阪神 住吉

　住吉駅である。ただし阪神電車の住吉である。JRの住吉は、快速電車も停まるし、六甲ライナーとも接続している。一日の乗降客数はJR神戸線の駅では、三ノ宮、元町、神戸に次いで4番目に多い。東灘区役所の最寄駅でもあり、神戸市東灘区の表玄関といえる。
　それに比べて、この阪神住吉はなんともつつましい駅である。特急はもちろん急行も停まらない。当然だろう。なにせ隣の特急停車駅の御影とは500メートルしか離れていない。必要最小限のモノしかない駅である。改札は一ヶ所しかない。エレベーターもエスカレーターもない。ホームにはベンチがあるだけ。待合室もない。高架の上の駅だから冬は寒いことである。こんな駅だから乗降客数は少ない。阪神電車の駅では最も少ない。かって阪神電車には西宮東口という駅があった。西宮と今津の間にあった駅だが、いまは廃止されてない。この駅もそうなるのかなと思うのだが、なかなかどうして、この駅、1905年明治38年に阪神電車が開通した時からの駅である。阪神タイガースよりこの駅の方が古いのである。写真は階段の窓である。昭和初期のデザインの丸い窓だ。

2015年の阪神タイガースはどうかな

　今年の阪神タイガースにはドラフトの新人以外新戦力はない。金子だ中島だと獲得をめざしていた選手には全員逃げられた。こういう事態に対して、悲観的な観測を行う阪神ファン諸賢もおられよう。しかし、小生は悲観はしていない。阪神に来たFA選手で及第点の活躍をしたのは、近年では金本ぐらいか。だから、事前に名前のあがった選手たちが、阪神に来ても活躍する保証はない。
　今年の阪神の最大の補強は、鳥谷と外国人４選手の阪神残留ではないか。もし鳥谷が流出していたら、内野に大きな穴が開くだけではなく、足も使える出塁率の高い選手だから、チャンスメイクという面に大きな影響がでていただろう。さらに鳥谷は休まない。組織にとって休まない人員ほどあてにできる者はない。いくら有能でも休まれたら無能と同じだ。
　メッセンジャー、最多勝、最多奪三振。ゴメス、打点王。マートン、首位打者、呉昇桓、最多セーブ。阪神の外国人は全員がタイトルホルダーだ。さらに加えて福原が最優秀中継ぎ投手。これだけの選手が現在の阪神タイガースの戦力だ。補強は不要だ。しかも投打のバランスがとれている。
　今年の阪神タイガースは、近来にない充実した戦力ではないだろうか。現時点でみれば、昨年の優勝チーム読売ジャイアンツを完全に凌駕しているだろう。昨年は優勝こそジャイアンツに譲ったが、蛇足シリーズでは完膚なきまでにたたき潰した。
　もちろん不安材料もある。まず、先発投手が一人足りない。メッセンジャー、能見、藤浪、岩田。４人では足りない。あとは岩崎、秋山、岩貞、岩本か。先発投手以上に心配なのは中継ぎだ。昨年は老骨にむち打って、福原、安藤が支えた。もうひとりのおじさん加藤はそろそろお疲れ。呉昇桓に継ぐまで、松田、金田、榎田あたりにがんばってもらおう。実は阪神の投手で最も大切な投手は鶴だと思っている。敗戦処理。大切な仕事だ。１４４試合全部勝つわけはない。必ず負け試合がある。いかに勝つかも大切だが、それ以上に大切なのはいかに負けるかだ。その負け試合を作るのが敗戦処理投手の仕事だ。そういう意味からも鶴は貴重な投手だ。
　野手では三塁、ライトが固定できてない。三塁は本人は二塁希望だろうが西岡かな。あと、新井か。今成はどっか痛いといっているらしい。ライトは福留が中日時代の福留に変身すれば、守備はうまいから福留に固定できればいうことないが。あと捕手だが梅野を育ててもらいたい。

2015年阪神タイガース開幕先発予想オーダー

1番　ショート　鳥谷
2番　二塁　　　上本
3番　三塁　　　西岡
4番　一塁　　　ゴメス
5番　レフト　　マートン
6番　ライト　　福留
7番　センター　大和
8番　捕手　　　梅野
9番　投手　　　メッセンジャー　

