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追想


監督 アナトール・リトヴァク
出演 ユル・ブリンナー、イングリッド・バーグマン、ヘレン・ヘイズ

 世に生存伝説というものがある。義経は衣川で戦死しなかった。信長は本能寺で死ななかった。ヒットラーはベルリンで自殺しなかった。などなど。この映画はロシア革命後のロマノフ王朝がらみの話。革命後皇帝ニコライ2世一家は銃殺された。しかし末娘アナスタシアは死ななかったというもの。
 病院から抜け出し自殺しようとしている記憶喪失の娘。それを助けたのが亡命している元ロシア帝国将軍ボーニン。娘アンナ・ニコルが気品があるのをいいことにボーニンは、アンナを生存の可能性を噂されている皇女アナスタシアに仕立てることをもくろむ。目的はロマノフ家の遺産1000万ポンド。
 ボーニンは手下二人とともにアンナに皇女教育を施す。ダンス、立ち振る舞い、ピアノ演奏。アンナは時々妙なセキをするが、ひょっとすると本物かもと思わせるところもあったりして、これはひょうたんから駒か。
 で、なんだかんだあって、ボーニンは最後の手段としてデンマーク在住の皇太后とアンナ(=アナスタシア?)の面会にこぎつける。家族も地位も国も失った皇太后はアンナを抱擁する。アンナは皇太后のお墨付きを得たのか。
 皇太后はラストこういった。「道化を呼べ」「私は過去に生きる。あなたたちは未来に生きなさい」「芝居は終わった」
 アナスタシア生存伝説という伝奇的興味を主柱に、記憶喪失の娘を高貴な貴婦人に育てるという「マイフェアレディ」と同じ華やかさ、それに王子との婚約かというラブコメ的要素もあり、最後になって実は恋愛ドラマとなって映画は終わる。なんとも華やかで、面白い映画になっていた。
 ボーニンのユル・ブリンナー、アンナのイングリット・バーグマン、皇太后のヘレン・ヘイズ、この3人の演技が見ものだった。ボーニンの手下二人の凸凹コンビも面白かった。
 で、果たしてアンナはアナスタシアだったのか。さて、どうかな?

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