おもしろかった。
2冊まとめて一日で読んでしまった。
虐待に耐えかねて家を飛び出し、山でサバイバルをしてきた加村一馬さんの壮絶な体験談である。
13歳で家出をするまでに、山でたくさん遊んでいた経験があるとはいえ、よくぞ一人で生き延びることができたものだ。
そうそう、厳密には一人ではなく、愛犬シロと協力し合っての生活である。
さいとうたかを氏の名作漫画「サバイバル」が好きな人なら、きっとハマるだろう。
加村少年が重視していたのは、もちろん食べ物である。
食べるものといえば、ありとあらゆるものである。
山菜はもちろん、カタツムリ、カエル、ヘビ!、鳥、ミミズ、アリ、ウサギ、イノシシ、コウモリ、カブトムシの幼虫、蜂の子、ネズミ、魚。
ここまでいろいろなものを食べた人は、現在の日本にはなかなかいないだろう。
読んでいて色々と感じることがあった。
◯ 当時は加村さんのように、家出をする子がいたのかなあ。
◯ 家出をする子がいたとしたら、病気や怪我で命を落とした人もいるだろうなあ。
◯ 加村さんの生き延びようとする気力と知恵がすさまじい。
◯ この人は、かなり頭が良い人なのではないだろうか。自分の知恵で小鳥やイノシシを捕まえる罠を作っている。
◯ どんな環境にいても、人の優しさというのは心にしみるのだなあ。
◯ (シロを亡くしたあと、死を考えるようになった加村さんの描写を読んで)やはり自分以外の他者とのつながりが生きる力になるのだろうなあと感じた。
愛犬シロと助け合って生き延びている描写がたくさんある。 加村さんにとってシロは、本当の仲間、家族だったのだろう。
昭和21年生の加村さんは、社会復帰をしている。
「犬を飼いませんか?」と言われてもこう答えるそうだ。
「いいや、俺の心の中にはシロが今も生きているからね、もう飼わないよ。」