2015年セリーグ順位予想

1位　阪神タイガース
2位　広島カープ
3位　読売ジャイアンツ
4位　ヤクルトスワローズ
5位　中日ドラゴンズ
6位　DeNAベイスターズ

なんとか惨劇は防げなかったのか

　淡路の洲本市の5人刺殺事件。たいへん悲惨な事件である。亡くなられた方々のご冥福をお祈りする。
　この事件、なんとか未然に防ぐ手立てがあったのではないかと、残念に思っているのは私だけではあるまい。
　このたび、容疑者が精神鑑定にかけるとのことだ。被害にあわれた方や、その周辺の方々は、くだんの容疑者が、以前より不審な言動、非常識なネットへの書き込みなどを繰り返しており、危険を感じて、なんども警察や行政に相談している。警察もパトロールを強化するなど、それなりに手は打ってきた。それでも、ご承知のように最悪の惨劇が起こってしまった。なんの兆しも前ぶれもなく、突然起こった事件ならいざ知らず、被害にあわれた方々は、盛んにSOSを発信していたのである。それでも、惨劇は起こった。かえすがえすも悔やまれる。事前に容疑者の行動を制限していたら、惨劇は防がれていたかも知れない。
　しかし、不審な言動を行う者を、法の下に拘束すれば、言論の弾圧、思想信条に自由を奪うことになり、それはそれであってはならないことだ。ではどうする。警察があてにならないとなると、非合法なスジの人たちに警護を頼む。当然、そういうことは許されない。どうする。かくなる上は、アメリカのように自分の身は自分で守ると、市民が銃器を持つのか。そうなれば、これまたアメリカのように乱射事件が起きて、さらなる大惨劇が起きるやも知れない。
　非常に難しい問題だ。どうすればいいだろう。

るろうに剣心 京都大火編

監督　大友啓史
出演　佐藤健　藤原竜也　武井咲　神木隆之助　江口洋介　蒼井優　伊勢谷友介　田中泯

　前作同様、破天荒なちゃんばらアクションを楽しませてもらった。このシリーズ、日本映画としては、爽快でスピード感抜群のアクション映画である。
　「人斬り抜刀斎」としてさんざん人を切ってきた緋村剣心。剣心は人を切るのを止めたが、「人斬り」の需要はあった。剣心のあとを次いで薩長の「人斬り」となったのは志々雄真実。明治となり新政府は志々雄がじゃまになり惨殺。全身めったぎり、そのうえ火に焼かれる。ところが志々雄は生きていた。
　大やけどを負い、全身をぐるぐる巻きの包帯に包まれてミイラ男みたいになって生きていた。そして新政府に復讐を企てる。十本刀と呼ばれる剣豪を集め多数の部下を擁して京都に潜み、日本をぶっ壊す算段をする。明治政府の派遣した討伐隊はことごとく失敗。で、時の内務卿大久保利通は最後の望みを緋村剣心にたくす。
　剣心、斉藤一、女剣術家とその弟子の少年、元幕府お庭番、主要な人物が全員京都に集合。その京都には徳川幕府崩壊で職を失ったお庭番の頭目が料亭のオヤジをやっていたり、志々雄一味がかっての長州みたいに京都に火を放とうとして、それを阻止するのが警視庁警部になっている元新撰組の斉藤一だったりして、後半になって、なんかスチームパンクっぽくなってくる。
　前作では香川照之演じる悪徳実業家武田観柳が敵のボスキャラだったが、今回は藤原竜也の志々雄真実がボスキャラ。役者としては圧倒的に香川の方が上だが、ボスキャラとしては志々雄真実の方が面白かった。徹底的な悪もんで白覆面の魔王（デストロイヤーを思い出すな）で、まるで白いダースベイダーみたい。こいつと剣心とのちゃんばらは今回はなし。完結篇「伝説の最期編」までのお楽しみか。

