Le ton fait la chanson,le ton ne fait pas la chanson.

<創る>がテーマのアイディア帳。つくるココロを育てます pour votre creation d'avenir

『 Par instinct 』

2007-03-15 | ●Conte 物語の部屋

   エレベーターを待っていた。

 木目調のエレベーターは ここ1階にゆっくり近づいている。 夜になると、昼間の暑さはウソのように身をひそめ、あとは、ゆっくり寝るだけ。。。。

 『Bon soir.』     ん。 『.....Bon soir.(こんばんは。)』

  エレベーターが開いた。 私と相方はエレベーターに乗り込む。 同時に今、挨拶したおばさんもエレベーターにのる。 

 『Vous allez......à quel étage ?(何階ですか?)』

 『 Au 2ème étage, s'il vous plaît.(3階で。)』

 私達と同じ階だ。 ・・・・・などと考える間もなく、おばさんは突然、

 『 Vous avez mangé du poisson? (あなた達、魚食べた?) 』

          へ? 魚? なんのこと?

 『 quel poiss......(何の・・・)』と 言うと、おばさんは続けざまに

 『 昨日のアレよ。 ほら、アナタ達、あの時、いなかったでしょ。』

 この言い方で わかった。 

 昨日、ここマラケッシュから、エッサウィラという海の町へオプショナルツアーに参加した時の話。 大型バス2台で、フランス人に混ざって、私達アジア人2人組も参加したときの。。  私は、そのおばさんが その時いたのかどうかは覚えていないが、少なくとも、おばさん側からみれば、“ひょっこり” 参加しているアジア人は目立っていたに違いないので、向こうからすれば、私達は“知ってる人”だったわけだ。 

 昨日の 海の町エッサウィラで、みんなでガイドさんに引率されながら町の説明をされたあと、お昼になったので、各自で好きなようにお昼を取ることとなった。 各自に、といっても迷うのもあるので、地元のガイドさんは、『ここがいいですよ』と、海産物をその場で焼いたりしてくれる屋台が集まる所の1軒を示してくれた。 それに従って、フランス人はドヤドヤとその店に入っていった。 そのあとについて、私達もそこに入ろうとしたが、ふと、考えた。 『 他の店も一通りみてから決めようか。』 相方もそれに同意した。

 10軒ほど屋台が並ぶその場所を見て回る。 白く塗られた木で出来た屋台群は青い海にとても映えていた。 それぞれの屋台の外には 魚やさんのように、氷の上に沢山魚がおいていった。 私達は、屋台の客引きのおじさんをその都度かわし、結局、途中、街中でみたカフェレストランに向かうことにしたのだ。 

 『On est allée à un autre café-resto. C'etait vraiment bon.(私達、別のとこに行ったから。 そこ、おいしかったですよ。)』  私はおばさんに答えた。 エレベーターの狭い箱の中で、3階に着くまでの間、会話は続く。 私達が何を話してるか、さっぱりわからない相方は、エレベーターの隅に立って、気を消していた。

 おばさんは、“ア~そうなの。 よかったじゃない。” という相槌をし、 そして

 『 On est tout malade !(私達、みんな病気になっちゃったわよ!)』

  え? 『 C'est vrai ?(本当に?)』  でも、、このちょっとガタイのいいおばさんは病気っぽくないけど。   と、いう考えがかすめたことをおばさんは察知したのか、

 『Mais, sauf moi.(ま、私以外ね)』 おばさんは胸を張って言った。そのようですね。 菌にも強そうですし。^^

 つまり、おばさんたち、フランス人集団は、ガイドさんに勧められたその屋台で魚をたべ、みんなして、“あたった”らしいのだ。 で、おばさんは、“あなたたちは大丈夫だった?”と私たちに聞いてきたわけだ。 あの時、あの魚を見て、私達は【Par instinct 直感的に】それを避けた。  さすがだわ。【魚の目利きを遺伝子的に持つ日本人】。  魚を見る目は遺伝子的に備わっているのだ。

 それは大変でしたね。 そんな会話で、3階についた。

 エレベーターを降りると、相方は私に尋ねた。

 『今、なんだ、って言ってたの?』

 



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