・。
透明「流石に、気当たり程度で動きは封じられないからね

そろそろ、自由に動けるでしょ

でもね
」

伊能「
」

伊能の周りに、結界が施されている

伊能「い、いつの間に
」


透明「う~ん
・・・さっき、昴が話しかけていた時かな
」


伊能「ま、また、貴方ですか
」

昴「悪いな
」

伊能「くっ
」

透明「まあ、そう急がなくてもいいじゃない

こんなに話すの初めてなんだからさ
」

伊能「・・・・・・。」
透明「つまりは、君は術に溺れて大切なことを学んでいない

ということだよ
」

伊能「大切なこと
」

透明「そう
観似手使いも同じだけど、自分の力に酔って

大切なモノを見失ってしまう

だから、今の君は、君が嫌いな観似手使いと
たいして変わらないっていうことだよ
」
たいして変わらないっていうことだよ

伊能「ち、違う
わ、私は
」


透明「それじゃ~、何で今まで私に先手を取られている
のだと思う
」

伊能「そ、それは、貴方の能力が
」

透明「ごめんね
さっき、昴が言っていたけど、私は

今まで一度も自分の観似手を君に使っていない

使っているのは、君と同じ程度の能力だよ
」

伊能「なっ
」


透明「それでも、君は私の先手を取れない

どうしてだと思う
」

伊能「そ、それは・・・・・
」

しばらくの沈黙・・・・。
千鶴「わ、わかった
私、わかっちゃったかも
」



伊能「
」

円「それじゃ~、千鶴
答えてあげなさい
」


千鶴「は~い

たぶん~っ
伊能さんはぁ~
」


伊能「イラッ
」

千鶴「術以外、何も知らないんだと思いま~す 
」


伊能「ふざけるな
小娘の分際で
」


千鶴「きゃっ
」


伊能「わ、私が、術以外を知らないだと

ぬくぬくと温室で育った小娘に、何が分かるというのだ
」


まあ、それは確かに・・・

っていうか、千鶴ちゃん天然なのか
煽っているのか


分からない子だなぁ~



透明「さてと、そろそろ答え合わせかな
」

伊能「
」

透明「千鶴ちゃんが言ったことは、飛躍しすぎだけど、
良いところを突いていると思うよ

伊能ちゃんは、人を知らなすぎるんだよ
」

伊能「人
」

透明「そう
君は周りの人間をどこか下に見ている


確かに優秀な君のことだから、人の言葉を
軽いモノと捉えてしまうのかもしれないよね
軽いモノと捉えてしまうのかもしれないよね

でもね

人は色々な考えをもって行動し、無限の選択肢の
中で生きているんだよ
」
中で生きているんだよ

伊能「無限の選択肢
」

透明「うん
私は、人が好きだからね


だから、興味を持った人のことを知ろうとする

もちろん、伊能ちゃんのこともそうだよ

だから、その人が次に何を望み、何を欲し、
どんな行動に出るのか
何となく分かってしまうんだ
」


伊能「・・・・。」
透明「君は、人と触れ合ってきた中でも、人の悪い部分や
裏を取って生きてきてしまったんだよね

だから、人そのものに興味がなかった・・・。
その為か、人の行動やその人の理念をうかがい知る
ことはしてこなかったのかもしれない
」

伊能「そ、そんなもの
何の役に立つと言うのです
」



透明「少なくとも、谷津根 實香に勝つ為には必要な
ことなんじゃないのかな
」
ことなんじゃないのかな

伊能「
」

透明「人を知り、己を知れば百戦して殆うからず
って

昔から言うでしょ

人を知るというのは、洞察し、理解し、体感し、
予想し、確信することで得られるもの

特に、谷津根ちゃんは、人の精神世界を体感できる
能力を持っている

そんな相手に、人を知らない君が勝つことは
不可能だと思う
」
不可能だと思う

伊能「そんなこと
やってみなければ
」



透明「確かに
やってみなければ分からない
」


伊能「
」

透明「でもね
それでも、私は君にこれ以上、惨めな思いを
して欲しくないんだよ
」

して欲しくないんだよ

伊能「
」

透明「父の無念・・・自分の無念・・・憎しみも怒りも
怨みも悲しみも、もし全てを相手の力にねじ伏せられた時、
君は、正気でいられないと思う・・・

君は、谷津根 實香や協会の人間を怨み憎んでいる
・・・でも、その想いが今日まで君を生かして
くれたのも事実なんだ
」
くれたのも事実なんだ

伊能「
」

昴「・・・・・。」
陣「・・・・・。」
円「・・・・・。」
千鶴「・・・・・。」
透明「もし、その想いが報われなかったら・・・

そう想うと、私は君をこのまま谷津根 實香と
対峙させることはできないと想ってしまう・・・。」
伊能「私が・・・勝てない・・・。」
辛い現実・・・次に伊能がとる行動は・・・ 。
続く ・・・。







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