イカナゴのシンコの釜揚げ丼

　ここ神戸に春を告げる魚がイカナゴです。この時期、神戸や明石の沖合いではイカナゴが捕れます。魚屋さんやスーパーの鮮魚売り場にはイカナゴが必ず売られています。成魚のイカナゴはフルセといって、水揚げされてすぐ釜揚げされたものを二杯酢でいただきます。
　イカナゴの稚魚はシンコといって、生は釘煮にします。生のシンコは売り場に出るとすぐ売り切れます。このあたりの主婦にとって釘煮を煮るのは大切な仕事なんですね。
　シンコの釜揚げは、いつでも手に入ります。値段も安いです。このシンコの釜揚げもいろんな料理に使えます。かき揚げなんかもおいしいですね。
　さて、きょうはこのシンコの釜揚げをシンプルにそのまま使って丼にしましょう。いたって簡単です。
　まずホカホカの炊きたてご飯を丼鉢によそってください。ゴマをパラパラ。その上にきざんだシソの葉、そしてシンコの釜揚げを乗っけます。忘れてはいけないのは大根おろしです。醬油とレモン汁で作ったタレをかけていただきます。

空を見ました。

　本日3月15日午前7時の神戸の空です。もひとつお天気が良くありません。この木はハクモクレンの木です。つぼみがだいぶ大きくなってきております。開花まであと少しです。あと一週間もすると、このような清楚な白い花が咲きます。
　梅の時期は終わりました。これから、コブシ、ハクモクレン、そして桜と咲いていくでしょう。人さまざま、世の中いろいろですが、季節は移ろい、花は咲いていくのであります。

マドレーヌ

　
　きょうはホワイトデーや。一ヶ月前はバレンタインデーやった。わしゃ、こげな切支丹伴天連の風習はよう知らんけど、それが円満なる人間関係を築けばなんでもええやん。ええことは切支丹伴天連でも、あほだら教でも、ボコノン教でもええやんちゃうん。それにワシチョコレート好きやしな。
　そんなわけでチョコレートのお返しをせにゃならんわい。マドレーヌを焼いたで。毎年、マドレーヌやけど、ワシも彼女もマドレーヌが好きやねんから、これでええねん。

土漠の花

　月村了衛　　　　　　幻冬舎

　男哭き必至の冒険小説である。直球ストレートど真ん中の冒険小説だ。美しき姫を守って敵中横断、危機また危機。はたして彼らの運命やいかに。ハラハラドキドキ、手に汗握る大冒険。黒澤明の「隠し砦の三悪人」を思い越す傑作エンタティメントである。
　墜落したヘリコプターを捜索するため自衛隊第一空挺師団の精鋭12人。ジプチとソマリアの国境近くの現場に到着したところ、何者かに追われている若い女性が助けを求めて逃げ込んできた。
　彼女はソマリアの氏族長の娘。彼女の氏族は大虐殺に見舞われ、生き残った彼女は命からがら逃げのびたというわけ。
　彼女を追ってきた敵が襲ってきた。そこまで乗ってきた車両も奪われる。で、彼女を難民保護という名目で保護することを決断。国境を越えてソマリア領内を通って逃げる。
　通信手段なし。武器なし。実戦経験なし。救援が来る望みなし。ないないづくしの自衛隊員12人が、巨大な敵に追われながら、「世界で最も危険な場所」を横断して基地にもどろうとする。
　敵は敵対氏族の民兵だけでない。最強最悪の過激派が敵に合流。熱風吹きすさぶ砂嵐。日本の自衛隊員だから地理には不案内。部隊内での意見の対立。そして12人は一人死に二人死に、だんだん減っていく。
　帯のコピーは誇大広告ではない。まさしく一気読み必至の冒険小説である。内藤陳さんがご存命ならば、本作をお読みになったご感想をぜひお聞きしたかった。

とつぜん対談 第75回 パイプレンチとの対談

　確かこのへんのはずですが。ああ、あった雀荘「天和」ここに今日の対談相手がおられるはずです。
　雀荘か、昔は私もよく来たものですが、最近は麻雀もとんとしてませんね。あ、おられました。パイプレンチさんです。クリッパ、番線、ユンボのお3人さんと卓を囲んでいらっしゃる。

