トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

トンネルと鉄橋の駅、JR武田尾駅

2014年04月30日 | 日記
JR尼崎駅からJR福知山線(愛称JR宝塚線)の普通列車に乗りました。福知山線は尼崎から伊丹、宝塚、三田、篠山口、柏原(かいばら)を経て福知山に向かう、106.5kmの路線です。平成17(2005)年、尼崎・塚口間で多くの犠牲者を出した脱線事故は、今も多くの人々の記憶に残っています。

尼崎駅から30分余りで、武田尾駅に到着しました。福知山線は明治24(1891)年に尼崎駅・伊丹駅間が開通した川辺馬車鉄道に始まります。そして、国への移管を経て、明治37(1904)年に大阪・舞鶴を結ぶ鉄道が開業しました。

武田尾駅の直前にあった名塩トンネルです。名塩トンネルと駅との間には武庫川があります。宝塚駅を出た福知山線の列車は、その次の生瀬(なまぜ)駅から長いトンネルを抜けて西宮名塩駅に着き、さらに長いトンネルを抜けて武田尾駅に着きました。後部の車両に乗っていたので、下車したところは何と武庫川に架かる第2武庫川橋梁の上でした。どうやら下車したのは、私一人だったようです。

列車はすぐに次の道場(どうじょう)駅に向けて出発し、乗車していた車両も馳渡山(かけわたりやま)をくぐる第1武田尾トンネルの中に入って行きました。 生瀬・道場間が、トンネルを越える現在の路線になったのは昭和61(1986)年。 複線電化された新線が開通してからでした。それ以前の福知山線は、武庫川に沿って自然豊かな風景が続く、のどかな路線だったといわれています。

鉄橋上のホームからトンネルに入っていきます。中にも2面2線の駅が続いていました。広々とした立派な駅舎です。駅がトンネルの中におさまりきらず鉄橋上にまで広がっていったということでしょうか。ちなみに、旧線時代の駅舎は1面2線の島式のホームだったようです。

待合室の向こうにプラットホームが続いています。トンネルといっても天井がドーム状だったため広々とした印象を受けました。

トンネルの中の壁面にあったプレートです。この駅舎は、1983(昭和58)年に完成したようです。なお、武田尾駅は、明治32(1899)年、当時運行していた阪鶴鉄道の有馬口(現在の生瀬駅)~三田駅間が延伸したときに設置されました。現在の駅は昭和61(1986)年に、生瀬駅~道場駅間が新線に切り替えられたときに開業しました。

駅名標とベンチです。ホームにはゴミ一つありません。清潔な印象でした。

トンネルの出口に、ホームからの出口が設けられていました。ここから下っていきます。

1階に降りてきました。向こうの階段は西宮名塩・尼崎方面行きのホームへの道です。手前を右に行くと駅から出て行くルートになります。ホームは3階部分にありました。

1階にあった駅の改札口です。左にトイレが設置されていました。清掃の行き届いた清潔なトイレでした。なお、武田尾駅の1日の平均乗車人員は573人(2011年度)だったそうです。

改札口の、向かって右側にあった待合いのスペースです。自動販売機とベンチがありました。掲示されていた時刻表では、上りも下りも1時間に5本ずつ列車が走っています。

待合いスペースから駅の外に出て行きます。

駅の北側の広場は阪急田園バスのJR武田尾駅前バス停でした。

そのとき、次の道場方面行きの電車が到着しました。鉄橋の上にも停車しています。右側の名塩トンネルの前にある鉄橋の大部分を駅が占めています。武田尾駅は「トンネルと鉄橋の駅」と言っていいでしょう。

駅の周辺の状況が見えます。到着したときに駅のホームから撮影した写真です。武庫川の上流を撮したものです。右の道路は駅舎から続いており、福知山線が複線電化される前の線路跡につくられています。交通量はさほど多くはありませんでした。

かつての線路跡は道場駅に向かって、この先でトンネルに入っていました。トンネルの左の赤い施設は武庫川に架かる武田尾橋。武田尾温泉に続いています。

先ほどの写真の対岸は、ご近所の方のお話では「武田尾温泉に行く送迎バスが通っていた道です」とのこと。武田尾温泉は、寛永18(1641)年関ヶ原の戦いのとき豊臣方についていた、落武者の武田尾直蔵が発見したといわれる温泉です。「武庫川の清流と豊かな自然に出会える『秘湯』」なのだそうです。山麓の川沿いに4軒の温泉宿が並んでいます。ホームからは藁葺き屋根の宿、河鹿荘が見えました。

この写真は反対側のホームから撮影した武庫川の下流部分です。駅から続く左の道はかつての線路跡です。神戸市水道管の向こうの橋の左にかつての1島2線の武田尾駅がありました。そして、神戸市水道管の真下の道路に二つの線路に分かれるポイントがあったそうです。現在は、線路跡を活用したハイキングコースが整備されています。

水道管側から撮影した武田尾駅です。鮮やかな色合いの駅舎です。さて、私には信じられないことでしたが、この駅は牛山隆信氏が主宰する「秘境駅ランキング」の200ある秘境駅の200位に位置づけられている「秘境駅」でした!! 牛山氏は、その根拠として「秘境度」と「雰囲気」がそれぞれ2ポイント、「列車到達難易度」「外部到達難易度」「鉄道遺産指数」各1ポイントずつの総合7ポイントをあげておられます。

武田尾駅は、1日平均乗車人員573名。 1時間に5本程度列車が走る複線・電化路線にあり、バス停も隣接しています。広々とした清潔な駅、状況的には「秘境駅」にふさわしくない駅です。しかし、「トンネルと鉄橋にある駅」というシチュエーションと、武庫川に沿う静かな雰囲気は秘境駅に共通するものを含んでいます。牛山氏が「雰囲気」に2ポイントカウントしたのもうなづけます。また、200ある中の200位という順位もなかなか味わいがあります。秘境駅の雰囲気もあるけど純粋な秘境駅でもない、そんな印象が順位にも反映されているのでしょう。近代化された中に、秘境駅の雰囲気も楽しめる魅力ある駅でした。 



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1 コメント

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見ました (山田の)
2014-05-01 06:28:05
 「武田尾温泉」懐かしい名前です。就職して初めての学年旅行で行きました。松前、土屋両氏と講師4人の旅でした。私がラジオで「武田尾温泉」のことをリクエストしました。自家用車で行きました。宿にM氏の教え子が来て、獅子鍋を食べながら大騒ぎしました。印象に残る旅の一つです。
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