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隠し砦の三悪人


監督 黒澤明
出演 三船敏郎、千秋実、藤原釜足、藤田進、上原美佐

 小生はスターウォーズ・シリーズのファンである。ジョージ・ルーカスがこの作品をスターウォーズの元ネタに使ったとのこと。確かに思い当たるシーンが何ヶ所かあった。思いつくままに上げてみよう。
 まず、冒頭の千秋と藤原が荒野をケンカしながらさまようシーン。これはSWのタトウィーンの砂漠をR2-D2とC3POが歩くシーンそのまま。
三船が馬で追撃するシーンは、エピソードⅤ「ジェダイの帰還」の林間のスピーダーバイクの追跡シーン。
三船と藤田の槍の決闘。ルークとベイダーのライトセイバーのチャンバラ。
 洞穴で雪姫が横になっている。レイア姫がデススターの牢屋で横になっている。
 ラスト。城中で雪姫が、千秋と藤原に恩賞をやる。レイア姫がハン・ソロたちに恩賞をやる。
 確かにルーカスがいかにこの映画に惚れこんだのかようくわかる。スターウォーズを先に観て、この映画の存在を知らず、初めて観れば、黒澤がルーカスから頂いたとの誤解を持つだろう。事実が逆であることはご承知の通り。
 ところがSWとこの作品とは決定的な差がある。まずお姫様役の女優が違う。SW後期3部作のアミダラ役のナタリー・ポートマンはいい。きれいな女優さんだ。だが、前期3部作のレイア役のキャリー・フィッシャーがだめ。小生はSWシリーズ最大の失敗はレイア役のキャスティングだと思う。なぜならキャリー・フィッシャーはブサイクだから。
 お姫様役は演技は少々下手でも最低限きれいな女優さんでないとだめ。フィシャーのような容貌に不自由な女優ではあきらかに不適格。最初のエピソードⅣのころはまだ若かったから見れた、しかしエピソードⅥのころは目をおおうばかりのブサイク。
 その点「隠し砦の三悪人」の雪姫役の上原美佐はじつにいい。凛としていてキリリとした実に美しいお姫様。常に背筋を伸ばしていて、スタイルが良く、伸びやかなきれいなおみ足がまぶしいほど。つっけんどうで、愛想がなく、映画の中で泣き顔は見せるが笑い顔は見せなんだ。男勝りで座るときはいつもあぐら。ラストのお姫様ファッションの時だけ正座。キャリー・フィッシャーVS上原美佐。これはもう、圧倒的に上原美佐の勝ち。
 もう一点、SWの弱点。それはチャンバラが下手。ライトセイーバーでの立ちまわりが見せ場なのだが、シリーズ6作すべてにチャンバラシーンがあるが、どのシーンも下手くそ。へっぴり腰の立ち回りばかり。これは両手で刀を握る日本刀での立ち回りをSWの殺陣にしたからだろう。このような殺陣はやはり西洋人には向かない。西洋には西洋の殺陣がある。怪傑ゾロとかダグラス・フェアバンクスの一連のチャンバラとか。ルーカスも黒澤を崇拝するのはいいが、演じている役者にも向き不向きがある。マーク・ハミルやアレック・ギネスは三船敏郎や藤田進にはチャンバラでは絶対にかなわないのだから。
 SWの話ばかりしてしまった。で、肝心の「隠し砦の三悪人」だが、これはもう抜群に面白かった。お姫様を連れて、黄金を持った侍が敵中を横断する、という極めてシンプルな話だが、山中の砦、滅んだ国の美しき姫、忠義で無骨な侍。好敵手どうしの果し合い。そしてなにより、千秋、藤原の二人の百姓。仲がいいのだが、すぐケンカするし、強欲で抜け目がないが、間が抜けているところもあり、実に面白いキャラクター。娯楽映画の総ての要素がつまった映画だ。必見の名作。特にSWファンにお勧め。 
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