パイプレンチ
リーチ

クリッパ
わ、パイレン、早いな。

ユンボ
早いリーチはイースーソーってな。これでどうじゃ。

　ドカン！

番線
わ、こらユンボ。お前のバケットで打牌する時、気つけなあかん。また卓が壊れてもた。もう麻雀でけへんやんか。

パイプレンチ
　ほな、しゃあないな。これで精算せなしゃあないな。ワシの一人勝ちやな。ガハハハ。ところであんただれや。

雫石
　雫石といいます。パイプレンチさんと対談に来ました。

パイプレンチ
　ああ、そやったな。なに聞くねん。なんでもええけど、ちゃちゃとすませて、はよ飲みにいこ。この近所にきれいなねえちゃんがおるキャバクラがあんねん。

雫石　
　あの3人とは仲間ですか。

パイプレンチ
　そや。ワシらみんな建設業や。ワシは配管のバルブを絞めるねん。ユンボは土掘りや。番線とクリッパは足場の仕事や。

雫石
　今回はなんの仕事ですか。

パイプレンチ
　新築マンションや。もうええやろ。ワシ、早よキャバクラ行きたいねん。きれいなねえちゃんとゴニョゴニョすんねん。わっ、うずいてきたぞ。

雫石
　すみません。もうちょっと。

パイプレンチ
　しゃあないな。あんたがキャバクラ代持つんやったら、つきおうたるわ。

雫石
　しかたないです。今夜のぶんは私が持ちます。

パイプレンチ
　そうか。そしたらあんたも来るんやな。あの店はええぞ。安いし、ねえちゃんはきれいし。サービスは濃厚やし。はよすませて早よいこ。ええであそこ。ガハハハ。

雫石
　さっき麻雀やってましたが。バクチはよくなさるんですか。

パイプレンチ
　バクチか。よくなさるぞ、ワシ。ちんちろりんから、おいちょかぶ、花札、トランプ、麻雀、パチンコ、パチスロ、競馬に競輪、ボートにオートレース、野球賭博に相撲賭博。あっちからくんのんは男か女か。なんでもするで。

雫石
　すごいですね。で、勝ってます？

パイプレンチ
　え、ああ、ま、ぼちぼちやな。

雫石
　バクチばっかりやったら仕事してる時間あるんですか。

パイプレンチ
　アホぬかせ。仕事もちゃんとしとるわい。きょうも現場で水道管のフランジの取り付けをしとったわい。

雫石
　打つときたら、次に飲む方は？

パイプレンチ
　ま、たしなむ程度やな。

雫石
　毎日飲んでますか。

パイプレンチ
　はあ。お前、毎日水飲んでますかと人に聞くか？

雫石
　水ですか？どれぐらい「水」飲んでます。

パイプレンチ
　ワシが「水」飲むん止めたら、一升瓶つくる会社の株価が下がるやろな。ガハハハ。

雫石
　よく肝臓がもちますね。

パイプレンチ
　あの程度の「水」飲んで肝臓イワすようじゃ男やない。

雫石
　男女は関係ないと思うんですが。ノム、ウツ、と来て、最後はカウなんですが。

パイプレンチ
　カウか。そっちもワシは豪傑やで。素人、玄人、キャバクラ、ピンサロ、アルサロ、デルヘリ、ソープに援助交際、若きツバメに、それに時々アルバイトでホストもやっとるで。10代から60代までワシの守備範囲は広いで。ワシのナニでギタギタイワしたるわ。ガハハハ。

雫石
　すごい豪傑ですね。奥さんはなんといってます。

パイプレンチ
　かあちゃんか。あいつはワシに惚れとるからな。だまっとるわ。

パイプレンチの奥方
　ああた。なにこんなとこで油うっとるんです。早よ次の現場に行きなさい。

パイプレンチ　
　わっ。かあちゃん。いや、社長。

社長
　きょうは火曜日ですから、お酒飲んでもいいです。1合半ね。あ、また宝くじ5枚もこうて。しょうもないバクチするんじゃありません。

パイプレンチ　
　ごめんちゃい。

ＳＦマガジン2015年4月号

ＳＦマガジン2015年4月号　№708

雫石鉄也ひとり人気カウンター

1位　良い狩りを　　　　　　　　　　　　　　　　ケン・リュウ　古沢嘉通訳
2位　ガニメデ守備隊　　　　　　　　　　　　　　谷甲州
3位　長城（後編）　　　　　　　　　　　　　　　小田雅久仁
4位　怪獣ルクスビグラの足型を取った男　　　　　田中啓文　　

