あた子の柿畑日記

田舎での日々の生活と趣味のレザークラフトについて

山寺の犬

2023-08-31 06:42:00 | お出かけ
 旅行から帰って約3週間、
8月13日は新盆です。去年亡くなった新しい仏様を迎える日です。わたしはこの日、山の中のペット霊園に行きました。ずうっと置いてあったポチの、空の骨壷を処分してもらうために返しに行きました。
 
 その前に、足の様子ですが、

 旅行の翌日、朝一番にいつもの整形外科に行きました。骨に異常はなかったものの、足が腫れて血が溜まっているということで、膝から血を抜きました。ブドウ糖を注射する時の大きな注射器、あれ、何CCでしたっけ?大きな注射器一本では足りなくて2本目も使うほど血が取れました。血に脂肪が混ざっていると骨にダメージを与えるそうですが、幸いきれいな血でした。
 松葉杖を借りましたが、慣れてないものですから、あれもなかなか使いにくかったです。その日活動量計(歩数計とは違います)の歩数は19歩!実際はもっと歩いているのですが、歩数とは見なされないほどの弱い動きだったのです。
 二日目、歩数はまだ二桁
 三日目、歩数は三桁になりました。
 血を抜いた日、寝る時に足を曲げると痛くて、寝る時も仰向けにまっすぐのまま寝ました。しかし二日目は横向きになることもできました。歩数も日に日に伸びて、一週間後には四桁に。
 こんなにも回復の手応えを感じた怪我は初めてです。
 
 霊園に行く途中、道の左手に、山へ入る急な坂道を見つけました。
 大きな看板も立っています。
 なになに?
 光昌寺
 こんな山の中にお寺があったの?
 地図を見ると徒歩2分とあります。


 反対側には


 森岡神社 飛騨神社 光昌寺
 「境内から石鎚山 瓶ヶ森 笹ヶ峰 黒瀬湖 菖蒲園が眺望できます。」とありました。へえ〜
  膝が良くなったと言われてから杖なしで歩いていましたが思い切って坂道を登ってみることにしました。
 木立の途切れたたころからダム湖が見えました。


 わたしの横を2台も車が通っていきました。なんだ、車で行けるのか。
 確かに、お寺は近かったです。小さいながら山門も、鐘楼もありました。山門の手前に歌碑が立っていて


 ふるさとの黒瀬は恋し たずねきて 産土神に 幸を祈らむ 伊藤金作 昭和45年作
 
 歌碑が建てられたのは平成になってからです。そして黒瀬が水底に沈んでから50年以上たってもお墓参りに訪れる人がいる。高度成長期に地域の発展のために故郷を離れた人々の心はまだここにある、と、共感できるようになったのも歳をとったせいかな?
 碑の横に車が一台。住職さんのでしようか。その下に一匹の犬が頭を突っ込んで寝ていました。ポチもいつもそうやって寝ていたなあ、と思い出してしまいました。新盆にポチに似た犬と会えるなんて。なんてぼんやりと車の横を通った途端

 ワンワンワン

 いきなり違う犬が目の前に飛び出してきて、まあ、‼️ 寝ていた犬とは違う、黒くて精悍そうな顔の犬でした。噛み付かれるか?

 落ち着け、あたこ 

 わたしはまっすぐ犬の目を見て、
 ごめんね。通らしてね。できるだけ親しみをこめて優しく言いました。すると犬はくるっと引き返してくれました。よかった。

 が

 引き返すその犬には後ろ足が1本なかったのです。

 本堂に行くにはまだ関所があって




 山門のど真ん中に寝ている犬。
 どうしよう、あの子も吠えるのかしら。でも、ここまで来て引き返すのも嫌だ。
 山門の端っこを、こんにちは、と声をかけて通りました。幸いこの犬はチラッとこちらを見ただけでした。

 安らぎの鐘と名付けられた鐘。
 犬に怒られるかもしれないので、鐘は突きません。


 そこを過ぎると住居らしい建物があって、どなたか住んでいるようでした。後で調べたところ、無人だったこの寺を再興しようとする住職さんがいらっしゃるようです。
 そして
 家の前にも犬
 他の犬は放し飼いでしたがこの子だけはながーいワイヤーに繋がれていました。細長い狭い庭の端まで届くような長さですから放し飼いと大して変わりません。
 四つの犬関所を通り抜けるとやつと本堂でした。
 土地がせまく 後がないのでこんな写し方しかできませんが、



 黒瀬ダムに沈む前に高台に移設したものだそうです。
 奥の方には鳥居が見えました。お寺も神社も同じ場所だったんですね。



 こちらには移築記念碑


 昭和47年に建てられたようです。
 そして小さな鳥居。森岡神社とありました。



 黄色っぽい石。面白い。こちらでは白っぽい大島石が多いのです。


 安政の文字が見えました。え?安政年間に建てられたの?だったら相当古いものだけど。この辺りの詳細は全くわかりませんので、いにしえに想像を巡らすだけです。

 もう一つ、石柱だけの神社がありました。
 これが飛騨神社かなあ。建物はこちらの方が新そうでした。


 境内から見る景色


 木と雲に邪魔されてよくわかりませんが、瓶ヶ森か笹ヶ峰かなあ。



 よい眺めのところでした。
 そうそう、こんな碑もあったんですけど。



 銀納義民尊霊供養塔
 ここからもう少し山へ入った、石鎚ふれあいの里にも立派な碑が立っていました。米の代わりに銀で年貢を納めさせてくれるよう交渉して処刑された方がいたのかなあと思います。とすれば、米に変わる産業は何?
 山の中の小さなお寺と神社から、遠い昔の人々の暮らしを想像して、興味は尽きませんでしたが、帰ることにしました。
 鐘楼までくると、さっき山門のど真ん中にいた犬は鐘の下で寝ていました。

 ❗️なんだか変
 横向きに寝ているのに一本の脚が空を向いている。脚が変形しているのだろうか。

 さっきの三本脚の犬といい、こんなにも足の悪い犬がいるもんだろうか。そう言えばうちのほうでも三本足の野良犬を見たことがあります。あの犬は罠にかかったのだろうと誰かが言っていましたが、ここの犬も?この子たちは猟犬だったの?それとも捨て犬?誤って罠にかかったの?飼い主は助けてくれなかったの?
 悲しい疑問が次々と湧いてきました。

 でもここでは、穏やかな余生を暮らしているように見えたのが救いでした。




コメント (8)
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