連載
小角の城（第31回）　　　　　　　　　　　　　　夢枕獏
絞首台の黙示録(第8回)　　　　　　　　　　　　　神林長平
マルドゥック・アノニマス（第2回）　　　　　　　冲方丁
青い海の宇宙港（第2回）　　　　　　　　　　　　川端裕人
エピローグ（10）　　　　　　　　　　　　　　　　円城塔　　
椎名誠のニュートラル・コーナー　第44回
猛蛇注意　　　　　　　　　　　　　　椎名誠
近代日本奇想小説史（大正・昭和篇）（第20回）　　横田順彌
SFのある文学誌（第39回）　　　　　　　　　　　長山靖生
にゅうもん！西田藍の海外SF再入門（第3回）　　　西田藍
アニメもんのSF散歩（第3回）　　　　　　　　　　藤津亮太
エンタメSF・ファンタジイの構造（第12回）　　　飯田一史
現代日本演劇のSF的諸相（第12回）　　　　　　　山崎健太

2000点到達記念特集
ハヤカワ文庫SF総解説　PART1(1～500)

　さてさてSFマガジン隔月刊化後の最初の1冊。これを機に心を入れ替えて、充実した内容にするとのことだが、どう充実したのか、楽しみにしてこの号を手に取った。少し分厚くなった。昔の2月号か臨時増刊号ほどの分厚さはないがそれに近い。そのぶんお値段も高くなって、1000円でお釣りがあったが、1000円を超すお値段。ま、そのお値段に見合う内容であれば文句はないが。
　まず、最初にほめておく。今月号のウリ「ハヤカワ文庫SF総解説」が非常に良かった。今まで同様の企画があったが、小生の知ってる限り最良の出来だ。
　解説の記事ひとつひとつがたいへん良く書けている。要領よく判りやすくコンパクトにまとめてある。紹介する作品の魅力を過不足なく読者に伝えてくれている。執筆者がSF好きということが良く判る文章で綴られているから、SFへの愛情が感じられる。また、ただその作品を紹介するだけではなく。その作品のSFにおける立ち位置や存在意義にまで言及している。しかも、多数の執筆者が同様の意識で執筆しているから、編集部の強い意向が判る。
　これを読んで、読みたい本を見つける読者もいるだろう。早川はそんな読者に応えるために、極力絶版本の再刊を望む。
　さて、本の雑誌社が「サンリオＳＦ文庫総解説」を出して成功した、そして早川がこの企画をやっている。しかし、これらはあくまで前座ではないか。そこで早川さんのお願い。真打を出すべし。いわゆる「銀背」「ハヤカワ・ＳＦシリーズ総解説」を出してもらいたい。これを出してもらうと小生たち古手のＳＦもんは感涙にうちふるえるだろう。
　特集企画をほめたところで、レギュラーの企画にふれよう。これは、もう、いつもの通り。月刊時代をまったくかわりばえがしない。円谷プロとのタイアップ。もういい。さして面白い企画とは思わぬ。もうやめたらどうか。
　横田順彌の「近代日本奇想小説史」と長山靖生の「ＳＦのある文学誌」同じようなコンセプトの連載を限られら誌面なのに2本も載せるのはムダ。どちらか1本にすべし。
　連載が4本は多すぎ。単行本の原稿確保という出版社の都合は判るが、それはあくまで出版社の都合であって、われわれ読者は知ったことではない。隔月刊で連載小説を読ませるのはムリがあるのではないか。ゼロにしろとはいわぬ。せめて1本か2本にすべし。
　　　　　

黙祷

　今は2015年3月11日午後2時46分

神戸より、東北へ


黙祷。　　　

美人すぎる？

最近よく聞く言葉で、違和感を感じる言葉がある。「美人すぎる議員」「美人すぎる先生」この「美人すぎる○○」という言葉。果たして日本語として正し　いのだろうか。
　なぜ、素直に「美人の議員」「美人の先生」といわないのだろう。こういういい方をする人の偏見が垣間見える。だから違和感を感じるのかな。これが女優やモデルといった人を形容するにはこういういい方はしないだろう。
　かようなご仁の頭の中は、女優やモデルの美貌度が10として、議員や先生の美貌度は5という尺度があるのだろう。で、大変に美人な議員が出てきて、その美人はどうみても、美貌度が15ぐらいはある。おかしい、議員なら5ぐらいのはずだが。これは美人すぎるということではないか。
　それに最近のご婦人方はどんどん美しくなっておられる。いわば美貌のインフレが起こっているのである。こういう状況の上に、最近の若い人の語彙不足が拍車をかけ、ご婦人の美貌度を形容する言葉を知らず「美人すぎる」なんぞという珍妙な日本語となったのではあるまいか。

追想

監督　アナトール・リトヴァク
出演　ユル・ブリンナー、イングリッド・バーグマン、ヘレン・ヘイズ

　世に生存伝説というものがある。義経は衣川で戦死しなかった。信長は本能寺で死ななかった。ヒットラーはベルリンで自殺しなかった。などなど。この映画はロシア革命後のロマノフ王朝がらみの話。革命後皇帝ニコライ2世一家は銃殺された。しかし末娘アナスタシアは死ななかったというもの。
　病院から抜け出し自殺しようとしている記憶喪失の娘。それを助けたのが亡命している元ロシア帝国将軍ボーニン。娘アンナ・ニコルが気品があるのをいいことにボーニンは、アンナを生存の可能性を噂されている皇女アナスタシアに仕立てることをもくろむ。目的はロマノフ家の遺産1000万ポンド。
　ボーニンは手下二人とともにアンナに皇女教育を施す。ダンス、立ち振る舞い、ピアノ演奏。アンナは時々妙なセキをするが、ひょっとすると本物かもと思わせるところもあったりして、これはひょうたんから駒か。
　で、なんだかんだあって、ボーニンは最後の手段としてデンマーク在住の皇太后とアンナ（＝アナスタシア？）の面会にこぎつける。家族も地位も国も失った皇太后はアンナを抱擁する。アンナは皇太后のお墨付きを得たのか。
　皇太后はラストこういった。「道化を呼べ」「私は過去に生きる。あなたたちは未来に生きなさい」「芝居は終わった」
　アナスタシア生存伝説という伝奇的興味を主柱に、記憶喪失の娘を高貴な貴婦人に育てるという「マイフェアレディ」と同じ華やかさ、それに王子との婚約かというラブコメ的要素もあり、最後になって実は恋愛ドラマとなって映画は終わる。なんとも華やかで、面白い映画になっていた。
　ボーニンのユル・ブリンナー、アンナのイングリット・バーグマン、皇太后のヘレン・ヘイズ、この3人の演技が見ものだった。ボーニンの手下二人の凸凹コンビも面白かった。
　で、果たしてアンナはアナスタシアだったのか。さて、どうかな？

でこまわし

　これは「でこまわし」といいます。四国阿波の国は徳島の郷土料理です。ま、見てのとおり田楽です。
「でこ」は人形のことです。阿波の国は人形浄瑠璃が盛んだったので、かの国の田楽料理を「でこまわし」というようになりました。
　串に刺してあるのは、里芋、木綿豆腐、こんにゃくです。里芋は先にゆでてあります。これに、砂糖、味醂、味噌でつくったタレをかけます。そして、それをガスレンジ付属の魚焼きグリルで焼きました。オーブントースターで焼いてもいいかも知れません。本格的にやろうと思えば炭火で焼けばいいでしょう。
　おいしそうに焼き目がつけば出来上がりです。これはぜひ、日本酒をいただかなければなりません。呉春か桜正宗を開けましょう。　

ビーフシチュー鍋

　肉じゃが鍋が望外の好評だったので、気を良くして、またまた土鍋を使った煮込み料理をした。
　今回はビーフシチュー鍋だ。いつもはホーローの寸胴でコトコト煮るのだが、それを土鍋で煮ろうというすんぽうだ。材料は牛肉はもちろん、ペコロス、にんじん、じゃがいも、マッシュルーム、それとブロッコリーを用意した。作り方はこのビーフシチューとほぼ同じだが、いったように土鍋で半日煮た。煮ているあいだは土鍋のふたはしていた。ふたをすることによって、圧力鍋で煮た効果が得られるのではないかと思ったしだい。
　煮えたらそのまま食卓へ。軽く加熱しながら鍋物として食べる。もちろん鍋物だからお箸でいただく。この時、ゆでたパスタを横に置いておき、鍋の汁をパスタにかけながら、また、パスタを鍋につけてつけ麺として食べる。
　うん、これはうまい。大成功！